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特別対談 河野太郎(自民党前幹事長代理)×山本太郎(俳優) 「原発に買われた政界と芸能界」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/21259
2011年09月30日(金) フライデー :現代ビジネス
3・11以降、原子力行政と東京電力のウソを告発し、干された政治家と俳優が初めて顔を合わせ、フクシマの罪と罰、日本の未来について語り尽くした
山本 恥ずかしながら、僕は原発問題について3・11デビュー≠ネのですが、フクシマの事故以降、河野さんのことは気になっていました。ずっと原発推進でやってきた自民党の中で、一貫して「脱原発」を訴えていたのは河野さんぐらいですよね。
河野 山本さんは、本来は政治家がやらなければならないこと、訴えなければいけないことを職をなげうってまでしている。東電批判は長らく政界でもタブーとされてきましたが、東電が巨大スポンサーとして君臨する芸能界でも、アンタッチャブルな存在とされてきましたよね。
あの時、民主党政権にできることは少ないと強い危機感を覚えたからこそ、自分が声を上げるしかなかったんです。事務所に迷惑を掛けたくないから、5月に事務所を辞めましたが、案の定、その後は仕事を干されて、収入は10分の1に減りました。フリーになると、やっぱり買い叩かれてしまいますね。東電にその分の損害を請求しようかな(笑)。
河野 それは所得補償の対象になるかも知れませんね(笑)。
自民党前幹事長代理の河野太郎氏(48)と俳優の山本太郎氏(36)には、名前以外にも共通点がある。政界と芸能界という原発とズブズブの環境にありながら、損得感情を超えて脱原発を訴えていることだ。同じ志を持つ「二人の太郎」が、脱原発への道を模索すべく、初めて対談のテーブルに着いた。
山本 僕は3・11が起きる前から、何となく原発の安全性には不安を持っていましたが、それを正視することを避けていたような気がします。だからフクシマの事故が起きた時、自分にもあの事故を起こした責任があると感じ、口を噤んだまま生きることができなかったんです。ツイッターに「テロ国家日本の片棒担げぬ」「反対。って言うと、芸能界で仕事干されるんです、御存知でした? でも言ってやります、反対!」と初めて書き込んだ時、解放感から涙が出ました。
河野 やはり、芸能界への電力会社からの圧力は相当なものですか?
山本 はい。実際僕も今、事実上干されていますし。同業の俳優や女優さんから、「応援しているよ!」と励ましの電話をもらうことも多いんですが、決まって「自分にはできないけど」と付け加えられます(笑)。特に東京の放送局が一番閉鎖的だと感じますね。例えば東京の某テレビ局からフクシマのことについてインタビューを受けて喋ったのですが、最終的に上層部の検閲≠ナ違うモノに変えられていたことがある。関西のほうが自由にモノを言える雰囲気がありますね。
河野 私は先日テレビ局の人に、『当分の間、キー局が東電から広告をもらえることはないだろう。でも、地方のテレビ局のローカルニュースは電力会社から広告料をもらっているので、電力会社批判には手心が加えられている』という話を聞きました。青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場の反対運動について、坂本龍一さんや元『LUNA SEA』のSUGIZOさんとお話しした時も圧力があったと聞いたことがあります。
山本 電力会社から直接的に力が加わることもあるだろうし、マスコミが自主規制することもあるだろうと思います。「いつかは仕事をお願いしたいけれど、今はちょっと・・・・・・」と言われたこともあります。そしておカネで去勢された新聞やテレビが、政府や東電の情報隠しに一役買っている・・・・・・言葉は悪いが、国賊ですよね。河野さんにズバリ聞きたいのは、放射性物質の拡散地域を予測する『SPEEDI』の情報開示が遅れたり、放射線の健康リスクに対して「直ちに健康に影響はない」などと発表してきた政府の失策は、民主党ゆえのものだったのか? それとも自民党でも同じような間違いを犯したのか? という点です。
■「原発のげ≠フ字も出すな」
河野 仮に自民党が与党でフクシマ対策に取りかかっていても、やはり同様の間違いを犯していたでしょう。今の民主党と自民党は五十歩百歩だからです。でも今回の民主党の過ちの原因は、官僚を疎外して何でも「政治主導」で決めたことにあります。
'95年の阪神・淡路大震災以降、官僚は地震への対応策を考えていたのに、菅内閣は官僚を毛嫌いする余り、彼らの知恵を借りなかった。政権を取って間もない民主党にそんな非常事態に対応できる能力や知識があるわけもなく、結果として対応が遅れ、情報の公開も後手後手に回りました。そこは「民主党ゆえの失策」といっていいでしょう。しかし、原子力政策に関しては自民党も民主党と同じスタンスを取っていました。
山本 原発推進ですね。というか、元を糾せば、自民党の政策を民主党が引き継いだ格好ですが。
河野 その通り。自民党は電力会社から政治献金をもらっていたという理由で、民主党は電力会社の労働組合の票が欲しいという理由で、それぞれ原子力にすり寄りました。だから仮に自民党政権で3・11が起きたとしても、原発事故の重大性を隠蔽するという、民主党と同様の事態を引き起こした可能性は否定できません。実際、私は2年前に自民党の総裁選に出た時、推薦人になってくれたある人から、「応援はするが、その代わり選挙期間中は原発のげ≠フ字も出すな」と言われました。
