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11月20日茨城県北部でM5.5、震源深さ7キロの地震が起こりました。この大きさの地震としては異例の浅さであると思います。
大きな地震が関東近辺で起こる可能性が高いと思います。
その中で、最も影響が大きいのが若狭湾原発群での事故です。以下、それについての大阪弁護士会の声明を引用しておきます。特に次の2点は注目です。
1.本年5月11日の衆議院経済産業委員会で寺坂信昭原子力安全・保安院院長は、
敦賀半島の美浜発電所、敦賀発電所及び高速増殖炉「もんじゅ」は、いずれも活断層から
1km 以内にあり、世界的にもこのような例は他に承知していない旨答弁した。若狭湾周
辺では過去に濃尾地震(明治24年、M8.0)、北丹後地震(昭和2年、M7.3)福井
地震(昭和23年、M7.1)、鳥取県西部地震(平成12年、M7.3)などの地震が発
生している。本年5月23日に開催された参議院行政監視委員会で石橋克彦神戸大学名誉
教授(地震学)は、若狭湾地域について、「浜岡原発の次」と言ってもいいほど地震のリスクが高く非常に危険な地域である旨を述べた。
2.福島原発事故はいずれも当初の耐用年数である30年を超過した老朽炉で発生
しているが、若狭湾沿岸の原発にも老朽炉が多い。美浜の3基、大飯1号機、2号機、高
浜1号機、2号機及び敦賀1号機は、いずれも稼働30年を超過した老朽炉である。老朽
化した原発はとりわけ地震動に対して脆弱である。また、高速増殖炉「もんじゅ」はナト
リウム漏れ事故等を繰り返し、ほとんど稼働しておらず、老朽化以前の問題として、技術
的にも未確立であって安全性が確保し得ない状況にある。
http://www.osakaben.or.jp/web/03_speak/seimei/seimei110729.pdf
若狭湾原子力発電所の再稼働と老朽炉に関する会長声明
若狭湾沿岸には、関西電力美浜発電所に3基、同大飯発電所に4基、同高浜発電所に4
基、日本原子力発電敦賀発電所に2基、の合計13基の原子力発電所が集中し、また、高
速増殖炉「もんじゅ」も設置されている。
本年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を原因とする福島第
一原子力発電所の事故(以下「福島原発事故」という。)は、放射能汚染による大惨事を引
き起こした。今後、若狭湾沿岸地域において、地震により原子炉等が損傷して福島原発事
故と同程度の事故に至ることとなれば、少なくとも各原発から30〜50km に位置する
近畿の「水がめ」琵琶湖に放射能汚染が及ぶことは確実であり、これにより京阪神地区1
400万人の生命・健康に危険が及ぶ重大な事態が引き起こされる。このような放射能汚
染による苛酷な人権侵害を絶対に惹起しないことが必要である。
しかし、今回の地震と同規模以上の地震が今後若狭湾沿岸地域付近で発生するおそれは、
確実に存在する。すなわち、平成7年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)以後、わが
国の地震活動は平穏期から活動期へと移行したとされ、今回の地震により東海・東南海・
南海地震が誘発され、あるいは中央構造線や各地の活断層が誘動されるおそれが指摘され
ている。本年5月11日の衆議院経済産業委員会で寺坂信昭原子力安全・保安院院長は、
敦賀半島の美浜発電所、敦賀発電所及び高速増殖炉「もんじゅ」は、いずれも活断層から
1km 以内にあり、世界的にもこのような例は他に承知していない旨答弁した。若狭湾周
辺では過去に濃尾地震(明治24年、M8.0)、北丹後地震(昭和2年、M7.3)福井
地震(昭和23年、M7.1)、鳥取県西部地震(平成12年、M7.3)などの地震が発
生している。本年5月23日に開催された参議院行政監視委員会で石橋克彦神戸大学名誉
教授(地震学)は、若狭湾地域について、「浜岡原発の次」と言ってもいいほど地震のリス
クが高く非常に危険な地域である旨を述べた。
そして、若狭湾周辺地域でひとたび大地震が発生すれば、各原発等の損傷による放射能
汚染事故を完全に抑止することはほぼ不可能である。
現行の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」は、1981年7月に原子力安
全委員会が決定したものを、2006年9月に見直したものである(以下「新耐震設計指
