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ストレステストは再稼働のアリバイづくりか(東京新聞)
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東京新聞「こちら特報部」9月21日 :日々坦々
酷暑の下、節電に力を合わせ、6万人規模の脱原発集会も成功した。それでも、政府と電力各社は着々と原発再稼働への準備を進めている。その手順で重視されているのが、ストレステスト(耐性評価)と国際原子力機関(IAEA)による再評価だ。実効性がありそうに聞こえるが、下地になるべき福島原発事故の原因すら判明していない。「アリバイづくり」という酷評も聞こえる。(小倉貞俊、上田千秋)
野田佳彦首相は二十二日、国際社会に事実上の“再稼働宣言”をする。国連本部で開かれる「原発の安全性と核の安全保障に関するハイレベル会合」で「安全でより信頼性の高い原子力エネルギーの確保は引き続き必要だ」と訴える予定だ。
全国五十四基の原発のうち、現在稼働しているのは十一基。政府は停止中の原発の再稼働に向けて、二次にわたるストレステストを実施し、その結果を原子力安全・保安院が評価、原子力安全委員会が確認するという手順を打ち出している。
最終的には地元自治体の同意が必要だが、すでに定期検査中の原発十五基が一次評価に入ったとみられ、一部は年内の再稼働を目指している。
まずストレステストとはどういうものなのか。
これは実際に原発に衝撃を加えるのではなく、コンピューター上でシミュレートする方式だ。
九日から柏崎刈羽原発(新潟県)で同テストを始めた東京電力は、地震と津波が炉心損傷をもたらすシナリオを約六十種類ずつ想定。揺れや津波に応じた耐久性、余裕度を調べるとしている。
保安院によると、一次評価は定期検査中の原発を対象に実施。二次評価はより設定条件を厳しくした上で、建設中の三基含め、再稼働を目指す全原発で実施する。
ただ、「結果いかんで稼働する、しないを判断するわけではない。あくまで住民に安全性を理解してもらうための材料」(保安院)だという。
「結果 どうにでもできる」
一方、専門家の間では効果に懐疑的な見方が広がっている。元日本原子力研究所研究員で技術評論家の桜井淳(きよし)氏は「テストは原発の危険性を測るより、安全性を示すことが前提なので、最初から結果は見えている」といぶかる。
「地震の揺れや津波の高さについて、厳しい数字を前提に調べるとは思えない。『ぎりぎり大丈夫だった』という結果を出してくるのだろう」
専門家、お手盛り批判
京都大原子炉実験所の小出裕章助教も「シミュレートするといっても、原発の構造が変わるわけではない。数値を動かすだけなら、結果はどうにでもできる。甘い設定をすれば甘い結果になるだけのこと。そもそも事故は予測できないからこそ起こるのであって、人間が予測したうえでは意味はない。『安全だ』と表明したいだけのお手盛りの検査だ」と語る。
さらに桜井氏は欧州連合(EU)が六月から始めた同テストの設定を日本でも参考にしている点に疑問を呈す。「大きな地震や津波がほぼない欧州と日本では、状況が全然違う。EUの権威に乗って、国民が納得する客観性を求めただけでは」
未解明の事故原因
今回、ストレステストなどが出てきた根幹には福島原発事故がある。これで従来の「安全神話」は吹き飛んだ。だとすれば、新たな安全性の検証も福島事故の原因に基づかねばならない。
ところが、いまも事故の原因ははっきりしていない。同社は事故原因を「想定外」の津波による電源喪失と言い張っている。しかし、津波以前に「地震による配管などの損傷が原因では」という指摘が相次いでいる。
「事故原因があいまいなまま、ストレステストをしても全く意味がない。まずは原因の究明をしてほしい」。こう語気を強めるのは原子炉格納容器の設計に携わってきた後藤政志氏だ。「電力会社はこれまでずっと地震の影響を小さく見積もってきた歴史がある。ここで真剣にやらないと、また同じことが起きる」
同氏はこの間、事故原因を追究する衆院科学技術イノベーション推進特別委員会の作業に、技術アドバイザーの一人として協力してきた。
その解明作業に不可欠な情報として、同委員会は東電に対し、過酷事故が起きた際の運転操作手順書を求めたが、東電側はほぼ黒塗りの形で提出した。このことについて、後藤氏は「『安全性を全く考えていない』と失望した。国会の求めに応じないということは、国民全体をばかにしているということ」と話し、ストレステストへの“本気度”も疑問視する。
一方、再稼働には地元知事の同意が必要だが、新潟県の泉田裕彦知事は五日の会見で「東電は福島原発事故の検証を一切せずに津波のせいにしている。配管破断はなかったのかなど、問題点を一切明らかにせずに再稼働することはあり得ない」と批判した。
同知事は十四日の会見でも、「コンピューター上で、今までの知見でプログラムを動かすことにどんな意味があるのか。
『やらないよりもやった方がいい』という以上のものではない」と冷ややかな見方を示した。
黒塗り手順書 東電の本気度「?」
一方、政府はストレステストの結果をIAEAに提出する。保安院と安全委に加え、国際機関の「お墨付き」を獲得しようという狙いだ。
ただ、IAEAは福島原発事故直後に海外メディアから「情報提供が不正確で遅い」と批判されている。加えて、原発の出発点となるアイゼンハワー米大統領の「原子力の平和利用」演説に基づいて設立されたという出自から、その中立性には疑問の声が絶えない。
桜井氏は「IAEAは米国の操る糸によって動く、いわば『原発推進機関』。原発行政の首を絞めるようなことはしないだろう。IAEAに太鼓判を押されたからといって、安全の証明にはならない」と強調する。
IAEAの「お墨付き 」も疑問
前出の小出助教も「原発事故の犯人ははっきりと言えば、国と東電。その犯人を原発推進のIAEAが評価するという構図は、犯罪者同士のなれ合い以外の何者でもない」と厳しく批判する。
ストレステストもIAEAのお墨付きも、国民を納得させるものにはなりそうもない。桜井氏は「そんなことよりも、先にやるべき事がある」と言う。それは保安院と安全委の代わりに新設が検討されている原子力安全庁を、抜本的につくり替えることだと説く。
「従来、原発推進一辺倒だったメンバーは外し、原子力ムラから距離を保てる人や原発批判派を登用すべきだ。それが実現できなければ、真の安全性確立はほど遠い」
<デスクメモ> IAEA総会で細野原発相は「冷温停止の前倒し」を宣言した。でも、燃料が原子炉の外に溶けていれば、炉は冷めるが、事故の収束は一層困難になる。野田首相は国連で「安全を最高水準に高める」と訴えるそうだ。福島事故前にも、技術は最高と聞いていた。相次ぐ甘言。その下心が透けて見える。 (牧)
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