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危ない再稼働/原発銀座の福井・若狭/“活断層の巣”に立地の異常
「しんぶん赤旗」 2011.10.10 日刊紙 16面
事故発生から7カ月たった今も収束の見通しがつかない福島第1原発の現状は、原発がもつ本質的な危険性を浮き彫りにしています。しかし政府や電力会社は、過酷事故への備えがなかったことや地震・津波を過小評価してきたことへの根本的な反省をぬきに、停止中の全国の原発を小手先の対策を施しただけで再稼働する準備を進めています。各地の原発の状況と問題点をみてみました。1回目は“原発銀座”と呼ばれる福井県です。 (随時掲載)
4基が営業運転中
福井県の若狭湾には関西電力と日本原子力発電(日本原電)の商業原発が計13基あります。事故で停止中の高速増殖炉「もんじゅ」(日本原子力研究開発機構)や廃止措置が進む新型転換炉「ふげん」(同)を含めると15基の原発がある全国最大の集中立地点で“原発銀座”とも呼ばれています。
現在、商業原発13基のうち関電の4基が営業運転中で、他は定期検査(定検)のため原子炉停止中です。(下表)
定検中の9基のうち関電の7基は定検終了時期が未定ですが、そのうち5基でストレステスト(耐性試験)の1次評価の準備を併行的に進め、再稼働を急いでいます。ただ、関電が提出した緊急安全対策の報告書が今月4日、「信頼性に対する疑念を持たざるを得ない」と経済産業省原子力安全・保安院に指摘され、改めて徹底調査を求められています。一方、日本原電の2墓は、1号機が来年3月、2号機が今年12月の営業運転開始を予定しています。
大都市圏が近くに
若狭湾の原発群の100`圏内には、京都や大阪などの大都市も含まれています(図)。ひとたび重大事故が起これば被害が甚大になることは明らかです。
福島第1原発事故では、約300`b離れた神奈川県の茶や200`b以上離れた千葉県や群馬県の野菜が出荷制限になったほか、牛肉の出荷制限が岩手県全域にまで及びました。また200`b以上離れた東京の水道水から乳児の飲用基準を超える放射能が検出されるなど、被害は広範囲に及んでいます。
「近畿の水がめ」と呼ばれる琵琶湖から直近の美浜原発まで約30`bしかありません。放射性物質が放出されれば、さらに深刻な汚染が心配されます。
津波の文献を無視
福島原発事故は、地震・津波によって、原発1基にとどまらず、同時多発的に過酷事故が発生しうることを浮き彫りにしました。
若狭湾の原発群は、“活断層の巣”に立地しています(上図)。なかでも敦賀原発、美浜原発などは、マグニチュード(M)7級の大地震を起こす可能性がある活断層から1`b以内の至近距離に立地し、世界的にも異常です。
津波については、戦国時代の天正大地震(1586年)のさいに若狭湾で津波による被害があったことが歴史文献に記載されているのに、関電はこれまで無視してきました。この問題では、日本共産党が繰り返し調査を要求するなかで、9月になってようやく関電は日本原電などと共同で約1年かけて調査をすると発表。現在の津波高さの想定が過小評価だという結果が、1年後に出る可能性は多分にあります。
老朽化による危険
若狭湾の原発群の特徴は、老朽原発が多いことです。13基のうち8基が運転開始から30年を超え、そのうち敦賀1号機と美浜1号機は運転開始から40年を超えています。
敦賀1号機は日本初の商業用軽水炉で、福島第1原発と同じ沸騰水型(BWR)というタイプ。水素爆発が最初に起きた福島第1原発1号機より古い世代の原子炉です。格納容器はマークT型で地震に弱いという設計上の欠陥が指摘されています。福島原発事故でその操作性が問題になった、格納容器内の蒸気を外部に逃し圧力を下げる「ベント」の設備のないことが今年になって明らかになりました。
他の12基はすべて加圧水型(PWR)の原子炉。1979年に過酷事故を起こした米スリーマイル島原発と同タイプです。PWRには、原子炉水(1次冷却水)から2次系の水に熱を渡す「蒸気発生器」という装置があります。直径約2abの細管が多数あり、この中を高温高圧の原子炉水が流れるため細管の破損から重大事故に至る可能性があり、PWRの「アキレス腱」と言われています。とくに古い型のPWRでは細管破損が頻発し、格納容器に穴をあけて蒸気発生器を交換するという非常手段で延命が図られています。
91年には美浜2号機で細管1本が完全に破断して冷却材喪失事故が発生。緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動し、炉心損傷の一歩手前の事態でした。
機器は運転中、高温高件の過酷な状況にさらされます。振動や温度変化による金属の疲労、冷却水や蒸気による腐食や配管減肉が発生します。美浜3号機では04年、死傷者11人を出す蒸気噴出事故が起こりました。老朽化による配管の減肉を放置したのが原因です。
また、原子炉圧力容器は、中性子線を照射されて、もろくなります(照射脆化)。敦賀1号機や福島第1原発などで相次いだ炉心隔壁の損傷も、中性子線が原因の一つとなった可能性が指摘されています。老朽化が進むと、ECCSが作動して冷却水が注入されたときなどの衝撃で圧力容器が割れる危険性が高まります。美浜1、2号機、大飯2号機、高浜1号機など、老朽化し酷使されている原発ほど危険水準に近づいています。(中村秀生)
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