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腐海の構造(2)
ヤブロコフ『Chernobyl』の第9〜10章:「チェルノブイリ放射能の植物および家禽に対する影響」の解釈を記す(詳細は爺さんの報告を待つとして)。まず、生態系全体が、まるで大隕石でも当たったかのような衝撃を受け、従来のものとは根本的に異なる生態系が生まれていることがわかる。(1)ショウジョウバエは、放射能に対する耐性を獲得し、低濃度汚染エリアとはうってかわって、高濃度汚染エリアで致死的な遺伝的変容が少なくなった(放射能環境に適応した)。条虫類および線虫類の数が増えた。ミミズは成虫しかいなくなった。通常、無性生殖であるところの貧毛類は、生殖細胞を持つようになった。要するに有害な寄生虫や害虫が大幅に増え、新種の虫や従来とは違う遺伝子を持った虫(遺伝子組み換え虫)が発生している。また、(2)植生の破局が観察される。かしの木には癌のような「こぶ」ができ、植物さえもがんだ。まるで化け物のような多核の植物や、染色体欠損・葉緑素の遺伝的変容によるミュータントも生まれている(新種の)。黒さび病にかかったキノコもいる。ベビーリーフであってもそれは老化した葉だ。放射能の影響で、葉の表面には今までにはない「斑点」が浮き出るようになった。種の多様性が失われ、偏った異様な分布を持った新たな生態系が誕生している。ミュータントだらけの腐海だ。(3)腐海の動物達では、吸収したストロンチウム90の体内濃度が事故後10年間でどんどん上昇した(100Bq/kgから600Bq/kgへと)。ツバメではアルビノが多発し、ハタネズミ(bank vole)は22世代後になっても染色体の欠損が観察され胎児の体内での死亡が有意に上昇している―被爆の影響は永遠。豚は受精できなくなり、鳥達も免疫不全に陥って病気だ。動物も甲状腺がん・乳癌を発症しているし、感染症にかかりやすくなっている。
東日本の農地は遺伝子組み換え作物/動物の実験場になったに等しい。BT菌(バチルス菌)のクルスタキィの遺伝子を組み込んだトウモロコシを食べたガやチョウの幼虫は、腸の内部に穴が開いて死ぬことはよく知られている。形はいままでと同じキュウリやナスであっても、それらは遺伝子組み換え作物だ―虫が食べて死ぬようなものを食べれるわけがない。腐海は、病気になった異形の化け物のような動植物たちが、互いを貪り食うSFのような世界だが、それがまさにチェルノブイリ同様、福島を中心とする東日本に出現したのだ。野菜を検査した結果、セシウムが検出されなくても、遺伝子組み換えの野菜・奇形の病気野菜は食べてはいけないという真に絶望的な結論が導かれる。セシウムやウランに汚染されていなければ食べられる、という単純な話ではなく、放射能生態系(腐海)で育ったものは危険で食べれない。原発事故を、絶対に、絶対に、起こしてはならなかった理由の一つがここにある。腐海に侵された生態系は捨てるしかない。人間が病気になるのはもちろんのこと、野菜や家畜も奇形・病気になってしまう(旧ソ連でこのような事実を公表した学者は銃殺刑か監獄に収監されただろう。しかし、ここは日本だし、本当のことを言っていいのだ。)土壌・大気・水中において放射性核種の大循環が始まった腐海を除染できるわけがない―腐海に入れば、除染中に追加で被爆してしまう。
東京からは避難しなければならない。ラットによる実験では、東京都と汚染レベルがほぼ等しいキエフにおけるネズミの平均寿命は約21.6ヶ月であり、事故が起きる1986年以前にはその平均寿命は28.2ヶ月だった(チェルノブイリ近郊ではもっと短く、20.3ヶ月;p.263)。また、同様にラットの発癌は、キエフでは平均して生後14ヶ月後に、チェルノブイリでは10ヶ月後に起きた(1985年には16ヶ月だった)。また、癌の発生率は、キエフでは17%、チェルノブイリでは35%だった(1985年には5%だった;p.271)。低線量被爆エリアでも癌の発生率は有意に上昇し、寿命も有意に短くなっている。子供や妊婦は、矢ケ崎先生のいうとおり、東京を離れた方が無難だ。
首都圏にいれば、東日本の腐海で育った農作物・家畜が流通してきてそれらを食べざるを得ない。その健康に対する影響が、どのようなものとなるのか、過去に学んで推して知るべし。
(参考)腐海の構造(1)−放射性核種の永続的循環
http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/517.html
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