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ヤブロコフ他 『チェルノブイリ』 追補B 第U章5節 免疫系障害
http://www.asyura2.com/11/genpatu18/msg/560.html
投稿者 爺さん 日時 2011 年 11 月 20 日 01:00:36: pkMRoq8j2xu8g
 

以前の投稿で省略された部分の追補です。情報として投稿します。
(私の投稿分には、抜粋と断ったもの以外、本文の省略はありません。)
原文 http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf

汚染地域、汚染地帯とはフォールアウトがあった場所全般を指します。
Bq/m2とBq/kgの変換には80を用いました。専門用語はネットで調べて下さい。

(以下訳文追補)

5.4. 免疫系疾患

5.4.1. Belarus

4. Bリンパ球数と血清免疫グロブリンGレベルが、Mogilev州とGomel州の汚染地域出身の子供たちで、破局1年後に増加し始めた。
その子供たちは破局時に2歳から6歳であった。
(Galitskaya et al.,1990)

5. Mogilev州のCs-137レベル5Ci/km2(2,312.5Bq/kg)以上に汚染された地域の子供たちは、細胞膜安定性が有意に減少し、免疫障害を有していた。
(Voronkin et al.,1995)

6. Tリンパ球レベルは、破局時に7歳から14歳の子供たちで、放射線レベルと相関していた。
(Khmara et al.,1993)

8. 抗腫瘍免疫は、子供たちと退避者で、重度に汚染された地域では有意に低かった。
(Nesterenko et al.,1993)

9. 免疫系抑制が、30km地帯に近いBraginsk地区で、破局直後に子供たちに生じた。いくつかのパラメーターの正常化は1993年になるまで生じなかった。
(Kharytonik et al.,1996)

12. 免疫変性は、Gomel州の子供たちでは、放射性核種のスペクトルに依存していた。同一レベルのSr-90とCs-137による放射線が、異なる結果をもたらした。
(Evets et al.,1993)

14. 免疫状態の有意な競合的差異が、異なるCs-137汚染を伴う地域出身児童で生じた。
(Table 5.30;

Pinsk,Brest州 1-5Ci/km2(n=67) (462.5-2,312.5Bq/kg)
Tリンパ球数・Tサブレッサー(年長児)・サプレション指数・Tヘルパー(全年齢)の減少。
CIC・IgM(全年齢)・IgA(6歳児まで)は増加。

Bragin,Gomel州 40-80Ci/km2(n=33) (18,500-37,000Bq/kg)
Tリンパ球数増加。(全年齢)  Tリンパ球ヘルパー減少。(年長児)  Tサブレッサー増加(最年長児)

Krasnopolsk,Mogilev州 最大120Ci/km2(n=57) (55,500Bq/kg)
全児童で、体液細胞性抑制・Bリンパ球減少・CICレベル上昇・補体過敏・IgGとIgA食細胞活性低下。)

16. 細胞媒介性免疫の有意な変異が、ミンスクで甲状腺ガン手術を受けた146名の児童と10代で記録された。
これらの変異は次を含む。Tリンパ球数減少(児童の30%と10代の39%)、Bリンパ球レベル低下(42%と68%)、Tリンパ球減少(58%と67%)、サイログロブリンに対する抗体の高力価、60%の児童に好中球性白血球増多症。
(Derzhitskaya et al.,1997)

17. 細胞性と体液性免疫双方の変性が、高レベル汚染を伴う地域に住む健康な成人に見られた。
(Soloshenko,2002;Kyril'chik,2000)

20. 細胞性免疫の全パラメーターの有意な変異が(体液性の変化無しに)、リクイデーターのもとに生まれた子供たちに見られた。
(Arynchin et al.,1999)

5.4.2. Ukraine

1. 免疫不全が、子宮内で被曝した子供の43.5%に、破局後最初の2年以内に見られた。(対照群は28.0%;p<0.05)
(Stepanova,1999)

10. 細胞性と体液性の有意な免疫障害が、それはTそしてBロゼット形成細胞減少とIgAおよびIgGグロブリン数の減少やTヘルパー/Tサブレッサー指数増加により表されるが、高レベルの放射性核種を伴う地域で見られた。
(Soloshenko,2002)

11. 1986年から1987年のリクイデーターは免疫障害を有する。それは、破局6年から8年後の、体液細胞性免疫抑制と感染への抵抗力の弱さにより表される。
(Chumak and Bazyka,1995)

