http://www.asyura2.com/11/genpatu17/msg/717.html
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国立感染症HPの情報によると、手足口病・マイコプラズマ肺炎等の感染症が過去10年で激増している(http://sorakuma.com/2011/10/05/4477)。この理由をヤブロコフ「チェルノブイリ」から考えてみよう。エイズウィルスが大気圏核実験で生まれたことはよく知られている(スターングラス「人間と環境への低レベル放射能の脅威」あけび書房)。以下のヤブロコフの「チェルノブイリ」の記述によれば、放射能が降り注ぐことで微生物が住む土壌生態系が沸騰・活性化し、凶悪なウイルス次々と生まれる一方で良性のバクテリアが死滅することが分かる−福島を中心として放射能土壌生態系(=腐海)が出現した。国立感染症のHPにおける手足口病・マイコプラズマ肺炎等の感染症の激増はその証拠である。免疫力が低下している時に、そうした凶悪化した放射能ウイルス・バクテリアに子供たちが感染すれば、死亡率は上昇し、今まで助かっていた者も助からない。首都圏で生まれた0歳の乳児が、そのまま暮らして七五三を無事祝えるのかどうかは分からない。そういったウイルスの凶悪化は、チェルノブイリの場合、事故後何年か経って明白となるのだが(以下の記述の通り)、今回の福島の大事故では、早くも感染症の激増が見られる−チェルノブイリと比べて、進展が早いのだ。もたもたしていると逃げ遅れるだろう。人体は微生物生態系のプールに浮かんでいるのであって、プールが放射能汚染されれば、それと相関(相即して)体内の微生物環境も放射能化し、凶悪なウイルス・バクテリアがどんどん体内に侵入してくるだろう−その結果、癌になる(ウイルスは癌の原因である。放射性核種で遺伝子が傷つけられて癌になることに加えて、凶悪化したウイルスが東日本の環境中に増えることでも首都圏民は癌になるのだ。放射能環境下では、この二つの経路を通じて、発ガンリスクが飛躍的に上昇する)。腐海とは、放射性核種が存在し、内部被曝で遺伝子が傷ついて癌になるという側面と、放射能で凶悪化したウイルスによって遺伝子が傷ついて癌になるという二つの側面を持つ放射能生態系なのだ。
自らが腐海の中に浸かっていることを自覚できない者ほど愚かな者はいない。
なお、良性のバクテリアが死滅し、植物にとって有害で植物の病気をもたらすような突然変異した新種の菌類・ウイルスが多数発生している腐海で育ったがゆえに「病気になってしまった作物」を人間が食べて健康に害がないのか。どのような影響が人体に出るのか全く不明であり、何も分かっていない以上、耕作放棄しかない。腐海で作物を育ててはならない。そして、子どもに病気の作物を食べさせてはならない(安全な作物が首都圏で入手困難なら、関西・九州などに逃げるしかない。それに加えて、セシウムが入っていなくても、東日本の作物は病気なのであり、食べてはいけない)。ちなみに、放射性物質を大量に流した海も、微生物生態系が変容し、微生物の種類と分布が今までのものとは異なる別の生態系が出現しつつあるのだ。放射能は、既存の生物が生きてゆけなくなるように既存の微生物生態系を変えてしまうのであって、核武装したくて燃料のプルトニウムがどんなに欲しくても原発は全廃しなければならない。
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5.11 感染症および外部からの寄生虫の侵襲
電離放射線は、遺伝子の突然変異を引き起こす強烈なファクターだ(詳細は5.2節)。チェルノブイリからの雲は、強烈な放射性物質のカクテ全域にわたって降らせた(詳細は第一章)。チェルノブイリの放射性核種による汚染は、微生物相・家禽・共生生物(寄生虫や片利共生動物)に影響を与え、われわれの生物学的なコミュニティを変化させた(第11章参照)。チェルノブイリの放射性核種によって汚染されたエリアにおける、腸の中毒症状・胃腸炎・バクテリア種・ウイルス性肝炎・呼吸器系のウイルスによって特徴づけられるような増大した発症率および深刻な病気の証拠が存在する。遺伝的な不安定性が汚染エリアで著しく増大し、ウィルス性そして他のタイプの感染症にかかりやすい結果となった。
5.11.1 Belarus
(1)ゴメリ州のひどく汚染されたエリアではヘルペスウィルスが活性化し、子宮内そして子供の死亡率が増大することとなった。
(2)鞭虫 (ベン中)[経口摂取すると腸管で成虫となる]感染症の発症率上昇が、ゴメリおよびMogilev州の放射性核種による汚染密度と相関していた。
(3)Brest州のLuninets区域のSenkevichi村では、子供の感染症および寄生虫疾患が、2000-2005年で1.54倍増大した。
(4)1993-1995年に検査されたStolinsk区域とBragin市の汚染エリアに住む135人の子供において、その20%が性的な泌尿生殖器の感染症にかかっていた。
