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北朝鮮との交渉促進が拉致問題を解決に近づける有効な手段という考えを打ち出して、経済制裁など強圧策を有効手段と考える拉致被害家族会と決別した蓮池透氏の原発論である。
東電社員として原発施設に関わった経験を織り交ぜながら東電の体質を明らかにしている。
蓮池氏は、「原発に携わってきた一人として、自分も加害者ではないかという深い自責の念があります」と率直に話し、「現在、様々な立場の人が原発について論じています。しかし、東電の同僚やOBは、みんな口を閉ぎしたままです」と東電関係者のみっともない対応ぶりに落胆していることを匂わせている。
蓮池氏は、結論として、「原発はフェイドアウトさせるほかないと考えています。その最大の理由は、核廃棄物です。原子力を使う以上、必ずどこへも持って行きようのない “核のゴミ”が出る。これは避けようがありません」と脱原発を主張している。
文春編集部が「今回の福島第一原発の大事故をもたらしたのは、津波による被害だった」と誘導しているからだとも言えるが、福島第一原発の事故がここまで拡大したのは、津波のせいではない。
メルトダウンが地震と津波のせいと言えるのは、3月12日に水素爆発を起こした1号機くらいである。
非常用ディーゼル発電機が動かず1日程度AC電源の喪失状態が続くことは津波のせいにできても、2日、3日さらに10日もAC電源の喪失状態が続くのは、津波のせいではなく設備の質の問題なのである、
政府・東電さらには米軍までが対応するという総力戦でありながら、電源回復ができず、事故発生から3日目の14日に3号機が水素爆発(3日目未明にメルトダウン)、4日目に2号機圧力抑制質が損壊(3日目夕方からメルトダウン)、4号機建屋が“損壊”した(燃料プールの“危機”)経緯を考えれば、「津波のせい」という見方はまったくもって見当外れであることがわかる。
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「週刊文春」10月20日号P.151
『蓮池 透 独占激白
福島第一原発の保守管理者として 32年勤めた東電を断腸の想いで告発する!
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蓮池透氏は、三十二年間、東電でずっと原子力部門に携わってきた。
その体験を踏まえ、先月『私が愛した東京電力』(かもがわ出版刊)を上梓。
今回、事故と東電について改めて語った。
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蓮池透氏は、かつて東京電力で原発の保守を担当していた。全訳のなかった厚発マニュアル、まったくなされていなかった津波対策、強引なコストカットの弊害……。自らも「加害者ではないか」と語る蓮池氏が、内部の目で見た、東電と原発の問題点を具体的に告発する。
私は一九七七年に入社以来、二年前に退職するまで東京電力に勤務していました。そのうち二度にわたり、計五年半、福島第一原発に赴任し、保守管理を担当していました。本店で、いま福島第一原発で所長を務める吉田昌郎さんと一緒に仕者をした時期もあります。
原発に携わってきた一人として、自分も加害者ではないかという深い自責の念があります。それと同時に、自分が問わった福島第一が、何故こんなことになってしまったのか、という複雑な気持ちもある。
現在、様々な立場の人が原発について論じています。しかし、東電の同僚やOBは、みんな口を閉ぎしたままです。実際に原発に従事した元社員として、今回の事故や東電という企業について率直に語ることが、日本が直面するこの難局を乗り切る一助になるのではないかと考えています。
七七年、入社して間もなく福島第一原発に赴任した私は、保修課に配属きれ、三年半の間、計測制御装置などのメインテナンスを担当しました。私の担当は3・4号機でした。点検作業の確認などで、原子炉の底などにも入ったため、福島にいた五年半で、合計約一〇〇ミリシーベルト被曝しています。東電社員でも多い方でしょう。
赴任して最も驚いたのは、メインテナンスに関する日本語のマニュアルがなかったことです。
福島第一の1号機は米GE社製で、ターンキー契約でした。つまり完成品と運転キーを渡されたわけです。同時にマニュアルも渡されたのですが、物凄く分厚い上に全て英語。
運転に関しては、マニュアルを日本語に全訳し、米国に運転員を派遣して実地で訓練を受けていました。しかし、メインテナンスはそうした米国での訓練もありません。マニュアルも原子炉本体やタービンなどの重要な機器に関しては、日本語訳を作り、メンテの手順を確立していましたが、細かいところまでは行き届いていなかったのです。
だから換気空調系の設備などで、私が点検工事を起案し、初めて点検した、というケースもありました。ボロボロに錆びていて、足で蹴ると錆びが落ちてきたりしたものです。
今回の事故でも、原発そのものがアメリカかちの輸入技術で、その問題点を東電側がきちんと把握できていなかったのではないか、といった批判がなされていますが、最初に私が赴任した時点では相当手探りの部分があったのは事実です。
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今回の福島第一原発の大事故をもたらしたのは、津波による被害だった。
外部電源が喪失し、冷却装置なども水浸しとなり、横能不全に陥った。
東電は「津故による被害は想定外」と主張するが、実態はどうだったのか。