5.4.3. Russia

1. 重度に汚染された地域に住む子供たちは、全般的なまた特定の免疫抑制および抗酸化物と交換神経副腎系の機能不全を持つ。
(Terletskaya,2003)

2. 児童と10代計144名の調査が、Cs-137レベル最高101.6Ci/km2(46,990Bq/kg)のBryansk州Krasnogorsk地区でなされた。
その児童と10代は次の変異を示した。
T細胞の相対数と絶対数の減少、免疫調整指数(T4/T8)増加、白血球Tヘルパー(CD4+)の相対数とTサブレッサーの相対・絶対数の減少。
(CD8+; Luk'yanova and Lenskaya,1996)

4. Krasnogorsk地区のより放射性汚染された地域では、非特異的エステラーゼ(未分化T細胞の一標識)の有意な低活性と、強い粒状反応を伴う中間サイズ白血球数の有意な増加があった。
(Lenskaya et al.,1995)

5. 高レベル汚染を伴うKursk州の地区に住む11歳から13歳の児童と妊婦は、機能的かつ量的白血球変性と、循環血清免疫複合体の有意な増加を有した。
(CICs;Alymov et al.,2004)

7. Bryansk州の重度に汚染された地区で、児童と10代は、T細胞の相対・絶対数の著しい減少、白血球・Tヘルパー(CD4+)・Tサブレッサー(CD8+)の相対数の有意な低下、免疫調整指数(T4ヘルパー/T8サブレッサー)の上昇を示した。
この指数は子宮内での被曝線量と有意に相関していた。
(Kulakov et al.,1997)

9. 汚染地域では、適応反応リンパ球を持つ住民の数はより少なく、リンパ球の放射線感受性が上昇した住民の数がより多い。
(Burlakova et al.,1998)

12. 非常事態作業参加4年後、デルモルフィン(D-アラニンを含む鎮痛ペプチド)の正常レベルは、検査されたリクイデーターのほんの17%で回復していたに過ぎない。
他2種類の神経ペプチド(ロイシン及びメチオニン-エンケファリン)のレベルは、検査されたリクイデーターの50%以上で標準を超えていた。
(Sushkevich et al.,1995)

13. 神経心理学的障害を有するリクイデーターは、二次免疫不全状態を進展させた。(Tリンパ球減少症、Tヘルパー/Tサブレッサー比の障害を伴うT細胞亜集団の均衡喪失など。)
Tヘルパー数は(CD4+)、検査されたリクイデーターの90%で減少した。また15%は循環Tサブレッサー細胞数が有意に減少した。
これらの集団では、免疫調整指数(CD4/CD8)の変化に自然状態とは反対の変異が生じた。
CICレベルは、検査されたすべてのリクイデーターで増加した。
末梢血好中球の食細胞活性は検査された者の80%でより低く、大食細胞活性は85%でより低かった。
(Kut'ko et al.,1996)

(以上5.4.追補訳)

 

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コメント
 
01. 2011年11月20日 17:39:05: 03bw0jfJsI
投稿者さま大変な作業の結果をお知らせくださってありがとうございます、
人に対する大きな愛を見た想いで感動しました。

02. 2011年11月20日 23:36:19: FEC1zKK4NY
私はたまたま副腎と甲状腺とにポリープがみつかったので、両方の医者から
免疫系障害の話を聞けたが、免疫系にはあらゆる体のバランスに係わる機能
もあって、基本的な体温・血圧・骨へのカルシウム吸収なども含めた幅広い
ものだそうだ。

「交換神経副腎系の機能不全を持つ」とはそういう生命体の基本的機能への
障害をかかえることだ。高汚染地域の子供にそんなたいへんなハンディーを
負わせてはならない。


03. mainau 2011年11月21日 01:37:04: GgaPs4QXWLwO2 : 85rTG3hiJk
>>免疫不全が、子宮内で被曝した子供の43.5%に、破局後最初の2年以内に見られた

おそらく、癌とか白血病とかよりも、最初にフクイチの被曝によって健康障害がはっきりと見られるのは、こういう免疫不全、リンパ系の障害などではないかと、ここから推測される。
子宮内で被曝した子供の43.5%か、この厳しい数字。
胎内被曝というやつだ。


04. 2011年11月23日 09:22:56: 0XvpCb3vFI
ありがとうございます。この論文の載っているニューヨークアカデミーとは、もちろん信頼に値するところだとおもいますが、にわかには信じられない記述が300ページほど。青ざめて読みました。ずっと以前の投稿、サプリ言及のところを探しています。大学一年の子持ちの私ですが、数年で関東をトンズラします。

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