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帰村望まぬ声 飯舘村の計画とズレ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011112890135259.html
2011年11月28日 13時52分 東京新聞
福島第一原発事故による汚染に悩まされる福島県飯舘村で、早期の除染と二年後がめどの帰還を掲げた村の復興計画をめぐり、村民と微妙な認識のずれが生じている。住民団体が実施したアンケートでは、除染の効果や早期帰還に懐疑的な声が大半だった。団体のメンバーは「戻っても収入源を絶たれては生活できない」と、移住費用など複数の生活支援策を訴える。 (押川恵理子)
住民団体「負げねど飯舘!!」が先月、村の事故対応を考える村民集会を開き、集まった約百六十人にアンケートして四十四人から回答を得た。
村が二年後に住環境の除染を終わらせる目標を立てていることに対し、「可能性はない」「低い」との答えが、合わせて86%に上った。住民が除染を担うことにも、「反対」「どちらかというと反対」が計68%に達した。
二年後に村へ帰って生活するか、との問いには、「しない」「できればしたくない」が計59%を占め、原発事故前の生活に戻る可能性は「低い」「ない」が77%、「ある」は0%だった。
村は除染費用を三千二百二十四億円と試算するが、「除染費用で土地を買い上げてほしい。(そうすれば)二年を待たずに次の生活が始められる」「まず現在の生活を安定させるべきだ」などの意見も寄せられた。
村民が厳しい現実認識をもっていることをうかがわせるアンケート結果。実施団体の理事を務める佐藤健太さん(29)は「回答者数は少ないが、村と考えが違う住民がいるのは事実。戻るのも、戻らないのも答え」と、「帰村ありき」の政策を疑問視する。
村の計画では、農地は五年、森林は二十年かけて除染を進める。佐藤さんは「それまで農業、畜産はどうなるのか。再開が難しい中、二年後に戻っても…」と話した。
計画的避難区域の飯舘村は放射線量がいまだに高く、約六千人のほぼ全村民が避難している。総面積約二百三十平方キロのうち除染が困難とされる森林が75%を占め、その中に民家が点在する。
村は希望する高齢者らから帰還を進める方針だが、「被ばくを心配する孫や子どもたちとは離れ離れになる。二世帯、三世帯同居が多かった飯舘村は家族の絆が強く、離れ離れの暮らしが幸せなのか分からないという年配者は多い」と佐藤さん。「家族間でも被ばくや生活への考え方が違い、村民はばらばらになった。放射能は人間関係も切っていく」と原発事故の被害の深刻さを訴えた。
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