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なぜ、医師の発言が禁止されるか(1)・・・安楽死と被曝
http://takedanet.com/2011/11/post_2f7a.html
平成23年11月21日 武田邦彦(中部大学)
相変わらず「被曝しても100人に0.5人がガンになるだけ。被曝は大したことは無い」と講演する医師が後を絶たない。日本社会はまだ未成熟なところが多いが、本当は「そのような医師は、医師会が除名処分をして医師の資格を剥奪しなければならない事例」に当たり、見方によっては重大な医療過誤として警察が逮捕してもよい可能性が高い。
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まず簡単な法律論から考えてみたい。 一般大衆の被曝に関する法律や規則は数多いが、すべて「1年1ミリが限度」となっていて、一般公衆をそれ以上の被曝の危険にさらすと、「晒した人」が罰則を受ける。つまり放射線を出す原因を作った人が罰則を受けるのであって、(当然だが)被曝した人が罰を受けるのではない。
日本のすべての法律が「1年1ミリ」だが、そのうち、もっとも最近になって改正されたのが「電離放射線障害防止規則」で、今年{2011年1月}に改正されている。だから、「古い法律だから」という言い訳も成立しない。
今回の福島原発事故の場合、罰せられるのは東電だが、「逃げれば被曝しないのに逃げなかったので、1年1ミリ以上の被曝(実効線量だから外部被曝と内部被曝を合計した被曝量)」について法律的な記載はないように思う。つまり、放射線で被曝するのに「逃げない」ということは考えられないからだ。
ところで、医師などの専門家が「逃げなくても良い」と言った場合、それは法律違反なのだろうか? 私は法律違反かどうかはあまり厳密に議論したくないが、日本国が「その場にいたら病気になる可能性がある」としているところに、医師などの専門家が「そこから立ち去らなくても良い」と積極的に発言したら、倫理的には少なくとも不適切と思う。このことを医師はよく考えて貰いたい。
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第二に、「医師」という専門職が「自分の見解を独自に」述べることができるかという問題だ。これはこのブログで再三、解説したので重複を避けるけれど、「医」という領域について社会が「医師」を認定しているのは、専門家として「医師会、あるいは国会など」で公的に承認された診断、治療しか行えない、ということである。
わかりやすく言うと、医学者は安楽死を研究しても良いが、医師は自分の判断で安楽死の診断、治療(安楽死を治療というのも変だが、医師は治療の一環として安楽死を行う)をしてはいけない。それをするにはあらかじめ医学会か国会などの承認が必要となる。
実施者が自ら実施することの適否を考えてはいけないのは、「裁判官が法律を作って裁く」とか「牧師が聖書を書き直して教会で使う」などがそれにあたり、専門家には許されてはいない。
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この2つの当たり前のことがあるのに、多くの医師や専門家が「1年1ミリより多くの被曝はかまわない」と言っていることは理解に苦しむ。もう少し職業倫理をしっかりしてもらいたい。
「その場にいて被曝を増やす」とか「汚染されている食材を給食に出すのを認める」というのは、「安楽死=能動的な医療過誤」であることと同じように、「被曝許容=受動的な医療過誤」であることは間違いない。
医師の治療は自ら能動的に行う場合と、患者や一般人が健康を害することが明らかであったり、法律で定められていることに違反して直接、国民に呼びかけることはできない。医師も理性と倫理観を持って貰いたい。
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ところで、このような場合でも、「国民の被曝が終わったら」議論は大切である。つまり1年1ミリという規制は時代とともに変わるので、大いに議論が必要である。しかし、第一に専門家同士の議論が先になければならず、被曝中に国民に呼びかけてはいけない。
時速80キロに制限されている高速道路を走っている最中に、時速160キロに変えてはいけないということだ。医学者や医師は判断能力があるのだから、ここで書いた内容を理解していただき、国民の健康を守る確たるルールを作ってもらいたいと思う。
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