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除染ごみ、汚染がれきはどこへ? 福島県に募るいら立ちhttp://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111011/dst11101112420010-n1.htm
2011.10.11 12:39 産経新聞
東京電力福島第1原発の事故による放射性物質で高濃度に汚染された地域の除染を国直轄で行うことなどを定めた特別措置法が来年1月に全面的に施行される。国は汚染されたがれきの処理も含め、対策を加速させるが、汚染廃棄物の中間貯蔵施設の確保など課題は山積している。
■いらだち募る自治体
東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質に悩む福島県。復興の大前提となる除染について、政府は「国が責任を持つ」としているが、発生する除染ごみの行方や、中間貯蔵の方向性を示せていない。財政支援の範囲を狭めるような方針が一時示されるなど、仮置き場の確保に腐心している自治体関係者にはいらだちが募る。
「県民の素直な気持ちは『被害者が自ら除染しないといけないのか。国、東電がするのが筋だ』というものだ。政府も共有してほしい」
10月2日、福島県庁の一室。佐藤雄平知事は、机を挟んで向かい合った細野豪志環境相に念押しした。環境省が当初、原則対象外とした追加被曝(ひばく)線量が年間5ミリシーベルト未満の地域への財政支援を確約するよう迫ったのだ。
線量の高低にかかわらず、自治体全域で除染を進めようと考えている市町村は多い。福島市も生活圏の空間放射線量を2年で毎時1マイクロシーベルト以下にするとの目標を掲げた除染計画を策定した。瀬戸孝則市長は「健康上問題ないといわれても、実際に避難している人がいる。さまざまな事情で避難したくてもできない人もおり、一日でも早く線量を下げたい」と除染の必要性を強調した。
■仮置き場に住民50「反対50」
県内の市町村による除染は今後、先行して実施してきた学校などの公共施設から、住民の自宅など生活空間に移っていく。だが、大量に排出される表土や汚泥、草木などは仮置き場を確保できたとしても、肝心のその後の処分方法が明示されていない。
一時的に保管される仮置き場でさえも、候補地周辺の住民の反発は強い。汚染ごみが“ばば抜き”のばばと化していくことに各自治体は頭を抱える。
県のほぼ中央にある本宮市は、通学路の除染に取り組むため市有地2カ所を仮置き場の候補地とし、9月末に周辺住民を集めて説明会を開いた。「候補地が学校に近い」「仮置きというが、何年間置かれるか分からない」…。参加者から反対の声が相次ぎ、市は白紙撤回を余儀なくされた。
「市民も除染の必要性は理解してくれているが、仮置き場を不安に思う気持ちも分かる」と高松義行市長。北隣の二本松市では市内の国有林の活用を目指して林野庁と調整を進めているが、山林が少ない本宮市ではそれも望めない。高松市長は「国が各自治体の現状に応じて、リーダーシップを発揮しないと事態は進まない」と訴えている。
■基準値以下でも処理進まず
さらに、除染作業で発生したごみだけでなく、津波に伴うがれきの処理にも、放射性物質の汚染が影を落とす。
岩手、宮城、福島3県の沿岸部では、約2300万トンに上るがれきが発生。10月4日現在、58%が仮置き場に搬入されている。被災地以外の自治体が廃棄物を引き受ける広域処理が期待されるが、東北以外で受け入れを決めたのは東京都だけ。環境省は「岩手、宮城の廃棄物は十分線量が低いのに」と困惑する。
放射性物質は東北−関東地方のごみ処理施設から出る焼却灰や、下水汚泥からも検出。それらの埋め立てやリサイクルにも支障が出ている。
環境省の有識者検討会は1キログラム当たり10万ベクレルを超える放射性セシウムを含む焼却灰について、外部に放射線が漏(ろう)洩(えい)しない対策を取った上で、底部に防水シートを敷くなどした「管理型最終処分場」に埋め立てることを容認する方針だ。
ただ、焼却灰処理は10万ベクレル以下でも滞るケースが頻発。2万8100ベクレルが検出された千葉県流山市の焼却灰約30トンを秋田県が送り返すと発表したのをはじめ、埋め立て場近くの住民らの反対も相次ぐ。通常の廃棄物と同様に埋め立てられる8000ベクレル以下の焼却灰も、16都県の410施設のうち22施設が一時保管を迫られている。東北、関東各地の下水処理場でも、放射性物質が高濃度で検出された汚泥の保管が限界に近づいているケースが目立つ。
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