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「今回の津波は想定外だったとしばしば言われます。しかし、「想定外」とは、ある予測をしていて、それを超えたものが来た、ということ。福島第一に関しては、津波の被害はまるで考えられていませんでした。想定外ではなく、「無想定」だったのです。
福島第一周辺で観測されている最高潮位は、満潮時を考慮してでも六m弱という認識で、それに対し敷地は十m以上の高きがあるから大丈夫だと誰もが思い、国もそう認定していました。
リアス式海岸にある東北電力の女川原発などは津波対策が絶対に必要だが、福島には来ないだろう、と同僚と話したことを覚えています。たから、福島では循環水ポンプなども野ざらしになっていましたが、雨に濡れても大丈夫なのかな、といった程度の認諌でした。
当時、我々が懸念していたのは、仮に津波が来たら必ず引き潮がある。むしろそのときの方が怖いということです。引き潮で、本来あるべき海水が引いてなくなったら、海水で冷却できなくなる。これはまずいなと話していました。
その一方、地震についての審査は厳しかった。過去の地震についても古文書をひもといて調べ、どれ程の揺れがあり、その揺れに耐えられるのか、地表を踏査して断層を調べ、活動性のある断層の長さはどれくらいなのかなど学術的に詳細に調べました。
また、原発の様々な機器についても、本当に厳しい検査を行っていました。日本の原発は「常に新品同様であれ」という独自の思想に基づいて、審査がなされます。「ちょっと厳しすぎやしませんか」と思うことも多々あったほどでした。
液化天然ガスとコストが拮抗
津波に関して、東電は最近になって、〇八年に「十m以上の津波が来る可能性がある」とする試算を行っていたと発表しましたが、何ら対策はとられませんでした。これには、ひとつの理由が考えられます。それは、東電という「株式会社」の体質に起因している。
原発のような大規模で厳しい基準が求められる設備の場合、その改造には相当の時間とお金がかかります。
それをまだ何の問題も起きていない段楷で安全のために着手する、という姿勢は東電にはありませんでした。地震や機器の検査に厳密なのは、かつて問題が生じたことがあったからです。
さらに東電が恐れていたのは、もし「津波が来たら、今の態勢では危険があるから、非常用ディーゼル発電携を高台に移設しよう」、とか、「建屋の密封牲を高めましょう」と発表したとすると、地元やマスコミから、「じやあ、今まで危険なまま何年も運転していたのか」と必ず言われる。それが怖いのです。
さらには、設置許可を出した国のメンツもあります。旧通産省のお墨付きで、福島第一原発を建設したわけですから、「我々が許可しているのに、それにケチをつけるのか。根拠はあるのか」と国は言うでしょう。それも東電にとっては、何より避けたい事態だった。
コストのために、安全性を犠牲にしたという点では、私にも忸怩たる思いがあります。八三年に本店の原子力計画課に配属されたのですが、そこでの仕事はギリギリまでコストカットを進めることでした。
「他の発電に比べコストが安い」というのが原発の大きなセールス・ポイントでした。ところが、当時から液化天然ガスによる火力発電とコスト的に拮抗してきていた。だからトップダウンで一円でもコストを安くしろ、と言われたのです。
私がやらされたのは、新潟・柏崎刈羽原発3・4号機の建設コスト削減でした。
もうフェイドアウトしかない
原発の基本的な設計思想として、必ず同じ機器を二台以上用意しておく、というものがあります。どんな機器でも故障するから、必ず予備を用意しなくてはならない。
ですが、機器にはフィルターや配管といった「静的機器」と、ポンプやモーター、ファンといった「動的機器」があります。この二種類を比べると、動的機器は圧倒的に故障率が高く、静的機器は低い。私たちはここに日を付けました。静的機器は二台なくても大丈夫だろうと。
たとえば、原子炉格納容器の中に水をスプレーするリング状の配管があります。二個のスプレーリングそれぞれにポンプが繋がっているのですが、リングは静的機器で故障しないだろうから一個でいいんじゃないか。それで、二台のポンプから一個のリングに給水出来るような設計にして、リング一個分のコスト数千万円を削りました。
他には、格納容器や原子炉建屋に放射性物質が出たときに、それを濾過して取り除いてから外に排気する、井常用ガス処理系という設備があります。その濾過するフィルターは静的機器だから故障しないよなと、やっぱり一台に。これでも数千万円のコスト削減になります。
この時、同じ時期に作業していた中部電力の設計部隊は、スプレーリングを一つにしなかったのです。そこで我々が「こっちに揃えてもらわないと困る」と言うと、中部電力は「学者に相談したら、それはまずいと言っている」と返してきました。
こうした設計段階でのコストカットで、その後、問題は生じていません。ですが、安全を保ちつつコストは減らせというのには、常にジレンマを感じていました。
今回の事故は、多くの日本人に、もう原発に頼れない、という思いを抱かせました。長年、原子炉に携わってきましたが、私自身ももう原発はフェイドアウトさせるほかないと考えています。その最大の理由は、核廃棄物です。原子力を使う以上、必ずどこへも持って行きようのない “核のゴミ”が出る。これは避けようがありません。
東電をはじめ、電力事業者はこの現実を真摯に見つめ、本腰を入れて原発に代わるエネルギーの開発にカを注ぐべきです。それが元原子力技術者、元東電社員としてのラスト・メッセージです。』
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