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「放射能汚染食品」はいつの間にここまで増えたのか?買い控えから自己防衛へと移り始めた“食卓の常識”
http://diamond.jp/articles/-/14123
2011年9月23日 News&Analysis 友清 哲 :ダイヤモンド・オンライン
福島原発事故に端を発する食品の放射能汚染は、国民の食卓に暗い陰を落とし続けている。漏出した放射線の総量は、「ウラン換算で広島原爆の20個分」とまで言われ、行政の検査で規定値以上の放射性物質が検出される食品は、日を追うごとに増えている状況だ。そんななか、企業や消費者の関心は、「汚染された食品が何か」よりも、「汚染された食品を流通させないためにはどうすべきか」「放射性物質を除去するにはどうしたらいいか」という自己防衛へと変化しつつある。酷暑の時期を過ぎ、馬肥ゆる秋を迎える日本の食卓に求められる「新たな常識」について考えよう。(取材・文/友清哲、協力/プレスラボ)
■食品の放射能汚染は今や世界の関心事 海外で事態の深刻さに気づく日本人
「最近、某国へ遊びに行った際、現地空港の検査場で日本人だけ個別にチェックを受けました。キャリーバッグの中身まで丹念に調べられて……後からそれが放射線チェックだったと気付いて、自国の危機的な状況を改めて実感させられました」
そう語るのは、都内在住の20代学生だ。実際、日本からの乗客・貨物を対象とした放射能検査を実施している海外の空港は少なくない。
日本から来る全ての便の乗客を対象とする空港、成田発の便だけに限定している空港など、対応は様々のようだが、巷の声を拾っていると、そうした扱いを受けることにショックを受けるツーリストは意外に多い。
東日本大震災が引き起こした福島原発事故と、それに伴う放射能汚染問題は、今なお世界の関心事であることを、改めて実感させられる。
報道を追っていても、放射能汚染問題に関連するニュースは後を絶たず、国民の不安は募る一方だ。
9月中旬に愛知県某所で開催された花火大会では、「放射能を拡散させる」との風評が広がることを懸念し、福島産花火のみ打ち上げを中止されていたことが判明。これは大きな議論を呼び、問題の根深さを感じる出来事となった。
放射能という目に見えない恐怖は、お茶の間も直撃している。とりわけ一般人が大きな不安を抱くのが、体に直接摂り込む「食品」だ。「半減期が何百年」などという放射性物質が付着した食品を、万一食べてしまったら……。消費者の間には、そんな不安が蔓延しているのだ。
そのため、政府が定めた暫定規制値を上回る放射性物質を含む食材が、相次いで出荷停止となっていることは周知の通りだ。7月には、放射性セシウムに汚染された牛肉が市場に出回っていたことがわかり、一時期騒動が落ち着いていた感のある「食の安全」への議論に、再び火がつく事態となった。
「高齢者世帯との明らかな温度差を感じますが、幼い子どもを抱える家庭としては、もはや何を信用していいのかわからない状況」と憤るのは、0歳児と2歳児を育てる30代夫婦。こうした声が圧倒的多数に上ることは、想像に難くない。
■野菜、魚介類から乳製品、肉類まで 汚染はいつの間にここまで拡大したか?