(5)1Ci/km2以上汚染されたエリアから来た妊婦102万6046人のデータが示すところによると、ひどく汚染されたエリアにおける産褥敗血症(感染による全身性炎症反応症候群)の発症率は、低レベルの汚染エリアより有意に高かった。
(6)5-70Ci/km2のレベルで汚染された、ゴメリ州のChechersk区域の母親から生まれた新生児達は、破局前と比べて2.9倍以上の先天的感染症が見られた。
(7)1993年に、15Ci/km2以上Cs-137で汚染されたゴメリ州において妊娠性ヘルペス(疱疹) にかかった女性は、非汚染エリアと比べて、8.6倍以上の幼児死亡率を示した。
(9)より汚染されたエリアでは結核がより一層悪性であった。
(10)1991-1995年の間、ゴメリ州のひどく汚染されたエリアでは結核発症率の深刻な増加があり、そこでは結核の再活性および薬剤耐性があった。
(11) MogilevとGomel州では、クリプトスポリジウム(cryptosporidium;ネズミやネコ、ウシやブタなどに寄生する原虫。人に感染すると激しい下痢を起こす)の感染レベルが著しく高かった(4.1 v.s.2.8%[対照群])
(12)Vitebsk州では、1993-1997年において、大人とティーンネイジャーの間で感染した肝炎の持続が、対照群と比べて著しく高かった。
(13)破局後6-7年経って、ゴメリ州およびMogilev州のひどく汚染されたエリアで、ヘルペスウイルスによる病気が2倍になった(国のその他のエリアと比べて)。
(14)妊婦におけるサイトメガロウィルス(訳注1)感染症の活性化が、ゴメリおよびMogilev州のひどく汚染されたエリアで見られた。
(訳注1)ヒトヘルペスウイルスの5型(HHV-5)。サイトメガロウイルス感染症は、発展途上国でより多く見られ、社会・経済的に低い階層でより多く見られる。妊娠中に母親が初めてサイトメガロウイルスに感染すると、胎児も感染する危険性が増す。
(16)ゴメリ州では、大人およびティーンネイジャーのB型・C型肝炎が1986年以降有意に上昇し、発症率は、1986年には10万人あたり17人であっ
たが1990年には35人へと上昇した。
(17)検査された2814人の大人の内、掃除人および避難民では、HBsAg(B型肝炎ウイルス抗原)・抗HBc抗体(B型肝炎ウイルス[HBV]由来の蛋白HBc抗原に対して身体が免疫反応を示して作られた物質)・C型肝炎ウイルス(HCV)のマーカーの反応率が、Vitebsk州の非汚染エリア区域に住む住民と比べて有意に高かった。
5.11.2 Ukraine
(1)1995まで、子供の感染症および寄生虫の侵襲は、非汚染エリアと比べて、ひどく汚染されたエリアで5倍以上になった。1988年ではこれら汚染エリアの病気の発症率は(非汚染エリアと比べて)差がなかった。
(3)ティーンネイジャーにおける腎臓の感染症の発生率は、破局後有意に増大し、汚染のレベルと相関していた。
5.11.3 Russia
(1)子供における感染症による死亡は、胎内での被曝と有意に相関していた。
(3)破局以来15年にわたって、Kaluga州のひどく汚染された区域で、感染症発生による子供の死亡は3倍になった。
(4)Bryansk州で有意に高いレベルのクリプトスポリジウム感染症が発生した(8 vs.4%[対照群])。
(5)(酵母様子嚢菌の一属である)ニューモシスチスの症例数は、Bryansk州の汚染エリアの子供において著しく高かった(56 vs 30%[対照群])。
(9)小胞子菌性白癬によって引き起こされた白癬菌による病気の流行と深刻さが、Bryansk州のひどく汚染されたエリアでは有意に高かった。
(11)ヘルペスとサイトメガロウィルスが、検査された116人の掃除人の射出精液の20%で検出された。
5.11.4 結論
汚染エリアの掃除人および住民における感染症および寄生虫侵襲による病気に関して、これまで述べてきたデータが反映しているのは、危険な感染症の活性化と流行である。これが、病気の生体における変異性の変化−それはそういった生体をより一層悪性のものにする−によるものであるのか、集団において機能麻痺を起こした免疫の防衛のためであるのか、それともそれらの組み合わせのせいであるのか、どうかは十分に答えられていない。
参考までに第11章を訳しておく:
1グラムの土壌は、およそ25億の微生物(バクテリア・微小菌類・原生動物)を含んでいる。大人の人体の内、3kgまではバクテリア・ウィルス・微笑菌類である。これらのことがそういった重要かつ基本的には生きている生態系を表しているという事実にもかかわらず、チェルノブイリの破局による様々な微生物学上の結果に関しては乏しいデータしかない。ある種の感染症を原因とする、増加した罹病の幾つかの発症は、チェルノブイリの被曝の結果として、微生物の個体群の悪性度が上昇(毒性が上昇)したためであるかもしれない。
(1)破局後すぐに、レトロウイルス(RNA を遺伝子としてもち,逆転写酵素によって DNA に変換するウイルス)の活性化が観測されている。
