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シリーズ原発の深層 第3部 差別と抑圧超えて@ 専制支配で原発推進
「しんぶん赤旗」 2011.10.30 日刊紙 1面
「組合役員の選出時期をえらび(共産)党員、民青同をしりぞけ良識派の育成選出をはかる」「容共左派分子を…ABCランクに区分けし、諸対策を講じてゆく」。1960年代中頃の東京電力の労務対策の内部文書です。
内部文書には、「悪影響を及ぼすと考えられた者については…配置転換をし」「如何に仕事に熱心でも…昇給時の査定額をゼロとする」など、憲法無視の不当な攻撃が列挙されていました。
東電は常務会などでこうした方針を決め、日本共産党員や支持者らを監視・抑圧する専制支配を推進。利潤優先の経営や労働強化などに反対する労働者のたたかいを抑え込むのが狙いで、原発推進で一層強まります。
あらゆる差別
電力職場では戦後、全国単一の日本電気産業労働組合(電産)のたたかいが高揚。50年のレッドパージで多くの共産党員らが職場から追放され、企業別組合ができてからも、国民本位の電力事業と労働者の生活向上を求める運動が広がっていたからです。
神奈川県内の事業所で働いた原信夫さん(65)も差別を受けた一人。労組・青年部の集会などで積極的に発言するなどの活動していたため、賃金差別、「職場八分」などあらゆる差別を受けました。
「フロア全体で行う飲み会にさえ誘われなかった。会社の意のままになる労働者をつくるための“見せしめ”だったのです」 鶴見火力発電所(同県)などで働いた有坂直幸さん(70)も、入社2年目でただ一人マイナス査定を受けました。「社宅入居の申請書も受け付けない。夜食時も仲間外れ。土産も食べてくれなかった。全部会社が仕向けたことです。転向を強要された仲間もいました」と話します。
レッテル貼る
攻撃は共産党員にとどまりません。69年当時29歳で本店勤務だった谷口栄子さんは、主宰する同人誌を問題視され、支社への異動を強いられました。
「女子社員で童話や随想を書いていただけなのに、東電は社員が自発的に会や雑誌をつくること自体を問題にしたんです。支社ではアカだとレッテルが貼られていました」 74年2月、山梨支店塩山営業所で働く渡辺令子さんも突然、上司に呼ばれ、「あなたは共産党員か。共産党員でなければ、書面に書いて提出せよ」と強要されました。
渡辺さんは、熱心なクリスチャンで、平和問題の署名を集めていたことから、共産党員と判断されたのです。
「心の中まで会社の言いなりにされる」と慄然とした渡辺さんは、甲府地裁に提訴。76年には、東電の各職場に働く日本共産党員・支持者142人が、1都5県の地裁に提訴し、会社に対する差別撤廃の裁判に立ち上がりました。(91年に29人が2次提訴) ◇ 無謀な原発推進路線の背景には、各電力会社や研究機関で、原発の危険性を考える人々を差別し、批判を封じる“専制体制”がありました。その実態を追います。
(つづく)
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