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「ダブルB」から「シングルM」へ2 これまでの食品事件と汚染された食品
http://takedanet.com/2011/11/post_7d0b.html
平成23年11月3日 武田邦彦(中部大学)
原発事故前に、マスコミ報道部が大騒ぎした食品事件といえば「産地偽装」、「冷凍保存」、「添加物の記載順序が法律と違う」などで、相手の多くが中小企業の食品会社だったこともあり、マスコミ報道部は徹底的に業者を叩き、時には廃業にまで追い込みました。
特にひどかったのは「キャラメルの中に混入したホルムアルデヒド事件」です。もともとホルムアルデヒドは食品の中に多く含まれていて、椎茸には100ppm、リンゴに10ppmぐらい入っています。それがキャラメルに混入して0.04ppmが検出されました。椎茸の2500分の1、致死量はあまりに多くて実例がないのですが動物実験からは25000ミリグラム程度と考えられています。
しかし、マスコミ報道部はお菓子屋さんを叩きに叩き、ついに600万個のキャラメルをすべて廃棄させました。その時にテレビなどで激しく攻撃していた人の中にはまだ今でも解説している人もいます。
最初は、「危険なホルムアルデヒドを子供が食べるキャラメルに入っているとは!」と起こっていたキャスターやコメンテーターは、そのうち普通の食品に1000倍ぐらい入っていることを知り、「本来、キャラメルに入ってはいけないものだ。自然に入っているものと比較するな!」と変わり、さらに毒性が弱いことを知ったり、規制値の100分の1であることが判ると、「規制値の100分の1であるかどうかが問題ではない。健康を害するかどうかでもない。入っていけないものが入っているのが問題だ。企業倫理も地に落ちた」と言い続け、新聞は書き続けたのです。
その頃、私は、1)規制値より低い、2)自然の食品に普通に入っているもの、3)実体的に健康に被害はでない、という理由から、マスコミ報道部の「徹底追究」を批判しました。日本は法治国家ですから、規制値を作るのを忘れていたという場合は別にして、食品基準がしっかりあるものなら、「望ましい」かどうかは別にして規制値以下のものを「徹底的に社会から葬る」という姿勢は食品安全を進める上でかえって障害になると感じたからです。
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2011年の福島原発事故が起こると、マスコミ報道部は事故前の食品に対する報道姿勢を一変させました。それは、1)自分たちが放射性物質は他の毒物と別扱いと考えた、2)政府が言ったことに従った、3)電力からお金を貰っていたから電力に有利に報道した、の3つが考えられます。
私がセシウム137の方が青酸カリより1000倍の桁で危険だというと「そんなことを言ってはいけない。安全と言え」と叩きました。また、「放射性物質が入った給食を食べないというのは自分だけが安全になりたいのか!」と汚染給食を支持して、心配するお母さんを批判しました。
それにしてもあまりの豹変にビックリしました。放射性物質は、1)1年1ミリの被曝と規制が決まっている、2)自然放射線と比較してはいけない、3)実質的な危険性は判っていない、ということですから、キャラメルと比較するとマスコミ報道部の報道姿勢は決まり切っていたと思いますが、それが180度変わったのです。
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私はこの件に関して、「いったい、マスコミ報道の人の心の中はどうなっているのか? 食品に本来、入ってはいけないものが入っていることでキャラメルを攻撃したが、それはどういうことを考えたのだろうか?」と疑問に感じるのです。
人間は「そのたびその度に自分の都合の良いように意見を言う」ほど危険なことはありません。法治国家だから法律に基づくのか、相手が中小企業でも東電でも同じ態度で行くのか、正義を振りかざすなら自分も正義でなければならない、などの最低の倫理観は必要でしょう。
このダブルバインドの態度をマスコミ報道部は厳しく自己反省し、批判的な人をテレビや新聞で発言させ、誇りある日本の一員としての自覚を持って貰いたいと思います。
もしマスコミ報道部がこれまらもダブルスタンダード、ダブルバインドを続ける場合、私たちは別の報道に基づく情報を得なければならないでしょう。わたしは、時代が複雑で広告費でマスコミが経営せざるを得ないことを考えると、「マスコミは報道しない」という原則をたてるべきと思います。
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