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科学的な間違いに振り回されないように(2) 被曝と科学
http://takedanet.com/2011/10/post_2d97.html
平成23年10月12日 武田邦彦(中部大学)
被曝は「1年1ミリシーベルト」、表面汚染は「1平方メートルあたり4万ベクレル」と私が日本の法律や国際慣行の数値を説明しますと、「法律のことばかり言って科学的ではない」とか「低線量被曝の結果はすでに科学的に判っていて1年100ミリ以下は安全」などと言う人がいます。
もしそういう人がいたら「それではなぜ、日本の法律も国際慣行もともに1年1ミリになっているのですか? 学者は決定には関与していないのですか?」、「それではなぜ、ソ連では1平方メートル4万ベクレル程度で管理地域にしたのですか?」と聞けば、その発言の矛盾が判るでしょう。
昨日、このブログに載せたように日本の法律に関わる数値を決めるときには、日本の主要な機関、専門家はほぼすべて参加していることを示しました。その人たちは膨大な論文やデータを見て数値を決めているわけで、その中から「自分に都合のよいデータだけを選ぶ」などという非科学的なことはしませんし、そんなことをしても専門家は「1年100ミリ以下の低線量被曝ではデータがばらついている」ということを知っていますから恥ずかしくて言えません。もちろん、広島、長崎の方のデータは主力データですから含まれています。その上での1年1ミリです。
私が1年1ミリの科学的根拠を示さないのは、それが膨大なデータからなっていること、相反するデータが多いので、どれをとるかによって1年1ミリが安全にも危険にもなることを知っているからです。このような時、自分に有利になるようにデータをとることは専門家には容易ですが、同時にやってはいけないことです。
まして、自らは一部のデータを紹介し、正面から法律の値を示していることに批判しても正しい理解を深めることはできません。特に、今回の場合のように現に子供たちが被曝している最中なので、ネットとはいえ慎重にして欲しいと思います。ご意見の違いは良いのですが、くれぐれも子供たちが被曝している最中であること、その子供たちを具体的になかなか救うことができないことを考えて建設的な意見を希望します。
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