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20110703 大江健三郎 大石又七 核をめぐる対話 1
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20110703 大江健三郎 大石又七 核をめぐる対話 2
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矛盾 ビキニ事件、平和運動の原点/大石又七著
評者 小森陽一 東京大学教授
「しんぶん赤旗」 2011.10.02 日刊紙 7面 「読書」欄
「原子核を探し出し」「核爆弾」をつくり、「底知れぬ恐怖におびえ」るようになった人類は、次に「核の平和利用と謳って」「原子力発電」を「全面に出した」が、「その原発が今、牙をむいている」(「おわりに」)。
本書は、こうした「3・11」後の現状認識をふまえて、人類の歴史全体の中で「ビキニ被曝体験」をとらえ直そうとしている。そして長い歴史的射程の中で、世界と日本の近代以後の戦争の歴史に、「ビキニ事件」をあらためて位置づけ直そうともしている。
なぜなら「第五福竜丸」事件をめぐる真相が、著者への取材をもとにNHKの番組として制作される過程で、事実のねじまげや押し隠しが、元漁労長までをも巻き込んで行われたからである。
これまでの歴史は、戦争の勝者として、権力を掌握した者らが自己正当化のために書いてきた。そうした歴史を、偏見と差別と抑圧のもとにおかれつづけた、「ビキニ被曝体験」者の側から書きかえる実践によって、「見えない裏側の中に」ある「本質や真実」を明らかにすること。
著者は、この実践こそが、「戦いで死んでいった世界中の霊に報い」、同時に「未来の子どもたちに命を繋」ぐことだと読者に呼びかけている。
著者の戦後史認識は、「アメリカの核抑止力の有効性への理由のない信頼」と、「原子力発電所の安全性への理由のない確信」とが「つながって」いるとした、大江健三郎氏のル・モンド紙での発言と共鳴し合っている。
本書末尾のビキニ事件関連年表の最終項目は、第五福竜丸展示館で行われた大江氏との「核をめぐる対話」(ETV特集、2011・7・3)であり、そのときの写真が本書のとびらに掲げられている。
核兵器と原発を同時に無くすことが、九条の思想なのだ。
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大石又七著『矛盾』 ビキニ事件、平和運動の原点
283p / 19cm / B6判 ISBN: 9784943898986
武蔵野書房 税込1890円
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【関連サイト】
第五福竜丸乗組員の大石又七さんが新著『矛盾』を発刊しました(原水協通信)
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