針」という)。しかし、新耐震設計指針に従った柏崎刈羽原発は、2007月7月の新潟県
中越沖地震(M6.8)により甚大な被害を受けた。今回の地震により福島第一原発の2、
3、5号機が受けた地震動は東京電力が新耐震設計指針により想定したものを上回ってお
り、1号機では想定内の地震動でも深刻な事故に至っている。また、現行の「発電用軽水
型原子炉施設に関する安全設計審査指針(以下「安全設計指針」という。)は、1970年
に原子力安全委員会が定め、1977年に改定したものを、1990年8月に見直したも
のであるが、安全設計指針においては、地震・津波により複数の設備・機器が同時に故障
することも、長時間に及ぶ全電源喪失の危険性も全く想定されていなかった。そして、若
狭湾沿岸の原発も、このような不十分な指針のもとで稼働を許容されているという点にお
いて、福島原発等と異なるところはない。本年6月22日、原子力安全委員会は、福島原
発事故を踏まえた安全設計指針と新耐震設計指針の見直しを決めた。しかし、福島原発事
故の現状は、未だ収束の目途も立たず、事故の詳細な経過と原因の解析、特に地震動によ
る被害の程度と内容についてはほとんど明らかとなっていない。
加えて、福島原発事故はいずれも当初の耐用年数である30年を超過した老朽炉で発生
しているが、若狭湾沿岸の原発にも老朽炉が多い。美浜の3基、大飯1号機、2号機、高
浜1号機、2号機及び敦賀1号機は、いずれも稼働30年を超過した老朽炉である。老朽
化した原発はとりわけ地震動に対して脆弱である。また、高速増殖炉「もんじゅ」はナト
リウム漏れ事故等を繰り返し、ほとんど稼働しておらず、老朽化以前の問題として、技術
的にも未確立であって安全性が確保し得ない状況にある。
以上のとおり、若狭湾沿岸の原発等については、今後大地震に遭遇する現実的な可能性
があり、かつ、そうなれば福島原発事故と同様の放射能汚染が生じるおそれが極めて大き
い。原発事故は、その被害の深刻さを考えれば、前記のとおり絶対に起こしてはならない
ものである。ところが、地震や津波の規模、原発への影響等を完全に想定することは不可
能といわざるを得ない。したがって、原発事故を完全に抑止する手段は、原発および高速
増殖炉「もんじゅ」を稼働させないこと以外にはあり得ない。
政府は、本年7 月6日、新たに原発再稼働に向けた耐性評価(ストレステスト)の実施
を発表し、早急に1次評価を開始する方針を示した。1次評価の項目には、地震、津波、
全電源喪失、などが挙げられているものの、基準や評価方法などは不明確なままであり、
上記のところからすれば、これは単なる再稼働のお墨付きに終わる可能性が高いといえる。
なお、原発を停止、廃止すべしとの考え方に対しては、それでは電力供給が不足し、国
民生活に重大な影響を与えるとして、これに反対する意見もある。しかし、「原発の廃止」
と「電力の不足」とを互いに同一平面で比較考量すべきものと考えることはできない。基
本的人権の擁護の観点からも、まず原発廃止を前提とし、その前提のもとで、電力供給等
の問題を検討していくことが必要である。日本弁護士連合会が本年7月15日に公表した
「原子力発電と核燃料サイクルからの撤退を求める意見書」の中では、わが国の原発をす
べて止めても既存の供給力により直ちに供給不足の事態にはならないこと、種々の需要抑
制策及び再生可能エネルギーへのシフト等により今後の電力供給にも欠けるところがない
ことが論じられている。したがって、今後のエネルギー政策については、原発廃止を前提
とし、電力供給等に関する正確かつ詳細な情報公開の下で国民的議論により決すべきであ
る。
以上より、国、関西電力株式会社、日本原子力発電株式会社及び独立行政法人日本原子
力研究開発機構に対し、次のとおり要請する。
@ 稼働開始から30年以上を経過した原発(美浜原発全部、大飯1、2号機、高浜1、
2号機、敦賀1号機)及び高速増殖炉「もんじゅ」を直ちに廃止すること。
A 上記@以外の原発は、10年以内のできるだけ早い時期に全て廃止すること。
廃止までの間、定期検査等で停止した原発については、福島原発事故の解析を踏まえた
安全設計指針および耐震設計指針の改定が行なわれ、かつ、これら安全基準について国
民的議論が尽くされたうえ、その安全基準に適合しない限り、再稼働させないこと。
2011年(平成23年)7月29日
大 阪 弁 護 士 会
会 長 中 本 和 洋
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