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反省なき原子力機構に福島を委ねる危険 会計検査院が指摘したズサン契約 (東京新聞)
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東京新聞「こちら特報部」11月22日 :日々坦々
会計検査院が指摘したズサン契約
政策仕分けで抜本的な見直しが指摘された高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を運営する独立行政法人「日本原子力研究開発機構(原子力機構)」。同機構は今月、会計検査院から不適切な契約などを指摘された。前身の「動力炉・核燃料開発事業団(動燃)」も、事故隠しやデータ改ざんの前歴がある。繰り返される不祥事。その彼らにいま、福島の除染が委ねられている。 (上田千秋、中山洋子)
福島の除染をめぐる原子力機構の疑惑は十六日付の「こちら特報部」で紹介した。今月一日の衆院本会議で、みんなの党の渡辺喜美代表が「中抜き、ピンハネそのものでは」とやゆした件だ。
渡辺氏によると、東京電力福島原発事故による汚染対策で、原子力機構は内閣府から除染実証業務を受注。ところが、警戒区域と計画的避難区域十二市町村のモデル実証事業の相場は七十二億円なのに、予算ではほぼ同内容の事業で九十二億円を計上していた。
この国会での追及後、会計検査院は原子力機構にまつわる二つの問題点を発表した。
一つは三菱重工の子会社「三菱FBRシステムズ」(F社、本社・東京)との随意契約についてだ。同機構は二〇〇八、〇九年度に新たな炉心燃料開発など七十六件の事業をF社に委託、計百二十六億円を支払った。
ところが、検査院によると、F社の見積もりは実際にかかった費用よりも大幅に割高。外注費全体で一・五倍、人件費だけに絞れば、一・八倍にも上っていたという。
F社は原子力機構と合同で次世代型高速増殖炉(FBR)を開発することを目的に、〇七年に設立された。同機構からの七十六件の委託事業のうち、金額で68・5%に当たる五十三件を親会社の重工に発注。同機構が把握した見積もりはF社のものだけで、F社が重工に支払う額や積算根拠は把握していなかった。
検査院は「作業内容の実態を反映した適切な金額になっているかどうかについて(原子力機構が)確認できない状況」「契約金額の透明性及び経済性が確保されていない」と指摘した。
この検査院の指摘について、原子力機構の担当者は「見積もりはあくまで目安。減額交渉した結果、当初の見積額の百八十六億円から六十億円減らした。実際に一・五倍の金額を払ったわけではない」と釈明。作業実態の把握の甘さについても「同じグループの会社とはいえ、民間と民間の取引なのでそこまでは分からない」と語った。
検査院は、原子力機構が事業が問題なく進めば最初に定めた金額を支払う「確定契約」を採用していた点についても改善を求めた。その後、同機構は事業の終了時点で精算できる「概算契約」に改めている。
検査院によるもうひとつの指摘は、同機構が「もんじゅ」の総事業費から職員の人件費や固定資産税を除いて公表していたこと。これらを含めると、一〇年度末までの総事業費は従来の発表を約千五百億円上回る約一兆八百十億円に上った。
同機構の担当者は「『もんじゅ』だけの人件費を出すのは計算が困難だった」と話している。
金銭上の不透明さが相次いで指摘された原子力機構だが、問題体質は金銭にとどまらない。
原子力機構の歴史は一九五六年に核燃料開発のために発足した原子燃料公社に端を発する。六七年に動燃に移行し、新型原子炉の開発も担当。その後、九八年に核燃料サイクル開発機構に改組し、二〇〇五年に日本原子力研究所と統合して独立行政法人となった。
動燃末期の九〇年代には不祥事が続発した。
九一年六月、「もんじゅ」の総合機能試験で、設計上はありえない方向に配管が熱膨張するトラブルが発生。問題が報道された後になって地元に報告、「協定違反」で厳重注意を受けた。九四年五月には、茨城県東海村のプルトニウム燃料工場に約七十キロものプルトニウムを残留させていたことが発覚。国際原子力機関(IAEA)から改善を求められた。
「反省」の表明とは裏腹に不祥事は続く。
九五年十二月の「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故では、現場のビデオテープを意図的に被害を小さく見せる内容に改ざんした。九七年三月には東海事業所(東海村)の再処理工場アスファルト固化施設での爆発事故(三十七人が被ばく)でも虚偽報告していた。
同年八月には、やはり東海事業所で低レベル放射性廃棄物のずさん管理が発覚。貯蔵施設が長年浸水し、ドラム缶から放射性物質が漏出していたが、国に報告せず、対策も取っていなかった。
十月には、フランスからプルトニウムを運んできた輸送容器の検査記録の捏造(ねつぞう)も発覚。容器の使用期間更新の申請で、実際には抜き取り検査しかしていないのにデータを捏造。百三十三個すべてを検査したと偽った。
動燃から再出発した原子力機構でも、「もんじゅ」のトラブルの通報遅れや未報告がたびたび問題になっている。
慢性化しているともいえる不透明体質はどこに原因があるのか。
北海道・泊原発3号機での検査の「記録改ざん指示」を内部告発した元原子力安全基盤機構検査員の藤原節男さん(62)は「原発は無謬(むびゅう)であるという“安全神話”のためには、ミスや事故は隠すしかない」と説明する。
「事故は起こらないという建前と食い違う事実を一丸となって無視し、隠すのが原子力ムラだ。一般社会以上に内部告発は黙殺され、締め付けられる。同僚からも異端視される中で、社会正義や公益にのっとった行動をとることは難しい」
いわば、原子力ムラはモラルハザード(倫理観の欠如)の土壌だ。その中核の原子力機構が福島の除染を担っている。
福島市の「渡利の子どもを守る会」の菅野吉広代表(43)は「そうした機関が除染を担い、『これで安全』と評価して、納得できる保護者はいるだろうか」といぶかる。
「有効な除染方法も固まっていないのに、すでに多くの業者が入ってきて“除染ビジネス”の様相を呈している。手抜きを防ぐためにも、第三者の目を入れるべきだ」
子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの佐藤幸子さん(53)もこの意見に同調する。
「これまで除染技術もなければ、研究もしてこなかった組織が慌てて技術を開発すると言っても期待できない。旧動燃がさんざんウソをついてきた歴史を思い返せば、仮に『放射線量は下がりました』と言われたとしても信用はできない」
<デスクメモ> 記者会見で原子力安全・保安院の“顔”だった経産省の元官房審議官、西山英彦氏が除染チーム次長に任命された。スキャンダルとその処分後の人事だけに「みそぎ」「左遷」と解釈が飛び交う。どちらにせよ、そんな理由で除染を担うのだとすれば、原子力機構同様、あまりに福島をなめていないか。 (牧)
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