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クローズアップ2011:福島・保管工程表 汚染土、先行き不透明
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111030ddm003040178000c.html
毎日新聞 2011年10月30日 東京朝刊
◇最終処分場、具体策なし
仮置き場に3年、中間貯蔵は30年以内−−。東京電力福島第1原発事故による放射性物質の除染で出る汚染廃棄物を保管する政府の工程表が29日示された。12年度中を目指す中間貯蔵施設の場所の選定は困難が予想され、最終処分場については、具体策は示されなかった。膨大な汚染廃棄物の発生が予測されるが、放射性廃棄物の量を減らす技術研究は始まったばかり。工程表通り進むかは極めて不透明だ。【藤野基文、江口一、久野華代】
◇中間貯蔵地選定も課題
「一刻も早く仮置き場や中間貯蔵施設を造って除染を進めることが住民の被ばく低減に欠かせない。だが、工程表通りにできるかどうかは分からない」と環境省幹部は語った。
仮置き期間を3年とした理由を、細野豪志環境相兼原発事故担当相は「来年度中に場所を選んで設置するために一定の時間がかかる」と説明。環境省は中間貯蔵施設保管が30年以内とした背景について「除染作業が20年以上続く」と解説する。
福島県に設置される中間貯蔵施設は、容量が最大2800万立方メートル、敷地面積は最大5平方キロ。除染後の廃棄物の大部分は土壌で、濃度に関係なくすべてを中間貯蔵施設に保管する。枝や落ち葉は焼却され、1キロ当たり10万ベクレルを超える灰が搬入される。それ以下の濃度の灰は既存の管理型処分場に埋め立てる。
中間貯蔵施設には、大気と地下水での放射性物質の有無を検出する装置を設置。仮置き場からの搬入を加速するため、小さな区画を複数作り、完成した所から搬入を始める。
保管方法は汚染度ごとに変える。
高濃度の廃棄物は、放射性物質が漏れないように地中を細かく仕切った鉄筋コンクリート製構造物を設置し、完全に埋める。廃棄物は容器に入れて小分けにし、搬入後はふたで覆う。この方法は、日本原燃の埋設施設(青森県六ケ所村)で実施されている原発の放射性廃棄物処分に似ている。
低濃度廃棄物は穴を掘って、小分けにして積んでいく。放射性物質を含んだ水が漏れないように遮水壁で囲み、搬入後は土をかぶせる。
工程表では「仮置き場」のイメージも示した。汚染土壌などを小分けにして地上に積み、盛り土をして土のうで覆い、雨水の流入、地下水への放射性物質の漏れを防ぐ。ただ、「トラブルなく貯蔵できるか」「保管方法を汚染度ごとに選別する作業で被ばくが増える」と問題視する専門家もいる。
最も大きな課題は用地の選定だ。毎日新聞が9月下旬〜10月中旬に行った調査では、県内の55%の自治体が中間貯蔵施設の設置を「受け入れない」と回答し、その他の自治体も「判断できない」とした。
さらに、最終処分場の場所や方法を明らかにしなかったことについて、環境省は「最終処分では放射性物質の量を減らすことが重要だが、一方で凝縮され高濃度の廃棄物が生じる。こうした廃棄物の最終処分場は国内になく、受け入れ先を探すのは非常に難しい」と釈明する。
森口祐一・東京大教授(都市工学)は「最終処分の方法まで見すえて初めて、今回の中間貯蔵施設の工程表が意味を持つ。中間貯蔵開始後30年以内と言ってもあまり時間はない。早急に、全国的な議論を始めることが重要だ」と指摘した。
◇減量技術、確立されず 県内3100万立方メートル、焼却しても1割減
被ばくを軽減するための除染では、庭や公園、農地などの表土をはぎ、森林では枝を切ったり落ち葉を拾うなどする。
国は当初、除染対象地域を「福島第1原発事故による追加被ばく量が年間5ミリシーベルト以上の地域」とし、その量は福島、宮城、山形、茨城、栃木の5県で最大東京ドーム23杯分(2878万立方メートル)と試算した。しかし、自治体や市民の要望を受け「年間1ミリシーベルト以上」に修正。対象となりうる地域は、5県以外に群馬、千葉、埼玉、東京、神奈川の5都県に広がった。
環境省が9月18日のデータなどをもとに分析すると、住宅地や工場など生活や産業活動の場となる地域を優先し作業した場合に発生する汚染土壌などの量は、福島県内で1500万立方メートル、それ以外の9都県で140万立方メートルになる。また、森林などを含めると、福島県で3100万立方メートル、それ以外の9都県で1300万立方メートルの計4400万立方メートルと大幅に増える。
膨大な量の廃棄物をそのまま保管・処分する施設を造ることは現実的ではなく、財団法人「原子力研究バックエンド推進センター」の森久起・専務理事は「(放射性廃棄物の量を減らす)減容処理が不可欠だ」と指摘する。環境省は福島県内で発生する3100万立方メートルは、焼却によって2800万立方メートルに削減できると試算し、今後の技術開発でさらなる減容を目指す。
とはいえ、福島第1原発で発生した汚染水から放射性物質を除去するシステムが難航したように、減容技術は開発途上だ。センターはゼネコンの持つ工事跡地の土壌から化学物質を法律で定める基準以下にする技術に着目し、放射性物質への応用を急ぐ。
米田稔・京都大教授(環境リスク工学)は「今後も汚染物質は増える可能性があり、政府は減容への具体的な方針を示していくことが重要だ」と提言した。
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