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東京湾の最終処分場は今/8000ベクレル超の“青い畝”140b
東京新聞 2011.10.13 朝刊 こちら特報部
放射性物質に汚染されたごみから出る焼却灰や下水汚泥焼却灰の処分は首都圏でも大問題となっている。特に人口が密集する東京23区の捨て場が、東京湾にある最終処分場だ。汚染焼却灰の処分地からも高めの線量が測定され、小中学生の処分場見学が自粛されたり、被災がれきの最終受け入れに抗議が寄せられたりしている。今、現場はどうなっているのか。(鈴木泰彦、小倉貞俊)
東京区部で出たごみが最後に集まってくる場所。それが東京港の区域に造られた「中央防波堤外側処分場」と「新海面処分場」だ。
地番はまだなく、「東京都江東区青海3丁目地先」となる最終処分場はとにかく広い。面積はそれぞれ東京ドームの67倍と103倍。臨海副都心や大井ふ頭と海底トンネルで結ばれ、家庭ごみの焼却灰や汚泥焼却灰のほか、中小事業者の産業廃棄物も持ち込まれて、高さ30メートルほどに達するまで埋め立てが続く。行き交うのは処分にかかわる大型車両ばかりだ。
放射性物質を含むごみもここへ行き着く。東京都廃棄物埋立管理事務所によると、現在、中央防波堤外側処分場で汚泥焼却灰を、新海面処分場では燃えがらそのものである「主灰(しゅばい)」、清掃工場のろ過式集じん機などで集められた「集じん灰」を、それぞれ場所を決めて埋め立て処分する。
国の指針は、1キロ当たり8000ベクレル以下なら、通常のごみと同じ手法で処理してよい。放射能のないものと扱いは一緒でよろしい、という見解なのだ。集じん灰は平均で2000ベクレルという。
では、8000ベクレルを超えたものはどうしているか。「先の方に青いお山が見えますね」。汚泥焼却灰の処分地に近い見学者用の「見晴らし広場」で、案内をしてくれた埋立管理事務所の高橋章所長は指さした。
新海面処分場の一角がブルーシートで覆われている。高濃度の集じん灰は、専用エリアでの「仮置き」が続いている。
厚さ30aの粘土敷き詰め 袋に梱包、シートかけ「仮置き」
漏出を防ぐため粘土質の土壌「ベントナイト」を30センチほどの厚さで敷き詰めて隔離層を設け、化学繊維でできた丈夫な袋状の包材で、梱包した集じん灰を置く。上から遮水シートをかけて土で覆い、さらにブルーシートをかけていた。
環境省が6月に示した処理方針に準拠した方法というが、見渡す限り土色の中で、人の背丈を優に超える“青い畝(うね)”は目立つ。「一時的な保管ではあるが、万一中身が流出してしまうようなことが起きては大変なので、できるだけの処置を施している」と高橋所長。
放射線量はどの程度か。「ブルーシートの近くの測定で一時間当たり0・11〜0・16マイクロシーベルト。中央防波堤内側埋立地にある合同庁舎脇のデータとほぼ変わらない」。作業員には防じんマスクに加え、積算線量計を携帯させて被ばくの管理も行っているという。
6月下旬、江戸川清掃工場(江戸川区)の集じん灰が1キロ当たり9740ベクレルを記録して始まった一時保管だが、8月以降は集じん灰を薬剤処理した汚泥の線量も落ち着き、9月分から埋め立て処分を再開していた。
ところが、9月下旬の測定で再び同清掃工場の集じん灰処理汚泥が基準値を超え、しばらく止まっていた“青い畝”の伸長も再開。11日の時点で、長さ140メートル、幅8〜9メートルに達している。
ただ、管理された最終処分場とはいえ、放射性物質を含むごみが蓄積されていくことに不安を感じる都民は少なくない。
処分場が小中学校の見学先になっていることも、気掛かりの一つだ。
「汚染されたごみ置き場にあえて子どもたちを行かせる必要があるのでしょうか」。小学4年の長男が7月に処分場を見学したという練馬区の主婦(40)は疑問視する。
処分場には昨年度、都内など約1500校の児童・生徒約6万人が訪れた。下水汚泥の放射能を受け、都は6月から「保護者に安心してもらえれば」と従来の見学ルートを変更。「見晴らし広場」に行く中央防波堤外側処分場には立ち入らず、見学は防波堤の内側のみとし、バスからも極力降りないよう見直した。
それでも保護者の心配の声は尽きず、10月までに50校以上が見学を中止した。主婦も「被ばくリスクを最小限にとどめるべきでは」と訴える。
被災地のがれき受け入れ計画も波紋を広げている。東北以外では初の取り組みで、岩手県宮古市のがれきを10月下旬から来年3月までに11000トン、2013年までに岩手、宮城県の計約50万トンを受け入れる。がれきの破砕・焼却処理は民間の産廃処理施設が行い、放射線量も検査する。
都には「放射能を拡散させないで」といった苦情や意見が殺到。その数は受け入れ公表直後の先月29、30の両日で電話約350件、メール約100件に上った。
「宮古市が焼却灰を測定したら、放射性物質は1キロ当たり133ベクレルと低かった。安全性に問題はなく、被災地復興のためにも理解してほしい」と都環境局の担当者。
さらなる課題は、多摩地区7カ所の都下水処理場に仮置きされている汚泥焼却灰の処分だ。従来はセメント材料として再利用されていたが、放射性物質の検出で業者が受け入れを中断。現在は2500トン以上にまで膨れ上がっている。
都は中央防波堤外側処分場への搬入を計画し、地元の江東、大田区に理解を求めてきたが、両区は12日までに了承。一方で「早期に多摩地域内で処理をして」(大田区)とくぎも刺している。
最大の課題は、一時保管している8000ベクレル超の焼却灰などの最終処分の行方だ。国はこれまでセメントで固めたうえ、地下水への流出を防ぐなどをすれば埋め立て処分が可能、との見解を都道府県に伝えていた。
今後、完全閉鎖型の処理をする場合、「おそらく億単位の設備投資が必要になる」(東京23区清掃一部事務組合)。
10日には、環境省が8000ベクレルを超えたものは「指定廃棄物」と定め、排出された都道府県内で国が処理するとの基本方針を示した−と報じられた。都環境局は「正式な通知が来た段階で、調整したい」とする。
いずれにせよ、一時保管分や8000ベクレル以下のものを別の処分場に移すことは考えにくく、このまま東京湾での処分が続く可能性は高い。
ただその場合、東京湾北部を震源とする直下型地震や東北のような「想定外」の巨大津波が起きても、内容物の流出を避けなければならない。天変地異がなかったとしても、周辺環境への影響が出ないよう、長期にわたる厳重な管理が必要となることは確かなようだ。
デスクメモ
見晴らし広場に立った。23区内の20の清掃工場からの搬入車が次々と8000ベクレル以下の焼却灰を捨てていく。被災がれきを考えた。被災地から消えない限り復旧すら始まらない。東京都の苦渋の英断と言ったら怒られるか。福島では汚染土の捨て場も決まらない。原発の電気に頼ったのは誰か。(呂)
*紙面画像はこちら ⇒ [東京湾の最終処分場は今] 8000ベクレル超の”青い畝”140メートル
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[東京湾の最終処分場は今] 被ばく不安もたまる 小中学校の見学は自粛(東京新聞・こちら特報部)
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