山本 政界も芸能界と同じで、原発に構造的に買収されていたんですね・・・・・・。ところで僕は今、福島の子供たち、特に避難指定地域には入っていないけれども、放射能に高濃度に汚染されている地域に住む子供たちを、北海道に避難させようという活動を行っています。政府は福島第一原発から20km圏内を主な避難地域にしていますが、低線量被曝の健康リスクをまったく考えていません。確かに低線量被曝では、健康被害の因果関係を証明することが難しい。
しかし、チェルノブイリの事故以降、ベラルーシでは15%しか健康な赤ちゃんが生まれてこないというデータもあるそうです。この先、どんな悲劇が日本を待ち受けているのか分からない---。だからこそ、予防原則に則って、子供たちだけでも移動させるというのは、最低限必要なことだと訴えてきました。
河野 文部科学省が子供の学校の屋外活動を制限する被曝線量を、「年間20ミリシーベルト」と1ミリシーベルトから20倍も引き上げたのは、そうしないと疎開≠ェ必要になるからです。今思えば、あの一件が国民の政治不信の決定的な始まりだった気がします。しかし、疎開が必要なら疎開させればいいんですよね。山本さんが仰るとおり、「危ないならまず出せよ」、と。そして原子力ムラに汚染されていない、海外の専門家を交えて議論を尽くした上で、どこまでが安全かという基準値を作るべきでした。
山本 僕は、今すぐにでも福島の子供たちを避難させなければいけないと思っています。でも、北海道に避難させるのは凄くハードルが高いんです。自主避難ということになると実費でおカネが掛かるし、特に母子家庭の人にはかなり負担が掛かります。民主党には自主避難する人たちを金銭的にバックアップするシステムを作ってほしいと思いますが、今の政府に望むのはムリでしょう。
ところで、河野さんはずっと前から、原発から再生可能エネルギーへのシフトを訴えてきましたよね。地震の活動期に入っても稼働している原発があること自体、クレージーですが、やっぱり一斉停止は難しいんですか?
河野 結論から言うと、おそらく原発を全基止めても、皆さんにこれだけ節電に協力していただいているので、電力不足でパニックになることはないと思います。こう言うと原発推進派は、「じゃあ火力で何か事故が起きた時にどうするのか」と反論しますが、例えば東京都は『コンバインドサイクル』という100万キロワットの天然ガスの発電所を作ると宣言しているし、全国でも原発に代わるエネルギーへのシフトは進んでいるんです。
しかし、化石燃料ほどではないにしても天然ガスも二酸化炭素を出すので、「京都議定書」を遵守するためには、それ以外で二酸化炭素の削減をかなりやらなければならない。また、そのためのコストも嵩んできます。しかし、「それでも脱原発に舵を切るんだ」という国民のコンセンサスが得られれば、原発を即時停止するという選択肢にも、十分に実現可能性があると思います。
■国民投票で決めるべきなのか
山本 そのために日本でも国民投票を導入して、脱原発にイエスかノーかを問うことができないのでしょうか? イタリアでは、フクシマの原発事故以降、原発政策で国民投票を行い、それを即政策に結びつけています。
河野 それは安直すぎるように感じます。国民投票を持ち出すと、例えばなぜ年金は国民投票をしないのかなどという話になってきて、争点をズラされてしまいかねません。
山本 ただ、年金の問題と違って、原発は国民の命に関わることだと思っています。そのような国家の存続に関わるような重大な問題には、国民投票をするというのも手ではないのでしょうか? 正直、国民投票で何かを国民に決められてしまうのは、国会議員にとっては面白くない感じですか?
河野 面白くないなんてことはなくて、もし国民投票がすぐにできるのなら、やったほうがいいと思うんですね。しかし、法律を作るためには、非常に長い時間がかかるし、またぞろ電力会社とつるんだ抵抗勢力が湧いてもくる。だから結局は、有権者が地元の国会議員に直に会いに行って、「お前はエネルギー政策をどう考えているんだ」「脱原発に政策転換をしろ」と訴えたほうがいい。「私は脱原発だ」と議員が答えたのなら、「選挙でもブレるなよ」とプレッシャーを掛けられます。
少なくとも2年経てば確実に総選挙があり、選挙自体が国民投票なのですから、それを利用して国会議員を監視することです。これが民主主義の王道であり、今まさにこの国に求められていることだと私は確信しています。日本人は今まで面倒臭いからという理由で政治に関わってこなかった。有権者には今まさに、そのツケが回ってきているということを自覚して欲しいんですよ。
---山本さんは政界転身も噂されています。山本さんの政治家としての素質を、河野さんはどう思いますか?
河野 ここまでハッキリした意見を持っている人は、もちろん政治家として申し分ない資質を持っていると思いますよ。
山本 最近よくそう言われますが、魑魅魍魎が跋扈する永田町に飛び込む勇気はまだありません(笑)。ただ、日本が確実に破滅へのシナリオを辿っている中で、いつかは自分も気概≠見せなければいけない時が来るのかなと思うことはあります。
河野 その時は私の秘蔵っ子として、協力を惜しみませんよ(笑)。
河野太郎/1963年生まれ。衆議院議員(5期)、自民党前幹事長代理。父は元衆議院議長の河野洋平。「自由民主党エネルギー政策議員連盟」共同代表
山本太郎/1974年生まれ。俳優。『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』のダンス甲子園出場を機にデビュー。'11年5月に所属事務所を辞めてフリーに
「フライデー」2011年10月7日号より
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