福島第1原発2号機原子炉から、核分裂の際に生成される半減期の短い放射性キセノンが検出された、というニュースは皆様もご覧になったかと思います。と言っても、別にトップニュースだったわけでもなく、大したことないのに大騒ぎ、というオチが付いたような感じですが、東電の記者会見をネット配信で見ていて気づいたことを2、3書いておきます。(ちなみに東電は、東電単独記者会見の実況ネット配信を試験的に始めています。)
東電の松本さんによると、「大規模ではないが、部分的に、一時的に臨界(核分裂連鎖反応)が起きた可能性があると考えている」とのこと。その理由がキセノン133(半減期約5日)、キセノン135(半減期約9時間)という核種が出ていること。3月時点に存在したキセノンが現在まで残っているとはほとんど考えられない、と言っていました。
面白かったのは、記者の何人かによる、「臨界が起こっていなくても核分裂はありうる(自発核分裂)のだろう」、あるいは「キセノンは前から出ていて、ガス管理システムを取り付けたからわかっただけのことで、大したことではないのでは」という投げかけに、松本さんは存外きっぱりと、聞かれる度に、「臨界が起きた可能性があると思っている」と答えていたこと。
「キュリウムなどが存在するので、自発核分裂の可能性もないとは言いきれない」とも言っていました。今後、専門家の意見を聞いて、今回検出されたキセノンの量が自発核分裂によるものなのか、臨界によるものなのかを判断したい、とのこと。
臨界が起こったかもしれない理由としては、原子炉の温度が下がり原子炉内の水の量が多くなったため、と言っていたと思います。水は中性子の減速材です。中性子のスピードが減速されないと、ウラニウム、プルトニウムに捕獲されず、核分裂は起こりません。
また、松本さんは溶融燃料の形状にも言及していました。大きな塊になっている状態では臨界は起きないが、溶融燃料がばらばらになっている状態でも起きない。従って、形状的にはその中間。どんな形なんだか想像も付きませんが。
もう一つ。記者の質問に答えて、松本さんは、「1号機、3号機でも同じようなことが起きていないとは否定できない」というような、二重否定の言を発していました。1号機、3号機ではまだガス管理システムが稼動していないので、測定も出来ないため、可能性がゼロだとはいえない、ということでしょう。
3号機については、「高線量なのでガスシステムがいつ設置できるか分からない」とも言っていました。
ちなみに、毒舌早川教授がまとめた、「キセノン臨界騒動」Togetterがあります。原子力の専門家らしき方々なのに、「臨界」の定義をなんだか勝手に作り上げて、安心感につなげようとしているような、学者らしからぬツイートも。温度が上がることを臨界の条件に挙げている方がいて、ちょっとびっくり。温度が上がってないから大したことないでしょ、ということらしいです。
東電の記者会見での一部の記者の質問と一脈通じるものがあります。「大したことないでしょ、騒ぐことのものじゃない」。
東電がおおっぴらに臨界の可能性を認める、ということは、「大したこと」なんじゃないかと個人的には思います。
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