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公開された文科省『放射線等に関する副読本』 — 現実を直視させない教育が持たらすものは何か?
http://www.asyura2.com/11/genpatu17/msg/597.html
投稿者 taked4700 日時 2011 年 10 月 19 日 06:17:00: 9XFNe/BiX575U
 

『放射線等に関する副読本』の問題点に付いて書かれたブログの紹介です。幾つか図版が載っていて、それを見るほうが実態が理解しやすいので、リンクから下のページへ飛んだほうがいいかもしれません。
なお、こちらの画面に表示される図は、

>Bプルトニウムという単語自体が全く存在しない
>冒頭で、「ヨウ素、セシウムなどが放出された」と表現し、また、放射性物質の一覧ですらプルトニウムの掲載をしておりません。

の部分で使われているものです。

http://blog.livedoor.jp/hardthink/archives/51884339.html
2011年10月15日

公開された文科省『放射線等に関する副読本』 — 現実を直視させない教育が持たらすものは何か?

昨日、文部科学省より『放射線等に関する副読本』が公開されました。


(参考)文科省HP: 放射線等に関する副読本


公開された副読本は、小中高生及びその教員用となります。

 ・小学校児童用

 ・小学校教師用解説書

 ・中学校生徒用

 ・中学校教師用解説書

 ・高等学校生徒用

 ・高等学校教師用解説書


まず、一般的な論評は、東京新聞さんのニュースを引用させて頂きます。東京新聞さんの記事は1週間ぐらいで削除されてしまいますので下記に保存させて頂きます。


(参考ニュース)東京新聞: 文科省副読本 原発記述ほぼ一掃

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(2011年10月14日 13時57分)

 文部科学省は十四日、放射線の性質などについて学校で学ぶための副読本を初めて作製した、と発表した。同省などはこれまで、原子力発電に関する副読本を発行していたが、「大きな津波にも耐えられる」などと安全性を強調する記述が、東京電力福島第一原発事故後に批判を浴びた。今回は原発の記述がほぼ一掃されて放射線教育に特化したが、原発事故に関する言及もほとんどなく、教育現場から「福島で使えるのか」と批判も出ている。

 副読本は小学校、中学校、高校別で、A4判十八〜二十二ページ。

 福島第一原発事故については巻頭で「発電所の周りに住む方々が避難した」などと触れるだけで、本文では言及していない。関心が高い放射線の健康リスクの説明も、二〜四ページ程度となっている。

 小学校向けでは、放射線が「細菌退治」など幅広い分野で活用されていることを紹介。人体の影響については「一度に百ミリシーベルト以下の放射線を受けた場合、がんなどになった明確な証拠はない」としつつ、「受ける量はできるだけ少なく」と注意を促した。

 中学校向けは、放射線の種類、シーベルトなどの単位についても説明している。

 同省は「政府のエネルギー政策議論の結果が出ておらず、事故の検証もこれから。今回は要望の多い放射線に関する教材をつくった」としている。また、編集に当たった専門家や教員による委員会で「事故の説明も入れてはどうか」という意見もあったが「まず児童生徒が放射線に関する基本的な知識を身に付けるべきだ」という見解が大勢を占め、一般的な放射線の説明にとどめたという。

 副読本は指導要領に基づく放射線教育に限定したものではなく、学校や教委の判断で自由に活用できる。

 内容は十四日午後二時から同省ホームページで公開。今月下旬以降、各学校などに、児童生徒用と教師用各一部、合計約八万部を配布する。

(東京新聞)

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続いて、私の評価を書きたいと思います。

(評価できる点)

原発の安全性についての表記が無い事。


(評価できない点)

@原発の危険性についての表記が無い

福島事故についての表記が冒頭のみであり、安全という表記は見当たらなくなったものの、放射能の危険性については自然放射線についての表現が前面にあり、安全という単語は使っていないものの、結果として目的は「安全性」のアピールであると言えます。

A過去の原発事故についても全く記述無し

スリーマイル、チェルノブイリと言った、過去の原発事故についての表記を見つけることができませんでした。25年経った今でさえ、重大な健康被害が多数生じている現実を子供は知る権利が無いのでしょうか。


(参考)避けたい未来 ー 映画『チェルノブイリ・ハート』の現実


福島の現実、チェルノブイリの現実を見せなくて良いのでしょうか。

Bプルトニウムという単語自体が全く存在しない

冒頭で、「ヨウ素、セシウムなどが放出された」と表現し、また、放射性物質の一覧ですらプルトニウムの掲載をしておりません。

テレビメディアや新聞でもプルトニウムは禁句であるそうです。しかしながら大量に放出されていること、健康への影響を全く掲載していないことは良いのでしょうか。


(参考)

  消されていく『プルトニウム』飛散の証拠

  プルトニウムの放出量は74兆ベクレル


ストロンチウムは白血病、プルトニウムは肺ガンなど、核種毎に影響度は異なるはずであり、そういった具体的な病名までは、小中高、全ての副読本、教員用においても全く掲載されておりませんでした。


意図的にプルトニウムという単語を無くしたとしか思えません。

C核燃料サイクルについての記載が無い

50年前の原子力政策である、夢とまで言われていた核燃料サイクルについての記載が全くありません。


トイレの無いマンションと言われる原子力発電所の問題点についても書いてありません。


(参考)「核燃料サイクル」はとっくに破綻している!六ヶ所村の本格稼働の恐怖!


