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ヤブロコフ「チェルノブイリ」の先天性奇形の節を読んでみよう。まず、公的に戸籍記録された先天性奇形の何倍もの異常があることを踏まえて以下のデータを見る必要がある−政府は公式記録として異常の件数を少なくカウントする傾向がある。一般に低汚染エリアほど、奇形は遅く出現してくる−時間差を伴って奇形が発生する。ただし、肺がんのように20年も経ってから出現するようなものではなく、高汚染エリアなら事故の翌年から発生し、低汚染エリアなら4〜5年後から発生してくる。福島は高汚染エリアなので来年にはもうすでに奇形児がどんどん生まれてくるだろうし、東京なら4−5年後からそういう傾向が出てくる。首都圏や全国のゴミ処理工場で、汚染されたものを燃やす清掃作業員は、日本のリクビダートルになってしまっており、非常に危険だ。リクビダートルの子供たちの先天性奇形は他と比べて有意に多い(5.12.2 Ukraine(12),5.12.3 Russia(7))。ヨーロッパ諸国で広範に先天性奇形(とりわけ中枢神経の異常)が発生していることから、旧ソ連が80万人ともいわれる膨大な数の男女のリクビダートルを投入して速やかに事故を収束させなかったら、ヨーロッパに人は住めなくなっていただろう。チェルノブイリの原発事故はヨーロッパ文明を滅ぼす寸前であった。それに比べて、福島では現在でも間歇的に核分裂が起きていて、ヨウ素131は周辺の米で検出されるし、まったく事故収束の見込みは立っていない。東日本では、生命の設計図であるDNAが被曝で日々損傷していっており、これからどれだけの奇形と堕胎が増えるのか、考えるだに恐ろしい。
ベラルーシでは、チェルノブイリの原発事故後、1987-1988年にピークを迎える奇形と4-14年の間にピークを迎える奇形(無脳症・脊髄ヘルニア)とがある(表5.70)。また、1Ci/km2以下の低汚染エリアと5Ci/km2の高汚染エリアで、発症率に差異が見られる奇形とほとんど差異がない奇形とがある。唇の欠陥や縮小と多指(趾)症および複数の先天性奇形は、高汚染エリアでは、1987-1988年にピークを迎えるが、低汚染エリアでは1990-2004年でピークを迎える。食道および肛門の閉鎖症は、低汚染エリアでは1987-1988年にピークを迎えるが、高汚染エリアにおける発生率は1987年以降一定である。図5.14を見ると、事故直後の1987-1988年に0-3歳までの脳腫瘍が急激に増加し(2人から18人へ)、また、1991-1994年に第二のピーク(18人)が来る。1999年が第3のピークである(14人)。さらに、ノルウェーでは、低線量ほどダウン症が増えるという恐ろしい報告がなされている。
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5.12.Congenital Malformations
幾千もの大小の先天性の奇形が存在する。一つは、説得力のある遺伝的背景をもったもので、もう一つは胎児期の発達中に被曝したダメージに起因する発達上の異常である。それらの内訳は、いわゆる平均以上の“大きな”先天性奇形であり、異常として公式に戸籍登録されたものの大半はこういった大きな先天性奇形だけだった。そのほかの発達異常は、出生前の発達時期における被曝ダメージの結果として生起し、また突然変異によって引き起こされるような遺伝的なものでありえたし、毒物の外的影響によって引き起こされるような催奇性のものでありえた−それらは妊娠の16週目までに通常起きる。チェルノブイリの放射能汚染があるところではどこでも、遺伝的そして先天的奇形をもった子供の数が増えた。これらは、以前にはめったに見られなかった構造上の複数の損傷(四肢・頭・胴体)を含んでいた。
5.12.1 Belarus
(1)先天性奇形の発生率は、1986年までは一定であったが、破局後著しく増えた。先天性奇形は主ととしてひどく汚染されたエリアで記録されるが、Vitebsk州といった低汚染エリアを含む国全体でも有意な増加があった。
(2)31000人以上の流産児の分析から明らかになったことは、公式記録上の先天性奇形の発生率が全汚染エリアで上昇し、、Cs-137の汚染レベルが15Ci/km2以上のゴメリおよびMogilev州でとりわけ有意であった、ということである。
(3)先天性奇形の発生率は、破局前は1000人当たり5.38人だったが、2001-2004年では9.38人になった。
(4)1990年において、先天性の奇形だと診断された子供は、15-17歳の青年の病気の2倍いたが、2001年までに4倍になった。
(5)Cs-137の汚染レベルが1Ci/km2以下の低汚染エリアでは、奇形児が約24%増加し、1-5Ci/km2では30%増加、15Ci/km2以上では83%増加した(表5.67)。
(8)毎年、奇形児が2500人以上生まれている。1992年以来、医学的そして遺伝的指標に応じた妊娠中絶(500-600件/年)によって、先天性奇形児の数は一定化した。
(9)破局後の9年間、神経上の発達異常のために死んだ新生児の数は、有意に高かった。
(10)ゴメリ州では、眼の先天性奇形が4倍に増えた−0.4%(1961-1972年)から1.63%(1988-1989年)へ
(11)1994年には、先天性奇形は、幼児の死亡原因の第二位であった−ゴメリ州では4.1%であり、低汚染エリアであるVitebsk州の3.0%と比べて高かった(全国平均は3.9%)。
5.12.2 Ukraine
(3)先天性欠陥のため不具になっている新生児から15歳の子供が3倍に増えた−1万人当たり10人(1992-1993年)から31人(2000-2001)へ
