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引き裂かれる福島 長引く避難、なお続く厳しい生活
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朝日新聞デジタル:2011年10月09日朝刊 特集面 Nuclear F.C : 原発のウソ
生計のめどが立たず、仕事への復帰も進んでいない――。
朝日新聞社と福島大学・今井照研究室が実施した原発事故の避難住民への第2回調査で浮かび上がったのは、長引く避難生活で今も厳しい生活を強いられている現状だ。
■「生活のめど立たない」62%
「仕事に復帰見通しない」4割
「今後の生計のめどは立っているか」の問いに62%が「立っていない」と答えた。また、家計を支える人が震災前の仕事に復帰できる見通しがあるかを尋ねると「ない」が42%。「ある」(7%)、「すでに復帰している」(27%)をあわせたよりも多く、先行きの厳しさがうかがえる。「別の仕事に就いた(就ける見通しだ)」という人も7%いた。
「この年になれば職探しも大変。仕事があってもここから遠いところばかりだ」。山内義則さん(61)は手元の求人チラシに目を落とし、言葉をのみ込んだ。自宅は福島県楢葉町の警戒区域内。いわき市内の借り上げアパートに妻(55)と暮らす。
長年勤めた富岡町のごみのリサイクル会社は退職した。会社から「操業の見通しが立たない」と言われたためだ。妻がいわき市の清掃会社で働くことになり、会津美里町の仮設住宅から通勤を考えて7月に引っ越した。夕食を作り、妻の帰りを待つ日々が続く。
避難した新潟県から8月に相馬市の借り上げ住宅に移った平隆男さん(72)は農業を再開するか、迷う。南相馬市の故郷は旧緊急時避難準備区域内だが、「放射能による風評被害で作物が売れるとは思えない」。年金が生計の頼りだ。
楢葉町から避難し、8月下旬からいわき市内の仮設住宅に暮らす生花農家、佐藤正光さん(70)は「花は地元の直売所で売っていた。自分たちだけで地元に帰っても、買ってくれる人がいなければ元のような生活はできない」と語る。
家計を支える人が震災前の仕事に復帰した人の中でも、「生計のめどが立っていない」という人が3割あまりいる。千葉県内に避難する無職女性(38)もその一人だ。
夫(38)が働いていた地元・浪江町の部品製造会社が千葉で再開し、8月下旬、二本松市の仮設住宅から移った。夫の給料は下がる見込みだ。家賃の支払いに加え、震災で家業をやめた仮設住宅に残る両親への仕送りも迫られる。「生活していけるか、不安」。小5の一人娘(11)のそばで涙をこぼすときがある。
「いまの生活で困っていること」を複数回答で尋ねると「生活費」「仕事」と答えた人がそれぞれ4割を超えた。これからの生活の不安でも55%の人が「収入」を挙げた。
先行きの不安から賠償の行方を気に掛ける人は多い。だが、国や東京電力の賠償に関する取り組みを評価しないとした人は、「あまり」40%、「まったく」42%で計82%に上った。手続きの煩雑さなどを理由に挙げる人が目立つ。
■戻る条件「除染を重視」87%
放射能に不安 「個人では無理」
原発事故による放射性物質の影響について4択で聞いたところ、「大いに不安を感じている」と答えた人が59%に上った。「ある程度不安」は26%。「不安を感じていない」人は、「あまり」「全く」をあわせても14%と少ない。特に18歳以下の子どもがいる人では、「大いに不安」が69%と多い。
4月に自宅に戻った南相馬市の建築塗装会社社長、菅野知洋さん(34)は、長女(2)の内部被曝(ひばく)が気がかりだった。9月上旬、自費で東京都の医療機関で検査を受けた。付き添った妻(29)から「大丈夫だった」とメールが届き、安心した。「それでも、やはり将来が心配」と話す。
では、「暮らしていた地域に戻る条件」で重視することは何か。選択肢から二つまで選んでもらった。回答者の87%は「除染による放射線量の低下」を挙げ、最も多かった。次いで「上下水道・電気などの復旧」(35%)、「買い物や通院に不便がなくなること」(18%)が挙がった。
だが、除染に対して、調査では難しさを指摘する声や、具体的な工程を示せずにいる国への批判が目立った。
田村市都路地区から市内の仮設住宅に避難している農業渡辺安重さん(58)は「農地はどうするのか。とても個人では無理だ。広大な山も、水源もきれいにしないと意味がない」。
除染のため、9月に行政区で通学路の草刈りをした南相馬市原町区の行政区長大内清明さん(68)。「まだまだ足りない。地域を守るために最後は国でも県でもなく、住民が頑張るしかない。被害者自らがやらなくてはならないということだ」と覚悟している。
一方で、専門的な知識が必要な除染を、一部とはいえ住民に委ねることに批判的な声も。警戒区域の双葉町の建築会社社長(60)は「国策でやってきた原発。国がしっかり責任を持ってやってほしい」と注文する。
9月末、緊急時避難準備区域が解除された。
広野町から新潟市に避難している40代の女性は「半減期にもならない放射性物質があるうちに、住民を戻らせるなんて、国は私たちの命をどう思っているのか」と憤る。
川内村から郡山市の仮設住宅に避難している会社員秋元修一さん(45)は「確立された除染方法がなく安全が確保されていないのに、先に『帰れ』という方針を打ち出すのは早すぎる」と懐疑的だ。
■中間貯蔵施設「賛成」52%
県外受け入れ先ないなら
放射能に汚染されたがれきや土壌の中間貯蔵施設。福島県内への設置に、52%の人が「賛成」と答えた。「反対」は42%だった。ただ、「賛成」と答えた人でも、その思いを聞くと、やむをえないという気持ちがにじんだ。
「県外はどこも受け入れないでしょう。仕方がない」と会津美里町の仮設住宅に住む主婦(60)。風評被害に心を痛め、「県外に運んで、福島がいやがられるのはたくさん」(25歳の団体職員女性)という声もあった。
復興のために早期決着を求める意見も目立った。双葉町出身の養鶏会社員(37)は「がれきを片付けないと何も進まない。問題が先送りになり、復興が置いてけぼりになるのが一番良くない」。
反対の人では、「施設ができたら、故郷に戻れないと言われたようなもの」などの声があった。「中間貯蔵」という言葉への不信感も強く、なし崩し的に最終処分地になることへの不安を挙げる人もいた。
■原発利用「反対」78%
長引く避難 増す嫌悪感
原子力発電の利用について「反対」は78%で、前回調査の70%より増える一方、「賛成」は26%から19%に減った。長引く避難生活が原発への嫌悪感を強めているとみられる。
今回調査に答えた287人中、前回「賛成」だった人は70人いたが、その半数近い31人は今回、「反対」に転じた。川俣町の農業男性(74)は「広範囲に被害が出た。原発は恐ろしい」。千葉県に避難した男性(60)も「事故が長引くにつれ、反対の気持ちが強くなった」。
電力確保の観点から「原発はしょうがないと思っていた」といういわき市の仮設住宅で暮らす無職女性(44)も「自然エネルギーで十分まかなえるというニュースを見た。国がもっと支援すれば、原発に頼らなくて済む」と考えが変わったという。
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