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福島第1 なお放射性物質放出の危険 地下水流入 配管に水素
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111023/dst11102320410020-n1.htm
2011.10.23 20:40 産経新聞
事故から7カ月以上が経過し、小康状態を保っているかにみえる福島第1原発だが、最近になって原子炉建屋への地下水の流入や、配管内で高濃度の水素が見つかるなど、新たな問題が表面化している。いずれも、放射性物質の大量放出につながりかねない問題で、同原発が今もなお危険を内包していることを示している。(原子力取材班)
■1日500トン
地下水の流入は、処理した汚染水の量に比べ、原子炉建屋の汚染水の水位が思うように下がらないことから明らかになった。東電の試算では、1日200〜500トンが流入しているとみられる。当初20万トンと見積もっていた処理量が増えるため、作業が遅れるほか、処理に伴って出る高濃度の放射性廃棄物の量が増えることになる。
最も懸念されるのは地下水側への汚染水流出だ。原発周辺の地下水は海に向かって流れており、漏れ出せば海洋汚染につながる可能性がある。
東電は地下水から検出される放射性物質が微量であることを理由に「流出はしていない」と否定するが、今後も流出の懸念は残るため、月内にも地下水が海に流れ出ないようにするための遮水壁の設置工事に着手する。また、地下水がタービン建屋を経由して原子炉建屋に流れ込んでいる可能性が高いため、タービン建屋と原子炉建屋をつなぐ配管などをふさぐ工事も検討している。
ただし、いずれの工事も完成は年明け以降で、それまでは現状のままで流出させない工夫が必要となる。産業技術総合研究所地下水研究グループの丸井敦尚グループ長は「汚染水の水位を地下水よりも下げておくことが大切だ」と指摘する。水圧の差により、流出したとしても最小限に抑えられるからだ。
しかし、汚染水の水位を下げすぎると、今度は地下水の流入量が増えてしまう。そのため、東電は汚染水の水位を海抜3メートル程度で維持し、バランスを取ることにした。せっかく安定してきた汚染水処理システムも、処理能力の約55%程度に抑えて運用している。
■爆発の可能性
配管の水素は9月下旬に、1号機の原子炉格納容器につながる配管を切断する作業の事前調査で見つかった。後の調査で、濃度が60%を超えていたことも判明。今月12日には2号機の配管からも6・5%の濃度で水素が確認された。
東電は水素を追い出すため、原子炉には常に窒素を封入しており、「水素爆発の心配はない」と繰り返してきた。しかし、実際には高濃度の水素が配管にたまっていた。事前調査をせずに配管を切断していれば、水素爆発が再び発生した可能性もあった。
1号機の配管からはすでに水素は抜き取られたが、この配管にどのような経緯で水素がたまったかは不明のまま。他の場所にも同様に水素がたまっている可能性もあり、東電は今後、配管などの切断前には事前に水素濃度を測るなど、爆発防止に細心の注意を払うとしている。
新たな2つの課題は、いずれも放射性物質を再び大量放出する可能性を秘めている。政府・東電の統合対策室は工程表ステップ2で最大の目標として「冷温停止」の達成を掲げているが、放射性物質の放出抑制は冷温停止の絶対条件でもある。
名古屋大の遠藤知弘助教(原子力工学)は「放射性物質が再び大量放出されるリスクはまだ残されている。こうした課題が解消されない限り、原子炉が安定した状態とは呼べないし、冷温停止の判断や避難区域の解除はすべきでない」と話している。
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