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南相馬・現地ルポ ストロンチウム続々検出!「避難者を 自宅に戻す」のは早すぎる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/22843
2011年10月15日(土) フライデー :現代ビジネス
国は「緊急時避難準備区域」を一斉に解除したが、あまりに危険ではないか。南相馬市議が研究所と行った放射能汚染調査では、驚愕の結果が出ていた!
「何についても、解除するっていうのは、『原因を解決したので、もう戻ってきても安全ですよ』というのが前提のはずでしょ。だけど今回の解除なんて、放射線量の問題とか解決されていないままだ。解除だって言っても、誰も戻って来れないよ。何のための解除ですか!」
福島県南相馬市に住む自営業の男性(50代)が怒りをぶつける。
政府は9月30日、福島県内に設定していた「緊急時避難準備区域」を解除した。緊急時避難準備区域とは、福島第一原発から半径20~30km圏内で、年間放射線量が20ミリシーベルト未満のエリア。南相馬市、田村市、川内村、楢葉町、広野町の5市町村の一部に設定されていた。区域内には、子供や妊婦は立ち入らないようにし、緊急事態に備えて避難や屋内退避ができるよう準備することが求められていた。政府によれば、「原子炉の冷却が安定的に進み、緊急事態が発生する可能性が極めて低くなった」というのが、解除の理由である。
同区域内に住んでいた住人は計約5万9000人で、そのうち2万8000人程度が区域外に避難しているとみられる。住民にとっては朗報のはずだが、冒頭のコメントにあるとおり、不安は解消されていない。
「政府が緊急時避難準備区域を解除したのは、原発の再爆発の可能性が低くなったというのが主な理由で、放射線量が低くなったからというわけではない。国際的に事故の収束をアピールしたいがためです。自治体側の、避難した住民に早く戻ってきてもらって町の復興を進めたいという意図もある。今回の決定は、まず帰宅ありき≠ネのです」(地元紙記者)
冒頭の男性が続ける。
「ここで生まれ育ったんだからここに住みたいよ。でも本当に安全なのか。自分たちはいいにしても、子供も孫もまだ来れないでいる。我々がモヤモヤしているのは、行政がはっきりしないからです。ダメならダメと言ってほしい。それならしょうがない。腹をくくってこれから先に進まなければならない」
緊急時避難準備区域の解除を素直に喜んでいる人は、ほとんどいないようだ。
■文科省も土壌汚染を発表
そんな折も折、地元の市議の調査で、南相馬市の一部地域からストロンチウム90が検出されたことが明らかになった。南相馬市議・大山弘一氏が明かす。
「今年7月下旬に2日間にわたって、横浜の同位体研究所の所長である塙章先生と一緒にサンプルを採取しました。調査区域は、南相馬市原町区の太田川上流から下流までの地域です。その結果、今回、解除されたエリアからもストロンチウムが検出されました」
大山市議が調査したのは、南相馬市内の20~30km圏内にある計17ヵ所。そのうち、以下の4ヵ所からストロンチウムが検出されたのだ。
(1)原町区片倉(川砂)・33ベクレル/kg
(2)原町区片倉(苔)・95ベクレル/kg
(3)原町区片倉(雨樋)・1113ベクレル/kg
(4)田中地区(川砂)・100ベクレル/kg
このうち、(4)の田中地区は今回、解除された緊急時避難準備区域内にある。政府と南相馬市が避難民に帰宅を促しているエリアから、100ベクレルものストロンチウムが検出されたのである。内部被曝の観点から見て、ストロンチウムはセシウムより怖いとされる。元日本原子力研究所研究室室長・笠井篤氏が説明する。
「ストロンチウムは、化学的性質がカルシウムと非常に似ている元素で、人体に入ると骨に定着します。そうすると、骨髄などの造血器官が放射線で傷つくため、白血病が誘発される。セシウムが集まりやすい筋肉よりも、骨は代謝されにくいので非常に厄介です。放射性物質が体内に入って半分になるまでの期間を生物学的半減期といいますが、セシウムは100日で半分になる。一方、ストロンチウムは約50年です。同じ量のセシウムとストロンチウムが体内に入ったと仮定すると、ストロンチウムのほうがはるかに被曝線量が高くなるのです」