そもそも原子力発電所がなぜ存在するのか、なぜ存在しなければならないのか、こういった根本的な理由すらもう無くなってしまったという証明なのかもしれません。

D小学生向け副読本に食品の放射能についての記述無し

恐らく給食問題なども関係してるのでは無いでしょうか。小学校の給食率は中学・高校よりも圧倒的に高く、小学生に食品による不安になるような情報は一切記述していないように見受けられます。


中高生向け副読本の中には、下記の図で、放射性カリウムなどの自然放射能が普段から入っていることが前面に出し、食品に含まれてしまっているセシウムなどについては全く説明されておりませんし、大きな欺瞞のある暫定基準値についても全く表記されておりませんでした。


食品の説明をするのであれば、本来はむしろ下記の図を付けるべきであると考えております。


E放射線と健康被害の関係について誤摩化し

私が一番、嫌いな表現が随所に使われております。せっかくですので、”放射線と健康被害”の項を全て引用させて頂きます。
(引用)

--------------------------------------------------------------------------------

一度に多量の放射線を受けると人体に影響が出ますが、短い期間に100ミリシーベルト(mSv)以下の低い放射線量を受けることでがんなどの病気になるかどうかについては明確な証拠はみられていません。

普通の生活を送っていても、がんは色々な原因で起こると考えられていて、低い放射線量を受けた場合に放射線が原因でがんになる人が増えるかどうかは明確ではありません。

国際的な機関である国際放射線防護委員会(ICRP)は、一度に100ミリシーベルトまで、あるいは1年間に100ミリシーベルトまでの放射線量を積算として受けた場合でも、線量とがんの死亡率との間に比例関係があると考えて、達成できる範囲で線量を低く保つように勧告しています。また、色々な研究の成果から、このような低い線量やゆっくりと放射線を受ける場合について、がんになる人の割合が原爆の放射線のように急激に受けた場合と比べて2分の1になるとしています。

ICRPでは、仮に蓄積で100ミリシーベルトを1000人が受けたとすると、およそ5人ががんで亡くなる可能性があると計算しています。現在の日本人は、およそ30%の人が生涯でがんにより亡くなっていますから、1000人のうちおよそ300人ですが、100ミリシーベルトを受けると300人がおよそ5人増えて、305人ががんで亡くなると計算されます。

なお、自然放射線であっても人工放射線であっても、受ける放射線量が同じであれば人体への影響の度合いは同じです。

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100mSv/yearまでは「分からない」が現実であり、むしろ予防原則に立つべきところを、100mSv/yearまでは、暗に安全と表現しているようにも受け取れてしまう可能性を感じてしまいます。


100mSv/year以上についても相変わらず2つの数字を組み合せて、まるで大した事が無いという表現を使っております。


また、解説するまでも無いかもしれませんが、1000人中5人が癌で死ぬということはどういうことでしょうか。

癌にかかる確率については全く触れられておりません。癌に苦しむ人がその何倍になるのでしょうか。

仮に少なく見積もって死亡者の6倍と仮定すれば、100人中3人が癌に苦しむ、50人中1.5人、学校の1つのクラスで1人が癌で苦しむという計算にになる筈です。死ななければ苦しんでも良いのでしょうか。


日本の死因の30%が癌であることは統計上、間違いありません。しかしあくまでも生涯での死亡率であり、時間軸が異なります。同時にこの時間軸で見れば生涯まで視野を広げて考えれば、恐らく1000人に5人という数字が怪しくなります。


チェルノブイリで事故が起きて僅か25年、生涯を観測しているケースなど無い筈であり、100mSv/year未満についても同様に長い期間で調査できている筈もありません。


むしろ、泊村の癌死亡率の方が注目すべき大きな問題であると考えます。


(参考ブログ)カレイドスコープ: 泊村の突出したガン死亡率と岩内町の反骨の“市民学者”

* * * * * * * * * *

最後に、まとめたいと思います。

副読本から原発の安全性についての表記は無くなりましたが、結局、現在の福島の現実から目を逸らし、現実から目を逸らしたままの教師が子供に教育しなければならない教育現場は大きな問題だと感じます。


“今月下旬以降、各学校などに、児童生徒用と
教師用各一部、合計約八万部を配布する。“


本当にこのまま進められてしまってもよろしいのでしょうか。本当に子供の未来の為になるのでしょうか。


そこまで考え抜いた上で、文科省へ意見具申されたい人は、下記からお願い致します。(私は意見具申済みです。)


(参考)文科省ご意見・お問い合わせフォーム(教科書に関する事)


私は、過去の原発安全神話は崩壊しましたが、新たに放射能安全神話が形成されつつあると感じております。

日本人の大人は決して馬鹿ではありません。ここまで酷い副読本を、税金を使われて配布され、未来の子供達を洗脳されてしまってはなりません。


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