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http://mainichi.jp/select/wadai/news/20111028ddm001040031000c.html
この国と原発:第3部・過小評価体質/1 黙殺された確率評価
◇「津波リスク、交通事故死以上」 「寝た子起こすな」
「津波の評価を行う際、想定外を考慮することが重要」との書き出しで始まる英文の報告がある。東京電力の原子力部門の技術者らが、06年7月に米国であった原子力工学の国際会議で発表した内容で全7ページ。福島第1原発の津波リスクが試算され、結果を示す図には、想定外の津波に襲われる確率が年5000分の1程度であることを示す曲線が描かれていた。日常生活に当てはめると、交通事故で死亡するリスク(年1万分の1程度)より高い確率だ。
原発のリスク評価が専門の平野光将・東京都市大特任教授は「想定をわずかに上回る津波でも、(最終的に原子炉の熱を除去する)海水系が壊れれば、シビアアクシデント(過酷事故)に至る可能性がある。対策をしなかったのは、安全文化の欠如によるサボタージュではないか。これでは『想定外』の事故とはいえない」と指摘する。
技術者たちは、明治三陸地震(1896年)など大津波を起こした地震に加え、明治三陸規模の地震が福島県沖で起きた場合なども組み合わせ、確率論的安全評価(PSA)と呼ばれる手法で試算した。
対策に生かさなかった理由を、東電は社内の事故調査委員会に「試行的な解析の域を出ていない」などと説明した。だが、PSAに詳しい蛯沢勝三・原子力安全基盤機構総括参事は「当時の範囲では最適の方法と判断していい」と解説する。
大地震などによる想定外の事故のリスクが数字で明確に表されるPSA。06年に改定された国の原発耐震設計審査指針の審議では、導入が検討されたが、見送られた。改定を検討した内閣府原子力安全委員会の分科会委員だった入倉孝次郎・京都大名誉教授は「指針でPSAを決めなかったため、過酷事故の確率が表ざたにならなかったという問題はあると思う」と話す。
なぜ、導入されなかったのか。分科会委員でPSA義務化を求めていた大竹政和・東北大名誉教授は、経済産業省原子力安全・保安院の知人からこう聞かされたという。「指針を近代的なものにしなければならないが、寝た子を起こすことになってしまったら、あぶはち取らずだから」
大竹名誉教授は解説する。「(国や電力会社は)原子力は安全だと言ってきたのに、リスクがあるということになるとやりにくい。リスクに光を当てることは『禁忌』だった。保安院が規制と原子力行政を進めるには、電力業界の支援なしにはできない。電力には経産省OBも天下り、先輩がいる会社に大きなことは言えない」=つづく
◇
原発事故はなぜ防げなかったのか。国の安全審査や電力会社の対策に潜む「過小評価体質」を追う。
毎日新聞 2011年10月28日 東京朝刊
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