すでに新米の放射性セシウム検査は全国で着手されているが、今行政や食品業界にとっては、いかにしてこうした食卓の不安を排除するかが、至上命題にして急務となっている。
実際、原発事故の発生からこれまでの間に基準値を超える放射性物質が検出された食品は、どれほどの数に上るのだろうか。報道されたものをざっと列挙して見ると、野菜類、魚介類、肉類、乳製品などが中心となっているようだ。
これらはいずれも、原発から近距離にある自治体で生産されたものだが、検出例がごく一部しかないものも含めると、想像以上の広範囲に及んでいる。「毎日ニュースを注意深く見ていた」という人でも、改めてその数の多さに驚くのではなかろうか。
まず野菜類では、サツマイモ、トマト、ニラ、ホウレンソウ、シイタケ、ブロッコリー、キャベツ、トウモロコシ、ナメコなど、頻繁に我々の食卓に上るものに加え、ミョウガ、春菊、シノブフユナ、パセリ、小松菜、山頭菜、かき菜、クチタチナ、アブラナ、紅菜苔など、聞き慣れない野菜からも検出されている。小麦、イチジク、リンゴ、ブドウ、ナシなど、穀物や果実類も例外ではない。
魚介類でも、原発事故からほどなくして大きなニュースとなったコウナゴをはじめ、アユ、アナゴ、アイナメ、ワカサギ、カレイ、シジミ、アサリ、ウバガイ、アカガイなど、幅広い品目が汚染リストに並ぶ。
さらには、牛肉、乳飲料、ヨーグルト、茶葉など、最近の報道からピックアップできる食品は、まさに「ボーダーレス」の様相を呈している。
放射性物質の拡散に法則性はない。風や雨などの天候次第で、どの地域にも飛散する可能性があるため、食品の種類や産地によってリスクの高低を図ることなど、できるものではない。そのため、今後も汚染食品は増え続ける可能性が高く、消費者が単なる「買い控え」だけでリスクを避けられない段階へと入りつつある。
■もはや単なる「買い控え」では対処できない 「自己防衛」へと移りつつある企業と消費者
そんななか、企業や消費者の関心は、「どんな種類やどんな地域の食品が汚染されているか」ということよりも、「汚染された食品を流通させないためにはどうすべきか」「汚染された食品から放射施物質を除去するにはどうしたらいいか」ということに、移りつつある。
そうした世相を反映してか、財団法人・原子力環境整備センターが過去に発表した、「食品の調理・加工による放射性核種の除去率」がにわかに注目を集めている。
そのデータによれば、ナスやキュウリは水洗いすることでストロンチウムを50〜60%減らすことができ、ホウレンソウはおひたしにすること(煮沸してあく抜きをする状態)で、セシウムが最大80%も除去できることが確認されている。
また、新潟県南魚沼市でマイタケやエリンギ、もやしといった食品の生産販売を行なう株式会社雪国まいたけでは、放射性物質の自主検査結果を消費者が携帯電話でチェックできるシステムをいち早く導入している。
同社の取り組みは本格的で、キノコ類やカット野菜など、取り扱う全ての生鮮食品で自主検査を実施。国の暫定規制値を出荷の目安とし、場合によっては規制値以下でも数値を公表しているという。
消費者は、店頭で製品パッケージに記載されたQRコードを携帯電話で読み込み、専用サイトに接続し、製造番号を入力すれば、結果を確認できる。
「同社は08年に農薬と重金属の検査結果を確認できる仕組みを導入。放射性物質については4月から検査していたが、より精度が高い検査器を採用したのを機に、今回の確認システムに切り替えた」(2011年9月12日付け・毎日新聞より)
雪国まいたけの例のように、今後は汚染が確認されていない食品であっても、自主検査をしていくくらいの配慮が、食品メーカーには求められてくるかもしれない。
世間では、流通する食品に対して疑心暗鬼になっている人が多く、「報道されているもの以外にも、『実はあの食品が危ないらしい』と、本当か嘘か判断がつかない噂が飛び交っています」(40代女性)という証言もある。
■報道が減っても国民の不安は消えない 激震が続く日本の食卓に求められる知見
震災発生から半年以上が経ち、マスコミの報道が原発事故に割かれる時間も少なくなっているように思える。しかし、ノーベル文学賞作家・大江健三郎氏らの呼びかけで開催された「脱原発デモ」に、主催者発表で約6万人が参加したことでもわかる通り、足もとの国民感情を見れば「放射能不安」が収まっていないことは自明の理だ。
こうした状況だからこそ、前述のような流言飛語を抑えるためにも、企業による速やかな情報開示や流通過程の精査が、より一層重要になっていくのだ。
汚染の深刻度がどれほど増そうとも、我々は食品を摂取しなければ生きていくことができない。来月上旬には、東京ビッグサイトにて、食品の放射能測定機器や分析検査機器を集めた食品開発展が開催されるなど、新たな市場が構築されている感すらある。
食品の放射能汚染に苦しめられる産地には、何の罪もない。ごく一部の産物から放射性物質が検出されただけで、産地全体に風評被害が広がり、地域のブランド価値が毀損されることなど、あってはならないことだ。その意味でも、消費者や企業の間に「自分たち自身の知見や努力で食卓の安全を守ろう」という風潮が広がることは、ある意味好ましいこととも言える。
いまだ余震が止まない日本列島同様、日本人の食卓はまだまだ激震に晒されている。自分の身は、自分で守っていくしかないのである。
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