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13日の日経新聞P.13の「日曜に考える」で、11月2日から3日にかけて騒動になった“再臨界”疑惑が扱われている。
ちょうどTPP参加問題が佳境を迎えていたということもあり、当時は事実関係をチェックするだけ精一杯だった。
騒動は、東電が当初発表した再臨界(局所的瞬発的)によるキセノン(133,135)生成説が覆され、自発的核分裂によるキセノン(133,135)の生成という話で落ち着いたように思った。
検出されたキセノン濃度、原子炉まわり温度の変化、ヨウ素131の非検出などから、キリウム(242,244)の自発的核分裂によりキセノンが生成されたと説明されることで、再臨界が否定されたように記憶している。
格納容器につながっている配管に装着されているフィルターからキセノンが検出されたそうだが、どこ(原子炉or格納容器orその他)で生成されたものなのか、半減期との関係でいつ生成されたものなのかなどがわからないまま、濃度や原子炉まわり温度などのデータを使ってあれこれ言われても、“メルトダウン”や“臨界”という言葉に異常なほどのタブー意識がある政府の言として、「まあ、聞いておきましょう」としか言えないだろう。
注水が継続されているなか、格納容器で局所的瞬発的な再臨界が起きても、原子炉まわりの温度がそれほど上昇することはないはずだ。(原子炉内でもそれほど急激に温度は上昇するとは思われない)
キセノンの半減期は、133が5.3日で135が9.1時間である。
濃度(40ベクレル/cm3程度)を対象にあれこれ言うからには、そのキセノンがいつ生成されたのかを説明しなければ始まらない。また、臨界だとキセノンの濃度は検出値の1万倍以上になると簡単に言っているが、臨界でどれくらいの量のウラン235が核分裂を起こしたかによって、生成されるキセノンの量は異なるのだから、1万倍の濃度は臨界の規模をどれくらいと想定したものかを説明しなければならない。
溶けた燃料内にあるキュリウムの量から自発核分裂で生じたとみられる量を計算すると検出されたキセノンの濃度に合致するとも説明しているが、核燃料がどこにどれだけあるかさえわかっていない状況で、よくもそんな見積もりができたものだと感心する。
局所的瞬発的に連鎖的な核分裂が起きる再臨界と“高い確率”の自発的核分裂が、メルトスルーや様々な損傷を負っている原発プラントの安定性にとって決定的な違いがあるとは考えていない。
ともに、新しく核分裂生成物ができ、鮮度の高い放射能が外部にも放出される事象である一方で、核暴走に至る可能性はどちらも非常に低いと考えているからである。
転載する記事にもあるが、「これまで事故を過小評価する発言が目立った」東電や保安院が再臨界の可能性があると発表したのは、不勉強を否定はしないが、通常ではあり得ない放射性物質を検出したからに他ならない。
また、政府が再臨界を否定する一つの根拠として使った原子炉まわりの温度変化を知っている東電が、再臨界の可能性を公表したのである。
東電と保安院がそこそこ勉強しているという条件で、別の可能性で説明できる範囲のキセノンの検出であれば、「これまで事故を過小評価する発言が目立った」東電や保安院だからこそ、再臨界ではなく他の可能性を公表したはずだ。
とにかく、自発的核分裂説を主張するのなら、その考え方が妥当かどうか、自発的核分裂はホウ酸を注入してもほとんど変わらない事象のはずだから、その後の2号機格納容器のキセノン生成状況を公表しなければならない。
さらに、1号機や3号機にも「ガス管理システム」を設置し、キセノンがどのようなインターバルでどれほど生成されているか分析し公表するようにすべきであろう。
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福島原発の臨界騒動
東京電力福島第2原子力発電所の2号機で、今月初めに放射性物質のキセノンが検出され、「一時的に臨界になったかもしれない」と騒がれた。東電はデータを解析し「自発核分裂だった」と結論づけたが、「臨界騒動」は原子炉内の核燃料の状態を把握できていない危うさを浮き彫りにした。政府と東電は年内をメドに冷温停止に持ち込む目標を変えていない。このまま「安全宣言」をしても説得力に欠く。
