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原発廃止に踏み込めない日本の将来
福島第一原発事故の影響が言われることがあっても、日本全体の原発廃止は「20年かけて脱原発をはかる」という表現しかされません。しかし、20年という期間を考えると、日本のどこかで次の原発震災が起こってしまう確率はかなり高いと思います。
1マイクロシーベル/時の汚染地域は福島県の3割程度に及んでいる様子です。西風が卓越し、福島第一原発事故の放射性物質の99%以上は太平洋上へ西風に乗って飛ばされていきました。だから、例えば鹿児島の川内原発が福島と同程度の事故を起こしたしたとして、そこから漏れた放射性物質は九州、四国、関西、関東を汚染し、福島第一原発事故の100倍を超える被害を及ぼすはずです。仮に汚染濃度の程度を1万倍と考えると、1万マイクロシーベルトレベル/時の地域が多分関西程度にまでは広がるはずです。100万マイクロシーベルトが1シーベルトですから、致死量と言われる7シーベルトに達する一ヶ月ほどでこの地域にいたら皆が命を失うことになります。原発に近い鹿児島県内の方は急性障害で1日ほどで亡くなっていくしかないでしょう。そして、東北にも北海道にも汚染は広がるので、数ヶ月程度でほぼ日本中が居住不可能になるわけです。
特に浜岡原発がその震源域の真上にある東海地震のような直下型でマグニチュードが8を超える地震が起これば、地震自体の被害が大きく、避難そのものが困難になります。原発事故自体への対処の困難さも福島第一原発事故の比ではなくなるのです。
仮に原発が稼働中に直下型でマグニチュードが7を超えた地震が起こった場合のシナリオを考えてみます。
制御棒は初期微動を捉えて動きだします。ところが直下型地震では初期微動であるP波(プライマリー波)はほとんど減衰せずに原子炉へ伝わり、大変強力な衝撃波として原発に作用し、一気に原子炉本体を破壊してしまうはずです。具体的には各種の配管の破断、炉心の脱落、圧力容器や格納容器の底部の破壊・変形です。炉心の脱落とは燃料棒が詰まっている部分が圧力容器の壁から剥がれ落ちることです。これが起こると燃料集合体の冷却がうまくいかなくなります。制御棒も実質機能しなくなるので連続核分裂が制御できなくなり、一気に炉心が高温になり燃料棒の被覆が壊れ、内部の核物質が環境中に漏れ出してしまいます。少なくともこの段階で揮発性の核物質、つまりキセノンとかヨウ素、セシウムなどは大量に大気中へ排出されます。水素爆発も起こるでしょう。更に、急激に高温になった炉心が溶け落ちて圧力容器下部にたまっていた水の中へ落下し水蒸気爆発を起こす可能性があります。これが起きると、溶けた核燃料だけでなく残っていた燃料棒も破壊されて環境中へ飛び散るので、ウランやプルトニウムなどが大量に、つまり何トンという単位で原発周辺に飛び散ることになります。福島第一原発事故で陸地部分へ飛び散ったプルトニウムの量をネットで調べようとしましたがデータが見つからないので、記憶を頼りに書きますが、ほんの数グラム程度だったはずです。
圧力容器を支えているスカート部という部分が壊れることがさんざん指摘されていて、これと炉心の脱落が同時に起こると、ほぼ手の付けられない事態になり、場合によってはある程度の規模で再臨界を繰り返し、そのたびごとに溶けた核燃料が小規模な爆発を起こして、繰返し放射性物質を環境中へ噴出することになります。
地震自体の被害は、直下型の場合ある程度震源から離れてしまえばほとんどないはずです。しかし放射性物質が風にのって拡散するので、その避難に追われてしまい、原発事故対応はほとんどできないはずです。そもそも、福島第一原発の3号炉で起こったような爆発をはるかに凌ぐ爆発が起こるはずで、原発敷地内にさえ近寄れないはずです。
繰り返しになりますが炉心の脱落の可能性を強調しておきます。沸騰水型原子炉の炉心はシュラウドという金属製の円筒形の容器に収まっています。そして、シュラウドはその下部で圧力容器へ溶接されているのです。圧力容器自体もその下部にあるスカート状の構造物で格納容器へ据え付けられているのですが、シュラウドの場合はその周りを水が循環するので圧力容器との溶接部分に水の通り道の空間があります。それだけ弱い作りなのです。そして、シュラウドが脱落すると中の燃料棒も制御が一切効かなくなるので一気に高温になり、シュラウド自体から圧力容器や格納容器も核燃料が溶かしてしまうのです。格納容器の外側のコンクリートは水分を多く含んでいるのでその分溶けるのに時間がかかりますが、金属製のシュラウドや圧力容器、格納容器は数時間で溶かしてしまうはずだと思います。原子炉建屋が残っていたとしても、この時点で水素爆発が起こり吹き飛ばされてしまうはずです。だから、炉心にあった核燃料がどんどん再臨界を起こしては環境中へ核物質をまるで火山噴火のように噴出することを繰り返すことになるのです。
現在、福島第一原発事故に関して、除染をどうするとか、東電による補償がなされていないとか、いろいろなことが話題になります。これらの問題をないがしろにするべきだと申し上げているわけではなく、こういった目の前にある既に実現化された問題にだけ対処していれば済む時代ではすでに無くなっているのではと思います。
311の原発事故は既に起こったのです。311の大地震で日本全国の地震発生確率は格段に高まり、日本全国で1年にマグニチュード8程度の地震は10回程度は起こるとされています。マグニチュード7程度なら100回、マグニチュード6程度なら1000回です。
どう考えても、近い将来日本全国にある54基の原子炉のどこかで直下型の地震が起こる可能性はかなり高いはずです。もしそうなれば、日本の国土のかなりの部分が国際的な核廃棄物処分場になるしかない事態になってしまいます。
原発の廃炉、核燃料の全てを比較地震の危険性のない地域へ地上保管すること。同時に地熱開発を大規模に進めて、化石燃料に頼らない経済へ移行すること。これらがどうしても喫緊の課題ではないでしょうか。
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<875>>
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