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河北新報 10月17日(月)6時10分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111017-00000009-khks-l07
福島第1原発事故の影響で住宅ごとに避難対象を指定する「特定避難勧奨地点」をめぐり、113世帯が指定されている伊達市で住民の不満が収まらない。地区全体の指定を求めて運動してきた事情に加え、東京電力が指定世帯だけに「精神的苦痛」を認め、賠償しているためだ。「地域の一体感が引き裂かれる」と地元が反発する事態が続いている。
「地域のみんなで子どもを守ってきたのに、自分だけ支援を受けて申し訳ない」。伊達市霊山町小国地区の40代女性が話す。
女性の家は特定避難勧奨地点に指定され、小国地区から離れた市内の公営住宅で、避難生活を送る。女性の子どもは小国地区の小国小に通っているが、卒業した後は地区から引っ越すことも考えているという。
113世帯の内訳は、霊山町小国地区が86世帯、隣接する同町石田地区が21世帯、月舘町相葭(あいよし)地区が6世帯。このうち、79世帯274人が市内の公営住宅などに避難を済ませた。各地区は地区全体の指定を国や市に要望してきた。
小国小に通う児童は10月、指定前から3人減って54人になった。このうち自宅が避難勧奨地点になったのは17人。避難した子どもはタクシーなどで学校に通う。目立った「児童流出」は起きていない。
東電は指定世帯に対し、精神的苦痛に対する賠償として、避難した日から9月10日までは原則1人当たり月額10万円、それ以降の6カ月間は5万円を支払う。指定されない世帯に対する金銭の支払いは全くない。
地形や緑地などの条件によって放射線量は一軒一軒異なるとはいえ、住民は隣り合う家の「精神的損害」がこれほどまでに違うのかと、疑問視する。
東電は、指定世帯のみの賠償について「公平で円滑な補償のためにも、賠償対象を定めた政府の『中間指針』に沿って実施せざるを得ない」と説明する。
伊達市の仁志田昇司市長は「指定の有無にかかわらず、事故による放射線の影響を受ける住民に、一定の補償があってしかるべきだ」と、東電に注文を付ける。
同市霊山町下小国の主婦秋葉知子さん(39)は「指定されない世帯は、除染も後回し。地域に残って生活している人の負担も軽くはない」と話す。
小国小PTA会長の高橋裕一さん(42)も「支援に差をつけることは、地域社会のまとまりを損ねる」と危機感を抱いている。
[特定避難勧奨地点]東京電力福島第1原発事故発生後1年間の積算放射線量が、20ミリシーベルトを超えると推定される地点で住居単位で指定される。指定の目安は?放射線量が毎時3.2マイクロシーベルト以上?妊婦や乳幼児がいる?周囲に放射線量の高い地点がある―ことなど。指定されても一律に避難を指示されるわけではないが、避難した場合は金銭的な支援を受けることができる。
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