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市原エコセメント停止 千葉39市町村 焼却灰対応に苦慮
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011111190125233.html
2011年11月11日 12時52分 東京新聞
自治体の清掃工場から出る焼却灰を原料にセメントを製造する「市原エコセメント」(千葉県市原市)の工場排水から国の目安を超える放射性セシウムが検出された問題で、同社の操業停止が続き、焼却灰を搬出していた同県内三十九市町村は対応に追われている。新たな搬出先が確保できず、一時保管している自治体も少なくない。同社は県全体の焼却灰の約二割を処理しており、操業停止が長引けば影響は深刻化しそうだ。 (小川直人)
船橋市では、九月の実績で焼却灰千百五十トンのうち、五割強の六百二十一トンを市原エコセメントに搬出。放射能問題を理由に七月に県外の施設から引き取りを拒否され、一割程度だった同社への割合が高くなっていた。
同社分の焼却灰のうち、燃えかすの「主灰」は他の業者に搬出する見通しが立ったが、排ガスから出る「飛灰」は清掃工場建屋内に保管。すでに二十六トンを超えた。
同市の焼却灰の放射線量は低下傾向にあるが、十月は主灰で一キログラム当たり四七三ベクレル、飛灰で五三三〇ベクレルを計測。担当者は「飛灰は高く出るので、引受先はすぐに見つからない」と頭を悩ませる。
千葉市は年間の焼却灰総量の約三割にあたる七千トンを同社に運ぶ計画だったが、現在は新内陸最終処分場(若葉区)に搬出。このままでは本年度中に、約二千三百トンが埋め立てられることになる。市の担当者は「唯一の最終処分場は大事に使わないといけないのに…」と困惑顔だ。
浦安市は焼却飛灰を全て同社に搬出していた。一日の発生量は約十トン。現在は約二十トンを市内の特別なサイロ(貯蔵施設)で保管し、主灰を運んでいる茨城県内の最終処分場に飛灰の受け入れを交渉中。市原市も約四十トンの飛灰を一時保管する。
一方、「佐倉市、酒々井町清掃組合」は焼却量自体を二割減らし、焼却灰は別の業者に引き取ってもらうなど、契約していた別業者に振り替えて搬出している自治体も多い。
こうした中、操業停止が長引くことへの不安は大きい。「放射線量が高いと受け入れない業者が増えている。うちは三〇〇〇ベクレルを超えているから先行きは暗い」(同組合)。「受け入れ費用の高騰も心配だ」(千葉市)。
県資源循環推進課によると、同社は県全体の焼却灰二十二万千トンのうち、約二割の四万二千九百トン(二〇〇九年度)を受け入れていた。現在は排水の放射性物質濃度の低減化策を探っているが、再開のめどは立っていない。同課の担当者は「県内自治体への影響は大きく、再開に向けた技術的支援も検討している」と話している。
<市原エコセメント> 焼却灰を再利用するセメント製造装置の洗浄に使い、東京湾に流していた排水から最大1キログラム当たり1054ベクレルの放射性セシウムが検出され、県の指導も受けて2日から操業を停止した。セシウム濃度は国が排水の上限とする目安の約15倍。県は周辺海域への影響を調べるため、市原港沖など5カ所で海水を調査したが、いずれの地点も放射性セシウムは「不検出」だった。
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