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福島の人を苦しめているもの(2)・・・混乱した論理
http://news.livedoor.com/article/detail/5884250/
2011年09月23日09時48分 武田邦彦(中部大学)
福島県の知事だった佐藤さんが繰り返し、「原発は安全だから使うのではなく、原発は必要だから安全だという逆転の論理が福島原発の事故を招いた」と言っておられます。
まさにその通りで、すでに2007年には志賀原発と柏崎刈羽原発が震度6で破壊され、原発が地震に弱いことは証明されていましたし、地震指針がいい加減(予想外のことが起こったら大量の放射線がでるという前提)なことも判っていました。またやらせメールや北陸電力の臨界隠し、東京電力のデータ改ざんなどが続き、原子力の安全について大きな疑問が持たれていたことも事実です。
今でも「原発は必要なのだから、原発は安全ということにして再開すべきだ」という論理が見られます。このような論理を使うと、原発が本当に安全かどうか判らなくなり、今回のような事故が続くでしょう。また、内心では危険とおもっているので、原発を僻地に作ったり、危険手当を配ったり、さらには「安全に決まっているから、安全に関する議論は止めよう」と言うことになります(事実、そうでした)。
このような奇妙な論理が事故後でも見られます。
その1: 食べるものが無くなるから、食材の規制はセシウムだけで1年5ミリまであげる。
その2: 福島を助けるためには(生活費のためには)、他県の子供を被曝させても良い(1年5ミリまでは)。
(少し違いますが):政府や自治体、東電は強いので何を言ってもやってくれないから、力の弱い子供たちを被曝させる。
このような論理を社会を指導する人たちが口にするのに私は違和感を感じます。実際に食材の暫定基準を決めるときにも「1年1ミリの規制にすると食材が不足する」という発言がありましたし、東京の有名な病院長も同じ発言をしています。
でも、もともと日本の食糧自給率は40%ですし、ほぼ大丈夫なお米、肉類などを考え、かつ汚染地帯が福島とその周辺だけということを考えると、輸入を少し増やせば食糧不足になることは考えられません。
「福島の人の生活費」と「子供の健康」は全く違います。これはこのブログで書いた「フォードピント事件」でよくわかります。つまり、「できるだけ安全な車を作っても年間5000人の死者を出す」という状態(過失)と、「すでに欠陥が判っている車を売り出して、10名の死者を出す」(犯罪)というのとでは、10名の死者の方が社会的に許されないのです。
これを現在の被曝に当てはめますと、「人間は年をとるとガンになって死ぬ(自然の原理か個人の選択)」というのと、「子供たちが被曝することが判っているのに、それを減らそうとしない(意図的行為)」というのでは、後者は社会的に許されないのです。そして「子供たちを被曝させないように全力を尽くしたが、それでも少数のガンがでた(不可抗力)」というのは仕方が無いと認識されます。
2011年9月22日の新聞には、「東電は除染を後回しにして、補償金を先に出す」ということが書いてありましたが、また福島の人の被曝量が増えるとガッカリしました。
まさに「リコールするとお金が大変なので、死者が出ることが判っている欠陥車ピントをそのまま販売する」というのと同じ判断と行為と私には感じられます。これは社会の倫理から許されないのです。
・・・・・・・・・
東電の原発が爆発して福島の人は苦しみました。それは佐藤前知事が指摘しているように「破綻した論理」に大きな原因がありました。でも、事故後もまだ「破綻した論理」のまま進むことがあれば、福島の人はまた苦しむでしょう。福島の人やその他の汚染地域の人を守るには、
「生活の保障はお金でする」
「人の健康が阻害されるのが判っているものは実施しない」
という「質の違うものを足し合わせない」という原理原則を守ることで、それなら福島の人の健康も守り、生活も困らないと思います。福島の人の中には「被曝を覚悟して生活する」とあきらめている人もおられますが、今からでも遅くはないので、一日でも早く除染をして被曝を覚悟してはいけないのです。
是非、綺麗な福島を取り戻して貰いたいと思います。福島の地は福島の人だけのものではなく、日本の他の土地と同じく、日本人全体のこころのふるさとであり、財産なのですから。
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