炉内の把握困難露呈 冷温停止、目標変えず 「安全宣言」へ不安も
騒ぎの発端は2日午前3時半過ぎ、東電が報道各社に送った電子メールだった。2号機から半減期(放射性物質の量が半分になる期間)の短い放射性キセノンを検出、「核分裂反応が発生している可能性が否定できない」として、臨界を防ぐホウ酸水を原子炉に注入したと説明した。
同日午前の東電の記者会見で、これまで事故を過小評価する発言が目立った松本純一原子力・立地本部長代理は「一時的に臨界になった可能性はある」とコメント。ほぼ同じ頃、緊急会見を開いた経済産業省原子力安全・保安院の森山善範・原子力災害対策監も「自発核分裂の可能性はないのか」という質問に「臨界が局所的に起きているかもしれない」と、臨界の可能性の方を強調した。
核分裂反応が連鎖する臨界となると、再び原子炉の温度が上昇し、燃料が溶け出し、大量の放射性物質が放出される恐れも出てくる。炉のデータに大きな変化はなかったのに、なぜ臨界の懸念を表明したのか。濃度を試算せず 複数の関係者によると、東電は今回の2号機の気体分析でキセノンの検出を予想しておらず、臨界か、放射性物質が一定の割合で自然に分裂する自発核分裂かを判断するキセノン濃度を事前に試算していなかったという。高橋実・東京工業大学准教授は「炉内はまさに“ブラックボックス”。キセノンが検出されて東電は相当動揺したのではないか」と推測する。
福島第1原発が臨界に達するには@溶け落ちた核燃料が固まって粒子状になり、隙間に(臨界に欠かせない)水が入ったA一部の核燃料がもともとの位置で溶け残っており、そこが水につかった−−など、複数のシナリオが考えられる。
「炉内の状態をどう推定するかで結果も変わる」(高橋准教授)。事故後8カ月たった今も、どの程度の燃料がどこに溶け落ちたのかが全く分かっておらず、臨界という最悪の事態を想定して対応せざるを得なかったようだ。
「劇的に変わらず」
政府と東電が原子炉安定の目安とする冷温停止の期限まであと1カ月余り。原子炉の温度や圧力、放射性物質の放出量は目標を達成しているが、そもそも、原子炉内の状況が分からないままで冷温停止を宣言する意味があるのか。
内藤正則・エネルギー総合工学研究所安全解析グループ部長は「冷温停止しても、状態が劇的に変わるわけではない」と指摘する。
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炉心溶融、冷温停止・・・
都合良く変わる定義 専門用語解釈で混乱
福島第1原発の事故では、「炉心溶融(メルトダウン)」を皮切りに原子力用語の解釈の違いが混乱を招く大きな要因となった。専門家の間でも定義が曖昧で、都合よく用いられるケースも見受けられた。1〜3号機が炉心溶融するという原発事故を誰も想定していなかったのだろう。前代未聞の大惨事に言葉が追いついていかなかった。
炉心溶融を巡っては事故直後から使い方が混乱した。核燃料が過熱して溶け出す深刻な状況を指すが、少しでも溶けたら炉心溶融なのか、大部分が溶け落ちて初めて炉心溶融とするのか、専門家によっても意見が分かれた。
経済産業省原子力安全・保安院は3月12日に「1号機で炉心溶融が進んでいる」と言及したが、翌日には撤回。4月に核燃料の損傷度合いを「炉心損傷」「燃料ペレットの溶融」 「メルトダウン」の3段階で定義した。内藤正則・エネルギー総合工学研究所安全解析グループ部長は「事故を受けて言葉を都合よく変えた印象もある」と言う。
事故収束の当面の目標である「冷温停止」も、原子炉が安定した状態を示す言葉で、もともとは通常の原発が定期検査に入る前に使う。政府や東電は4月に示した工程表で冷温停止を目梗に掲げたが、その定義を「福島第1原発向け」に変えて正式に発表したのは7月になってからだった。
今回の臨界騒動でも、東電は「一時的」や「局所的」と説明したが、JCO臨界事故のイメージも重なり波紋が一気に広がった。
[日経新聞11月13日P.13]
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