そんな危険な物質だというのに、これまでストロンチウムの検出結果についての国の発表はなぜか遅れた。それには理由があるという。笠井氏が続ける。
「セシウムがあれば、必ずストロンチウムもあります。ただ、ストロンチウムは測定に時間がかかる。分析する専門機関が非常に少なく、しっかり測定しようとすると2週間かかります。だからデータがあまり上がってこないんです」
測定されていないだけで、実際はストロンチウムに汚染されている地域が相当あるということだ。
そのストロンチウムの汚染状況について、文部科学省もようやく発表した。緊急時避難準備区域が解除された同じ日に、福島第一原発周辺の土壌の分析結果を発表したのだ。
今年6月から約1ヵ月かけて、80km圏内で土壌を採取して調査したもので、ストロンチウムの最高数値は、20km圏内の福島県双葉町の5700ベクレル/m2(註)。注目すべきは、前出の大山市議の調査結果と同様に、今回解除された緊急時避難準備区域である南相馬市(3ヵ所・600、260、160ベクレル/m2)、田村市(1ヵ所・610)、川内村(3ヵ所・380、130、39)、広野町(5ヵ所・220、150、120、76、61)からもストロンチウムが検出されている点だ。
南相馬市だけではなく、福島県の広い範囲でストロンチウムが検出されているのだ。また、原発敷地外としては初めてプルトニウムの検出も確認されたのである。全国紙社会部記者が言う。
「文科省は、検出されたプルトニウムやストロンチウムの沈着量が、セシウムに比べて微量なので、今後もセシウムに着目するのが適切だとしています。『無視しよう』という態度がみえみえです」
■山の汚染こそ危険
避難準備区域を解除するなら、当然、除染して放射線量を低くするのが先決のはずだ。が、実態はお寒い限りだ。南相馬市で鮮魚店を営む男性(59)が訴える。
「ここ(店の前の道)は通学路だから、車道と歩道のアスファルトを高圧洗浄機で洗い流したんだ。だけど、その水と土砂が全部、脇の側溝に流れ込んで、放射線量が高くなってしまった。すぐ脇には畑があって、除染されていないから、風が吹けば元に戻ってしまうよ」
(註)文部科学省によると、ベクレルの「/m2」と「/kg」の換算目安は<2万2000ベクレル/m2=338ベクレル/kg>となる
農林水産省は10月1日、福島県内の森林全域を対象に、放射能汚染の実地調査を行うことを決めた。400地点で放射性セシウムの土壌濃度と空間線量を測るという。が、森林に入って測定するのは事故以来初めてのことで、いかにも遅い。福島県は全体の約7割が森林地帯なのだ。
前出・大山市議が言う。
「南相馬市内で除染が終わったのは、市の面積のまだ1%程度です。実は、山が一番汚れているんです。街中をきれいに除染しても、山から風に乗って放射性物質が飛んでくれば、やり直しですよ。まず山も含めた全エリアを除染してから、住民を帰宅させるべきです。今の除染方法が続くだけなら、人は住めません」
政府は今のところ、森林の調査開始を始めただけで、除染の具体的方法は示していない。前出・笠井氏が言う。
「政府はセシウムばかりを気にして、他の核種を軽視しすぎている。核種が異なれば性質は違う。ストロンチウムの汚染マップは、セシウムのそれとは別モノなんです。チェルノブイリ原発事故の時は、ウクライナ政府が核種別にきちんと汚染マップを作っている。日本も詳細にストロンチウムやプルトニウムの沈着状況を分析した汚染マップを早急に作るべきです。避難区域の解除は、明確な汚染マップを作ってから実施すべきです」
対策が後手後手に回り被害を拡大させてきた政府が、「解除」だけ急ごうとしても、住民が信用できないのは当然だ。
「フライデー」2011年10月21日号より
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