(2)ニューモシスティスとサイトメガロウィルスに子供に感染しやすくなることの証拠がある−そういった子供の免疫システムは、Bryansk州のNovozybkov区域で抑制されていた。
(3)ベラルーシのより一層汚染されたエリアでは、結核がより一層悪性のものとなった。
(5)1993-1995年に、ベラルーシのひどく汚染されたエリアで、B・C・D・G型の肝炎ウイルスが著しく活性化した。
(6)破局後の6-7年でベラルーシのひどく汚染されたエリアでは、ヘルペスウイルスが活性化した。
(10)芝生−ポドゾル(温暖または寒冷で湿気のある気候のもとで、針葉樹またはヒースの下に発達する土壌)状の土壌に存在する、腐生性(ある植物または菌類について)死んでいるか腐食する有機物を常食にする)のバクテリア数は、15Ci/km2かそれ未満の汚染レベルで、最大であるのに対し、40Ci/km2までの汚染エリアでは最小であった(訳者注、汚染が激しいと死んだ生物を分解するバクテリアがいないため病原菌が繁殖してしまう)。
(11)黒色真菌類(黒色の菌糸と分生子柄を持つ不完全菌類)におけるCs-137の蓄積係数は348であり、(真菌一種の)ベルチシリウム属の蓄積係数は、28であった。
(12)黒色微笑菌類が、破局後、チェルノブイリ周辺の汚染土壌で劇的に増加した。
(13)Cs-137をもっとも蓄積した土壌バクテリアは、アグロバクテリウム(硝酸塩を減少させ、植物の茎にこぶを作る、小さい運動性の細菌性桿状体)が587、エンテロバクター(ブタンジオール発酵をする腸内細菌科の一属)が60-288、クレブシエラ(ブタンジオール発酵する通性嫌気性グラム陰性桿菌の一属)が256であった。
(14)(硝酸塩を吸収し、硫酸塩を減少させ、窒素を蓄え、セルロースを豊富化するような)土壌バクテリアの豊かさが二桁のレベルまで減少した(対照群と比べて)。
(15)汚染エリアでは、タバコ・モザイク・ウイルスの幾つかの新たな変種(variant)が現れ、それがナス科植物以外の植物に影響を与えた。そしてそれらの変種ウイルスの毒性は、土壌における放射能の汚染程度と相関している様子であった。タバコモザイクウイルスと油料種子の西洋アブラナのモザイクウイルスへの感染が、感染していない組織において、構造が同一のDNAの再組み換えの3倍増を誘発しているとして示された。
(16)ひどく汚染されたエリアで微笑菌類のあらゆる系統を調査したところ、菌糸の悪化した成長があった。
(17)ビフィズス菌の激減と大腸菌の保有。特に、ウクライナに住んでいる避難民の子供の腸で、大腸菌類の激増が見られた。
(18)74万-148万Bq/m2のひどく汚染されたエリアで、野生動物の狂犬病がなくなった。このことは、同狂犬病ウイルスが絶滅したか、不活性になったことを暗示している。
(19)ベラルーシのひどく汚染されたエリアでは、げっ歯動物が、カイガラムシとコナカイガラムシによってひろく侵食された。
ねずみに取りついている球虫類(コクシジウム類)の内には、いかなる胞子形成された胞嚢体もなく、通常よりも数が少なく、異常なものが多かった。
(20)繊毛虫類(滴虫類)に関して、種の多様性を示す多様度指数の有意な減少がある一方で、それに付随して、プリチャピ川の流入口でその発生量の増加があった(訳注:偏った分布が出現した)。
あらゆる微生物(ウイルス・バクテリア・菌・原生動物[原虫])と微生物コミュニティが、なんらかの付加的な被曝の後、全体として急速な変化を経験した。そういった変化のメカニズムは、よく知られている:自然淘汰による頻繁な突然変異の包含と増加、そして、それがどんな理由であれ、新たな条件下で、より一層生存可能であるように思われる、新規の有利な遺伝子の保存。こういった微生物の進化メカニズムは、汚染されたすべてのエリアで活性化され、古い形態のウイルスおよびバクテリアの活性化と新たな形態の出現へと至った。・・・われわれの現代の知識はあまりにも限られているので、人間の腸・肺・血液・組織・細胞に害を為すウイルス・バクテリア・原生生物・菌類の内で、放射能に誘発さえた遺伝子の不可避的な変化に関する主要な結果を理解できない。発癌現象とウイルス(乳頭腫ウイルス・肝炎ウイルス・ピロリ菌・感染性単核球症を引き起こすヘルペスウイルス・カポシ肉腫ウイルス・ヘルペスウイルス)との間の強い関連は、チェルノブイリの放射線の照射によって汚染されたエリアで癌の発生率が上昇した理由を提供している。癌だけでなく、他の多くの病気が、ウイルスとバクテリアと結び付けられる。放射能に誘発された人間の微生物相における病理学上の変化は、バクテリアとウイルス起源の感染症や炎症性の病気そして様々な妊娠の病理にかかりやすい程度を上昇させ得る−そういった感染症および炎症性の病気には、インフルエンザ・慢性の腸の病気・腎盂腎炎・膀胱炎・膣炎・結腸粘膜炎・喘息・皮膚炎・虚血性心疾患)。
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