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福島第一原発事故直後の行政の対応に見える日本の課題 既に福島第一原発事故から7ヶ月が経ち、復興に関心が向かうことが多い。しかし、チェルノブイリ原発事故では5年後ほどから子供の甲状腺がんが表面化してきた。この機会に、事故当初の政府・行政の対応を振り返り、それがどんな意味合いを持っているかを明らかにしてみよう。 政府・行政の問題点とされるものは多い。例えば事故後1週間以上公開されなかった放射性物質の拡散予測や一部で配布されたが服用の指示が結局なかったヨウ素剤に関することだ。また、放射能は「直ちに影響がない」とのみ繰返し、結局避難が遅れた例もある。そして、これらに共通する原因として、事故そのものが想定外であり、担当者に対処に必要な知識そのものがなかったり、政府の責任者に担当者から連絡が行かなかったことがあったとされる。 しかし、例えば、チェルノブイリ原発事故後ポーランド政府は次のような対策を実施し児童の甲状腺がんの発症をほぼ防ぐことができたという。 以下、かなり長くなるが、http://www.kisnet.or.jp/net/sugenoya.htm「講演録『チェルノブイリで子供たちに何が起きたのか!』小児甲状腺がんの現状」から一部を引用する。 ベラルーシの西隣がポーランドでございまして、ポーランドの国がそのチェルノブイリの事故の時にとった初期対策っていうのが大変素晴らしいことをしてくれたんですね。これは私達日本でもたくさん原発ありますけれども万が一の時のそういう対策としてはぜひともやっぱり参考にすべきと思うんですけれども、ポーランドの政府はですね、チェルノブイリの原発事故が86年の4月ですけれども起こりまして、その時の翌日の夜はじめて大気の放射能汚染を確認しまして、特にベラルーシの国境沿いでは高度に汚染されましてその大気汚染につきまして分析しますとその80%が先程から申し上げてる、放射性ヨードであることがわかった、最初に揮発性の放射性ヨードが出ちゃったんですね、28日の午前10時までにポーランド全土で大気、土壌、水の汚染を確認しまして、その時点でポーランド政府は、24時間の非常事態体制を発布、これは国で国家で24時間非常時体制をしきまして、28日の夕刻には初めてタス通信がチェルノブイリ原発で事故が起こった、これは非常に小さく報道されたのですね、状況はわからないわけですね、政府は緊急対策委員会を設置しまして、その時にもう既に国立の放射線予防センターでは18例の子供の甲状腺被ばく量をチェックしております。しかしモスクワからの信頼できる情報が全く無い訳ですから、そこで政府はですね最悪の事態を想定して初期予防対策を検討、ここらへんがたいしたものですよね、最悪の事態を想定したんですね、次御願いします。 29日、事故より4日目なんですけども、もう遅いんですけどもね、本当は。正午に厚生省は中央薬剤協会に無機の、無機のヨードカリですね、ヨードの溶液剤の準備を指示しまして、その午後3時には薬剤の配布を指示しまて、すべての病院、保健所、学校、幼稚園等を通して入手できる。これ良かったらしいですね、みんなボランティアとしてものすごい迅速にこれをやったんですね、協力して。そして実はこういうことは世界で初めて起こったんですから、無機のヨードをどれだけ投与していいかっていうことも、実は我々専門家でもわからないんですね。で彼等はいろいろな資料をもとに専門家と相談して生まれたばかりの子供は15ミリ、5歳までの小児は50ミリ、6歳から大人までは70ミリと決めてですね、その中で投与して特に妊娠授乳中の女性には強制的ですけども内服するよう指示しまして、5月の2日までには一千万人の子ってことで、ポーランド小児人口の90%以上と700万人の成人が内服しました。一回投与ですね。その後大気汚染の状況が改善したので、再投与はしておりません。それから、ヨード剤っていうのは、即時性のショックを起こしたりすることがあってアレルギー反応が強い子供さんあるいは大人もいるもんですから、それに対する副作用がどうかということでしたのが、結局重篤な副作用はなくてアレルギー性の皮膚反応ですよね、かゆいものができたり、そういうことがあったんですけれども、あとは重篤な副作用はなかったということでございます。こういうことでですね、ポーランド政府の緊急対策としてヨード、無機のヨードをですね、事故4日目ですけども、子供を中心に投与した。これは本当良かったですよ。それから次お願いします。 もう一つですね、対策として、これも本当、その被害の放射線に対する汚染予防対策ですけれども、5月の15日までは、乳牛に新鮮な牧草を与えることを全国的に禁止するっていうことで、結局この牧草の中に放射性のヨードが舞い降りてますからそれを食べた乳牛のお乳の中に放射性ヨードが含まれるから、そういう意味でもって牧草を与えることを禁止したってことですね。それから1000ベクレル/リットル以上の汚染ミルクを子供や妊娠授乳中の女性が飲むことを禁止。事故当時国境沿いのポーランドでも数億ベクレル/リットルのミルクがあったそうですから、かなりポーランドでも汚染されたわけですね。こういう中でもって子供はもちろんのこと、授乳中の場合でもお母さんが汚染ミルクを飲みますと、お乳から口から子供にいくわけですから、そういう意味で禁止して。4歳以下の子供には乳牛のお乳がなくて粉ミルクを飲ませると、まずいですけどもねでも粉ミルクを飲ませて、これも良かったですね、子供や妊娠授乳中新鮮な葉菜類、葉物の野菜を採らないように。