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福島第1原発:作業員の休憩所は管理区域外…危険手当なく
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111031k0000m040121000c.html
毎日新聞 2011年10月31日 2時33分(最終更新 10月31日 2時43分)
東京電力福島第1原発事故の収束作業のため東芝と鹿島が設置した作業員用シェルター(休憩所)が、法令による放射線管理区域の設定基準を超える放射線量を計測しているのに同区域に設定されていないことが分かった。このためシェルターで働く作業員は高線量を浴びながら「危険手当」を支払われていない。東芝などは東電が管理主体との見方を示す一方、東電は「シェルター設置者が線量管理を行う」と述べて見解が食い違っており、そのしわ寄せが作業員に及んでいる。
同原発では東日本大震災による事故以降、構内の免震重要棟を主な拠点として収束作業を続けてきたが、作業員が増加して手狭になったため、東芝が5月に西門のすぐ外側に作業員の休憩所としてシェルターを設置。鹿島も8月、東芝の南側に設置した。両シェルターは1〜4号機から西に2キロ弱だが、原発の敷地北端よりも近い。
ところが、免震重要棟を含む原発敷地内は全て放射線管理区域と同等の「管理対象区域」とされているのに、両シェルターは対象外。東電によると、免震重要棟の空間線量は毎時1.1〜29マイクロシーベルト(4日時点)、東芝シェルターは2〜16マイクロシーベルト(7日時点)、鹿島シェルターは2〜8.5マイクロシーベルト(同)。労働安全衛生法の電離放射線障害防止規則は3カ月で1.3ミリシーベルトを超える累積線量を管理区域の設定基準とし、毎時換算では2.6マイクロシーベルトで、両シェルターは基準を超える線量を計測している。
高線量にもかかわらず管理区域に設定されていないことについて東芝広報室は「当社は管理区域を設定する立場にない」と説明。鹿島広報室は「管理区域には設定されていないが、東電から示された線量管理、汚染防止の基準に基づき設置、運用管理を行っている」とし、東電が管理主体との認識を示唆した。
東電広報部は「(シェルターを設置した)事業者が作業員の放射線防護の観点から線量管理や汚染防止管理を行っている」とし、管理責任は東芝や鹿島にあるとの見解を示す。
原子炉等規制法の規制と労働安全衛生法の規則は、放射線管理区域を設定するのは「事業者」と定めている。収束作業は東電が事業者だが、シェルター設置は各企業が事業者とも言え、管理主体を押し付け合っている格好だ。このため放射線管理業務などに従事する作業員は、敷地内とシェルターで同じ作業をしながら、危険手当に大きな格差が生じている。【袴田貴行】
◇
福島第1原発:同じ仕事、異なる手当…休憩所、管理区域外
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111031k0000m040122000c.html
毎日新聞 2011年10月31日 2時34分(最終更新 10月31日 2時40分)
東京電力福島第1原発事故の収束作業に従事する作業員のシェルターが放射線管理区域に設定されず、そこで働く作業員に危険手当が支払われていないことが明らかになった。シェルターは原発の敷地のすぐ外にあるが、敷地北端より原子炉に近く、法令で定める管理区域設定基準より高い線量を計測している。「高線量の下で同じ作業に従事しているのに、扱いが違うのは到底納得できない」。敷地の「内と外」で機械的に線引きする理不尽さに、作業員は不満をあらわにした。【袴田貴行】
5月から同原発で働く下請け会社の男性作業員は10月中旬、所属会社から初めて危険手当を受け取った。持ち場のシェルターでの勤務は手当の対象外で、振り込まれた危険手当は原発構内での業務が認定された2日分の4万円のみ。一方、構内の作業拠点となる免震重要棟が持ち場の同僚は、20日分の40万円を受け取った。
シェルターは場所によっては高線量で、1日の作業で約80マイクロシーベルト被ばくする。これまで全国の原発を転々とし、自宅へ帰るのは年1、2回。妻から「体は大丈夫?」と毎日電話がかかってくる。
「(危険手当の)対象は原発の(敷地)境界から内側での業務のみ」。9月中旬、所属会社から届いた通知書を見て、初めてそのことを知り、驚いた。原発の敷地からわずかに外へ出ただけのシェルターの汚染度は構内の免震重要棟とあまり変わらず、業務内容は同じ。「構内業務従事実績表」に押印を求められ、泣く泣く押すしかなかった。
シェルターで働く同僚の中には、所用がないのに免震重要棟の朝礼に参加したり、まだ満タンに近いのにわざわざ原発構内に車のガソリンを入れに行く人もいる。「構内で業務した」との実績を作るためだ。男性は「線引きのために職場の士気が下がり、仲間同士で疑心暗鬼も生まれている。不公平をなくし、安心して仕事に集中できる環境を作ってほしい」と訴える。
だが、管理区域設定の有無に基づく危険手当の線引きは、下請け会社による支給に厳格に反映されている。放射線管理業務を請け負う「東芝電力放射線テクノサービス」(横浜市)も敷地内での業務のみを危険手当の支給対象とする。同社の担当者は「支給には分かりやすい区分が必要なので、元請けである親会社(東芝)のルールに従って基準を設定した」と説明している。
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