26. 2011年10月08日 22:16:27: u3E6Ef3e1Q
>>15 さまはいはい、これでしょう?英文70ページ、とりあえず読んでみた・・・ http://www.icrp.org/docs/P111(Special%20Free%20Release).pdf ・・・というのはウソで日本語訳を見つけました。 (team nakagawaのブログによれば、東大の中川恵一教授が「日本アイソトープ協会」というところに翻訳を依頼したそうです。以下、同ブログから引用) ---------------------------------------------------------------------------- >>2011年 04月 26日 >国際放射線防護委員レポート111号(ICRP111) >>2008年にまとめられた「国際放射線防護委員会」レポート111号「原子力事故もしくは緊急放射線被ばく後の長期汚染地域住民の防護に関する委員勧告」が、2011年4月4日付けで特別無償配布されています。 >このレポートは、適応される状況が異なる「緊急時被ばく状況における放射線防護に関する委員勧告の適用」(ICRP 109)とともにまとめられました。現在、そして今後の福島第一原発事故による放射線被ばくと、どう向き合うかを考える上で大変参考となるレポートです。 >そのため、私たちteam_nakagawaは、なるべく多くの方に、この「ICRP 111」を読んでもらいたいと考え、独自に日本語訳を進める一方、ICRPから翻訳・出版権を取得された日本アイソトープ協会に、日本語訳(暫定版)の公開をお願いしてきました。4月20日、暫定翻訳版が公開されました。 http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html ------------------------------------------------------------------------------- (引用終わり) ICRP Publication 111 「原子力事故又は放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用 2008年10月に委員会より承認」 http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html 上記の「翻訳・出版権」とかが、あるせいでしょうか?コピーロックがかかっているらしく、コピペはできませんが、これを読むと、現在日本で「汚染地域の除染や復興」が盛んに言われている理由がよくわかります。つまり、医学的、生物学的な危険回避を最優先にして、汚染地域の住民をすべて避難させれば、社会的に膨大なコストがかかります。また、住民自身にとっても、それまでの生活を捨てて、新しい土地へ移住することは(放射線による健康被害以外の点では)しばしば大きなリスクを負うことにもなり、必ずしもそれを望むとは限らない。だったら、出来るだけ元の地域に住民を留め、放射性物質から防護させつつも、安定した経済活動を存続させて行くにはどうするか、という、かなり政治的な判断を含んだ対策について書かれているようです。 これをどう評価するかは、人それぞれの立場や考え方によると思うので、私としてはこの場で何か言うつもりはありませんが、少なくとも「現在の国や行政も、おそらく、この路線に従っているらしい」ということはわかりますので、興味を持たれた方は、ご一読をお勧めします。 和訳にはページ番号がありませんが、pdfのファイル番号25に、投稿で紹介されたレポートの中の以下の図と同じものがありました。 http://s3.amazonaws.com/data.tumblr.com/tumblr_ls61492eso1ql506do1_r1_1280.png?AWSAccessKeyId=AKIAJ6IHWSU3BX3X7X3Q&Expires=1318160564&Signature=x5Kr4nK8590ux%2F6MO1J6w%2BTIVbM%3D でも結局、あのレポートの基本的な元ネタはこちら↓のようですね。 「チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域における非ガン性疾患」 Y・バンダシェフスキー教授 http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html (幸い、こちらも日本語訳です。以下、上記サイトの紹介文より引用) -------------------------------------------------------------- バンダシェフスキー教授は豊富な実験データを提示し、「セシウム137が人体に与える影響の特徴は、生命維持に重要な臓器や臓器系統の細胞内の代謝プロセスの抑制だとみられる」とまとめています。さらには「セシウム137により人間や動物の体内に引き起こされる病理的変異をすべてまとめて“長寿命放射性物質包有症候群”(SLIR)と名付けることもできそうである。」といい、その症候群は心臓血管系、神経系、内分泌系、免疫系、生殖系、消化器系、尿排泄系、肝臓系における組織的・機能的変異によって規定される代謝障害という形で表れると書きます。SLIRを誘発する放射性セシウムの量は年齢、性別、その臓器の機能的状態により異なることを明記したうえで、「子どもの臓器と臓器系統では、50Bq/kg以上の取りこみによって相当の病的変化が起きている。しかし、10Bq/kg程度の蓄積でも様々な身体系統、特に心筋における代謝異常が起きることが報告されている。」という指摘を行っています。 --------------------------------------------------------------------- (引用終わり) バンダシェフスキー教授はたしか、バスビー教授が「同僚」だと言っていた人ですが、小出裕章氏の同僚(同志)の今中哲二氏も、かつて、この人について触れています。 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/etc/RFERL/Banda-j.htm ICRPは、基本的に「原発の平和利用」を謳うIAEA(国際原子力機関)傘下の組織で、つまりは原発推進派であり、低レベル放射線被ばくによる障害に否定的であったことから、これまで、原発反対派からは何かと非難されてきた団体です。だから、上記文書の中から引用されたグラフも「それだから直ちに危険」という意味で掲載されていたのではなかったのだと思いますが、こちらの投稿で紹介されているレポートの作成者である獣医学生さんは、バンダシェフスキー教授の説に基づき、たまたまICRP文書の中のあのグラフを発見して、10Bq/kgレベルの汚染食品を食べることの危険性に気づかれたようです。(それ自体は「鋭い」と思うけど、原典を確かめたいので、この程度のことは書いといてほしかった。) 結局、最終的には、「バンダシェフスキー教授のレポートをどう受け止めるか」ということになると思います。 |