(11)破局後の10年でRivine州の先天性奇形は、新生児1000人あたり15.3人から37.3人へ増えた(ひどく汚染された北部エリアで顕著であった)。
(12)1986-1987年に掃除人のところで生まれた13136人のうち、9.6%は公的に記録された先天性奇形であった。よく見られる発達上の異常は、以下である−脊柱側弯症・喉と歯の奇形・早すぎる齲蝕(う蝕)・乾いてざらざらした皮のような皮膚・異常に薄くて堅くより集まった髪・脱毛。
(13)掃除人の家族のところで生まれた先天性奇形の最も高い発生率は、1987-1988年の間であった−1000人中117人。その比率は、1989-1991人には83-102人へと減少し、1992人には67人となり、1993-1997人には24-60人となった。
(14)中枢神経異常の98%は、水頭症によるものであった。・・・1987-2004年で0-3歳児の脳腫瘍は2倍に増え(図5.14)、子供では7.5倍に増えた。
(15)1986年の4月26日の事故後9ヶ月以内に生まれた子供たちにおいて、顎顔面奇形の最大の発生率が観察された。より汚染されたエリアでそれは顕著であり、低汚染エリアよりも6-10倍多かった。
(16)公式に戸籍登録されたすべての奇形のうち、泌尿生殖道の奇形が20%を占めていた−1998-2001年でその傾向は顕著であった。
5.12.3 Russia
(1)先天性奇形の数は、破局後数年経って著しく増加した。
(3)破局後、Kaluga州先天性奇形の数は、ひどく汚染されたエリアで増え、15年後には子供の死亡率が2倍になるという結果になった。
(5)Bryansk州の汚染区域における子供の死亡率は、ロシア全土の平均の5倍であった。
(7)掃除人のところに生まれた3万人以上の子供を含むロシア戸籍登録所によると、46.7人が先天性の発達異常と遺伝的症候を抱えていた−骨と筋肉の異常が広範に見られた。ロシア平均と比べて掃除人の子供たちにおける先天性奇形の発生率は3.6倍以上だった。
5.12.4 他の国
先天性奇形に関するヨーロッパの公式の戸籍登録は、全体としてヨーロッパ人口の約10%しかカバーしていない。過少推定が考えられ、マイナーな奇形の30%まで、ダウン症なら15-20%までしか記録されていない。たいていのヨーロッパ諸国では、定期的に出生前の奇形を記録しない−そういった奇形は堕胎につながっている。
(1)オーストリア:中枢神経の欠陥が破局後に多くの症例で見られた。
(2)ブルガリア:Pleven州では、心臓と中枢神経の異常が複数の奇形とともに有意に増加した。
(3)クロアチア:1980-1993年にZagreb医科大学で3541人の死体を解剖したところ、チェルノブイリ後に中枢神経の異常が有意に増加していた。
(4)チェコスロバキア:1986年から1987年にかけて、先天性奇形の発生率は、有意に増加した−1000人中、15人から19人へと。
(5)デンマーク:チェルノブイリ後、中枢神経の異常を伴って生まれる子供が増えた。
(6)フィンランド:中程度そしてひどく汚染されたエリアでは先天性奇形の症例数が平均よりも6%増えた。先天性奇形の発生率が高いサブ集団では、中枢神経の奇形と四肢が短くなる異常が含まれていた。
(7)グルジア:三つ口(兎唇)と狼の口と診断された先天性奇形が、破局後増えた。特に、Ajaria共和国とRacha州の最も汚染されたエリアで増えた。
(8)ドイツ:1985年と比べて1986-1987年の先天性奇形は増えた。その増加は、たいていは中枢神経の奇形と腹壁の異常によるものであった。1980-1986年の平均と比べて、口唇裂/口蓋(こうがい)裂.が、1987年には9.4%増加し、この増加は主にチェルノブイリによって最も影響を受けたドイツ北部の三つの州で公言された。
(9)ハンガリー:中枢神経欠陥の多くの症例が破局後見られた。
(10)モルドバ:1989-1996年の時期に先天性奇形として戸籍登録された8509人において、ダウン症・構造上の四肢異常・脊椎ヘルニアといった異常の発生率は、最も汚染された南東エリアで最も高かった。
(11)ノルウェー:1983年5月-1989年4月の間に生まれたと考えられる新生児のデータは、チェルノブイリ由来の計算された被曝総量と脳水腫などの先天性奇形との間に正の(プラスの)相関関係があった。ただし、ダウン症については負の相関関係があった。
(12)トルコ:1987年の初頭には、先天性奇形の増加がトルコ西部(とりわけひどく事故の影響を受けたエリア)で報告された。表5.75は神経管の欠陥(脊椎破裂・脳瘤・無脳症)の要約である。
結論:
大小の発生異常を伴った新生児のかなりの増加は、チェルノブイリの破局の否定できない帰結の一つである。チェルノブイリの放射能によって汚染されたエリアでは例外なく、遺伝的な異常および先天性の奇形をもった子供たちの数が増えた− そういった奇形には、以前にはめったに見られなかった四肢・頭・胴体の構造上の複数の欠陥(奇形)が含まれる(図5.15)。先天性の奇形の発生率は、幾つかの汚染エリアで増加し続けており、放射能の程度と相関している。それゆえ、先天的そして遺伝的な欠陥とチェルノブイリの放射能との間の関連は、もはや仮定ではなく論証されたのだ。利用可能なデータから先天性の奇形と汚染エリアに生まれた子供の数を推定するなら、毎年ヨーロッパで生まれる幾千もの新生児にも、チェルノブイリの放射性降下物によって引き起こされる大小の遺伝的異常が含まれている、と想定しなければならない。
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