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首都圏も汚染ごみ滞留 保管限界、焼却中止も
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011103090071412.html
2011年10月30日 07時14分 東京新聞
福島第一原発事故の影響で、首都圏で収集したごみの焼却灰から、国の規制値(一キログラム当たり八〇〇〇ベクレル)を超える放射性セシウムが相次いで確認されている。一部の清掃工場では焼却をストップしたり、持って行き場のない灰が敷地からあふれる寸前に。ごみ減量のため収集回数を減らすなど、暮らしへの影響も出始めた。 (神田要一、横山大輔、伊東浩一)
「震災直後もごみ回収は週一回だった。あの時は仕方ないと思ったが、普通の生活に戻ったのにまたとは」
今月二十日から、家庭ごみの回収が週二回から一回に減った栃木県大田原市。市民の男性(56)が嘆いた。
那須地区広域行政事務組合によると、東京都内で焼却灰から高濃度の放射性セシウムが検出されたことを受け、市内の清掃工場が六月、灰の埋め立て処分を中止した。
処分できずに分散保管している灰は計四百四十トンを超え、年内に限界になる。灰からは一万三五八〇ベクレルという高い数値を七月に検出。市内の埋め立て処分場の周辺住民が反発し、現在も灰を持ち込めない状況が続く。
「高い放射線量の原因は草木とみて間違いない」。千葉県柏市の秋山浩保市長が指摘する。刈り取った草や剪定(せんてい)した枝、集めた落ち葉などには、屋外で降り注いだ放射性セシウムが含まれ、焼却して体積が減って高濃度の灰になる。
このため柏市では八月から、通常のごみから草木をできるだけ分別するよう市民に求め、草木の焼却を停止。灰を埋め立て可能な規制値以下に抑え、清掃工場の稼働を続けるための苦肉の策だ。
それでも、市内二カ所の清掃工場のうち一カ所は、灰を圧縮する最新設備があだとなって放射性セシウムがより濃縮されるため、九月から十一月上旬まで稼働停止中。二工場の敷地には計約千八百トンの草木が山積み。職員は「いつまで保管すればいいのか。国に現場の危機感は伝わっているのか」と焦りを深める。
都内でも江戸川清掃工場(江戸川区)の焼却灰から、規制値を超える放射性セシウムの検出が止まらない。灰は密封して東京湾の中央防波堤埋立処分場で一時保管され、同工場周辺の放射線量は区の調査で最大一時間当たり〇・二一マイクロシーベルトと年間被ばく限度量を下回る。しかし「江戸川区大気汚染をなくす会」の大越稔秋さん(72)は「密封作業や運搬の過程で、拡散の恐れが付きまとう」と警戒する。
待ったなしのごみ問題。林野庁は除染で生じる汚染土壌の仮置き場として、国有林を自治体に無償貸与する方針で、焼却灰の受け入れも検討。福島県飯舘村などが本年度内の造成を目指すが、造成費用の負担や住民理解など課題があり、ほとんどの自治体で場所の選定も進んでいない。
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