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2011年11月3日(木)
玄海4号機 対応丸投げの経産相
原発再稼働の突破口に
「地元の理解を得られるかどうか、九電が自主的に判断すべきだ」。枝野幸男経産相が1日の会見でこう述べ、九州電力玄海原発4号機の再稼働を事実上容認しました。「やらせ」メール事件の反省もなく再稼働に踏み切った九電に地元住民から怒りの声があがっていますが、こうした批判を黙殺する九電を擁護するものです。 (林信誠)
同機は10月4日に原子炉自動停止の事故を起こし、営業運転をストップしたばかり。事故の再発防止策を経済産業省原子力安全・保安院がおおむね妥当と評価したことを根拠に再稼働を強行したものです。しかし12月には定期検査で再度停止しなければなりません。
保安院うのみ
こうした状況にもかかわらず、枝野経産相は、「やらせ」事件に加担した保安院の評価をうのみにした上に、「地元理解」もない九電の一方的「判断」に従うことにしました。
「やらせ」事件を調査した第三者委員会の事実認定を取り入れなかった九電の報告書が経産省に提出された際、九電首脳を厳しく批判したときの枝野経産相の対応とは大違いです。枝野経産相は1日の会見で「私ならどうするかは申し上げない」とも述べ、再稼働に反対することなく九電に対応を丸投げしました。監督官庁としての責任放棄にも等しい対応です。
九電は玄海原発2、3号機の再稼働をめぐる公開討論番組で、世論を偽るための「やらせメール」事件を起こし、その後もストレステスト(耐性試験)に使用するデータの「誤入力」もみつかるなど、両機の早期再稼働は極めて困難となっています。この苦境を脱する切り札が、ストレステスト対象外の4号機の再稼働でした。これを「九電の自主的判断」として目をつぶる枝野経産相の姿勢は、全国の原発の再稼働をもくろむ野田内閣の意向を示すものともいえます。
九電というな
野田佳彦首相の所信表明演説があった10月28日、国会内を見学する九電社員十数人の姿がありました。首相を待ち構えるテレビカメラが並ぶ廊下にさしかかり、案内役の女性が「九州電力のみなさん、これから総理が通ります」と大声で説明する場面がありました。一行からもれたのは「九州電力ってあんまりいわないでよ」という小声。
社員が恥を忍ばなければならないほどの虚偽と保身に満ちた電力会社に、危険な原発を任すことなどできないと世論の厳しい目が注がれています。福島第1原発事故の収束さえままならず、九電の指導さえできない政府や枝野経産相に、原発再稼働を口にする資格も道理もありません。
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