こういうことを初期に対策したもんですから、もちろん4日目ですけども、遅れてるんですけれども、結果としては現在ポーランドでは小児の甲状腺ガンが増えてないということで、初期にきちんと対策すれば甲状腺のガンに関しては対策がなされると発生しません。 以上引用終わり。 さて、このことから幾つか分かることがある。 1.福島第一原発事故ではヨウ素剤の配布をしなかった自治体や配布のみして服用の指示をしなかった自治体などがあり、みすみす子供たちをヨウ素に被爆させてしまった。ヨウ素剤を用意していたということは原発事故の発生自体は予期していたわけで、システムの運用が現実に即していなかったわけだ。行政システムにはこのようなことが他にもあるように思える。例えば、高病原性鳥インフルエンザは環境省が全国的に野鳥の糞便調査や捕獲調査をしていて、家禽に高病原性鳥インフルエンザが発生しているのにこれらの野鳥を対象にした調査で一切ウィルスが発見できていないことが度々あった。例えば2007年1月の宮崎県での発生時、宮崎県内を含め全国的に一切野鳥からウィルスが発見されていない。だから、宮崎での家禽への感染が故意のものである可能性ともう一つは環境省の調査が実態を反映するレベルでない可能性がある。 2.http://www.biological-j.net/blog/img2011/チェルノブイリの拡散状況を日本に当てはめた場合.jpg チェルノブイリ事故によるヨーロッパの汚染地図(セシウム137)に日本を当てはめると… を見ると、ヨーロッパのかなりの国にセシウム汚染が広がっていたことが分かる。ヨウ素がセシウムと全く同じように拡散したとは言えないだろうが、あまり変わることもないはずだ。だから、ベラルーシやウクライナで小児甲状腺がんが激増したように多くの国で同様な例がポーランドを除いて出ているはずだが、ほとんど各国政府から発表されていない様子だ。つまり、国際機関であるIAEAそのものがそういった情報公開に消極的であるようで、各国内で小児甲状腺がんの発生に対して全く手当がされていない場合があるかもしれない。だから、今後、日本でも同様な経過をたどる可能性がある。 3.ポーランドで出来た放射性物質対策が日本で出来なかった理由が実を言うとはっきりしない。つまり、ポーランドで実施された対策は決して特異なものではなくどちらかと言えば常識的なものだ。だから、日本でも同様な対策はかなり多くの方が必要だと考え実施しようとしたはずだ。単に行政システムの運用の問題ではなくて、原子力などに典型的に現れる国際的な圧力が働いていた可能性がある。そして、そのような力が今後の日本の原子力政策に対して働いていくのかもしれない。 最後に、日本の場合、このまま次の大震災、特に、原発災害が起こらなければ子供の甲状腺がんが表面化していくはずだと思う。その時、例えば、原発を即時廃止するという声とか、原発輸出をやめようという声が上がるはずだ。多分、そういった声が上がることは、国際的な支配層から見た時、あまり好ましいことではないはずだと思う。何か、推測に推測を重ねるようなことになっているが、5年以内に福島第一原発事故を大きく上回るような震災が起こるような気がしてならない。そのためにも、原発の廃止を、使用済み核燃料のプレート境界型地震が起こらない地域への運び出しを早急に実現する必要があると思う。 また、大きな震災になりえるのは例えば玄海原発や川内原発、伊方原発の事故など、多分、あまり数は多くない。だから、これらの可能性について注意しておく事はいいことだと思う。 県も観測態勢強化を チェルノブイリ医療支援の菅谷松本市長 3月16日 市長は取材に「風の流れによって県内へ拡散する可能性がある」とした上で、「甲状腺がんの原因となる放射性ヨウ素が最初に飛んでくる。拡散が広がった場合は、影響が出やすい子どもから青壮年の人に早期にヨウ素剤を投与することが重要だ」と指摘。「現在は県民に投与する必要はないが、県は準備を始めた方がいい」としている。 市長によると、チェルノブイリ原発事故の際、西隣のポーランドでは事故から4日目にヨウ素剤を全病院、保健所、学校、幼稚園に配備して1000万人超の子ども、700万人の成人に投与したところ、子どもの甲状腺がんは発生しなかったという。 また、現在は長野市の1地点で測定している観測態勢についても地点を増やすべきだとし、「濃度や放射性物質の種類を1日4回は分析し、情報開示するのが望ましい」とした。市は近く、担当部局を通じて県に対応を要請する。 *6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<785>>
上の講演は菅谷昭現松本市長がベラルーシで医療ボランティアをされていた当時のものだ。ポーランド政府によるこれらの施策は引用文中にも指摘されているとおり1986年のチェルノブイリ事故の4日後以降に行われたものだとされる。
http://www.shinmai.co.jp/eastjapan_quake/2011/03/post-4.php
1986年のチェルノブイリ原発事故で医師として被ばく者の医療支援に当たった菅谷昭松本市長は15日、東京電力福島第1原発の事故を受け、長野県内への拡散を想定して甲状腺がんの予防に効果がある安定ヨウ素剤の備蓄体制を確認したり、観測態勢を強化するよう県に要請する考えを示した。
2011年3月16日掲載
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