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非常用復水器操作、ベントの遅れ、2号機の衝撃音…手順書公開もなお残る謎
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111024/dst11102420290021-n1.htm
2011.10.24 20:28 産経新聞
経済産業省原子力安全・保安院が24日に公表した福島第1原発の「事故時運転操作手順書」。原子炉の冷却やベント(排気作業)などをめぐり、操作ミスが事故を拡大させたとの指摘があったことから内容が注目されてきた。手順書と実際の操作を照合した東電は「操作に問題はなかった」とするが、事故直後の対応や状況には、いまだ不可解な点や謎が数多く残っている。(原子力取材班)
■不可解な操作
手順書公開で最も注目されたのが、1号機の緊急時に原子炉を冷やす「非常用復水器」(IC)を巡る操作だ。ICは緊急時に原子炉を冷却し、圧力を下げる機器。2系統存在するが、3月11日から12日までの間、運転員が1系統だけ弁の開閉を行い、ICの停止と起動を繰り返す不可解な操作をしており、手順書の内容が焦点となっていた。
公開された手順書では、急激な温度変化による原子炉破損を防ぐため、原子炉温度が1時間あたり55度を超えて下がる場合、ICを止めることになっていた。今回の事故でも、地震直後にICは自動起動。10分後には温度低下が55度を超えそうだったため、運動員が手動停止させた。
しかし、その後も運転員は1系統について起動と停止を繰り返した。これは手順書には明記されていない操作だ。これについて東電は「今回の事故は手順書の想定を超えるもので、運転員の判断で行った」と説明。原子炉の温度や圧力の調整を行っていたとみられるが、真相は不明だ。
東電が行った建屋内の調査では1系統の弁が閉まっていたことも判明。2系統とも機能していれば事故が軽減できた可能性もあり、運転員の操作が妥当だったかは、大きなポイントだ。
■遅れたベント
1号機格納容器内の気体を外に出して圧力を下げるベントが遅れたことも、事故拡大を左右するポイントとして指摘されている。
手順書では格納容器の圧力が853キロパスカルに達する前にベントを実施することになっていた。
判明している記録では3月12日午前0時06分には格納容器の圧力が急上昇し、同原発の吉田昌郎所長がベントの準備を指示、午前1時半には政府にベントを申し入れた。しかし、実際にベントができたのは同日午後2時半。水素爆発のわずか1時間前で、所長指示から14時間が経過していた。
東電は「すでに電源を失い、ベントに必要な弁の駆動源もなく、暗闇での作業で困難を極めた」と説明するものの、現場の具体的な判断や作業の詳細については明らかにしていない。
■2号機の損傷はなぜ?
今回は2号機の手順書は公開されなかったため、ベントを試みながら格納容器の圧力が下がらなかった2号機の状況はベールに包まれている。2号機では当初、3月15日午前6時すぎに圧力抑制室付近で爆発があったとみられていた。このころ2号機付近で衝撃音があり、圧力抑制室の圧力が急激に低下したためだ。
ところが、地震計の解析により、衝撃音は、同時刻に発生した4号機の水素爆発の可能性が高いことが判明した。原子炉に注入した水は建屋内に流出、格納容器が損傷していることは確実とみられるが、なぜ損傷したのか。また、圧力抑制室の圧力はなぜ急低下したのか。謎は深まる一方だ。
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