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あるスレッドのコメント欄で、「週刊朝日」に4号機の“爆発”に関して田中三彦さんの所見が掲載されているとの情報をいただき入手したが、田中さんの記事は先週号だったようだ。
4号機建屋問題が掲載されているはずの号は別途手配したが、ご教示のおかげで、興味深い記事が掲載されているが買うことはなかったと思われる週刊誌を手にすることができたので感謝したい。
「独占スクープ!原発完全ルポ第3弾」と銘打った記事には、これまでほとんど説明されたり報じられたりすることがなかった地震が設備に与えたダメージの状況が書かれている。
少し立ち止まって考えればわかるように、福島第一の原発事故は大まかな出来事は説明されているが、なぜそうなったのか、一つの原子炉でもああいう結末にならないようにする手立てはなかったのかなど、肝心な点や細かい状況と対応についてはほとんど何も説明されていないと言えるだろう。
福島第一原発事故は、1号機から3号機がメルトダウンにとどまらずメルトスルーにまで至り、1号機から4号機までがなんらかの爆発を起こしたことで、膨大な量の放射能が広範囲にまき散らされたというのが概括的説明になるのだろう。
IAEAに対する報告書に代表されるように、M9.0の地震は基本的に前代未聞の巨大津波を引き起こした原因として語られ、外部電源は地震で失われたことはともかく、最後の防護設備である非常用発電機が津波で作動しなくなったことが悲劇的災厄につながった過酷事故発生の原因とされている。
私自身は、1号機は地震による配管損傷と電気設備の不全、2号機は電気設備の不全、3号機は電気設備の不全と地震による配管損傷、4号機は電気設備の不全が過酷事故に至った原因だと考えている。
もちろん、これもきちんと説明されていないが非常用発電機が空冷で山側に設置されていた5・6号機のように、非常用ディーゼル発電機の健全性が保たれていれば、事故の経過は違ったものになった可能性は高いと思っている。
「電気設備の不全」とは、外部電源の切り替え・号機間の電力相互融通・電源車からの電力取り込みなど、設計としてはできるはずになっていた対応ができなかったことを意味する。
政府(経産省)・東電は、この問題を無視したまま映像的にも苛烈な津波を事故原因にすることで、東電の責任をあいまいにし、他の原発が内在している低レベルでの危険性を放置し、効果や意味さえ不明確な“対策”で済まそうとしている。
「週刊朝日」記事の前半部分は、前号で警備態勢の不備について書いたことで生じたらしい政府・東電の反応が書かれているのでその部分は省略し、地震で生じたダメージについて書かれた部分から引用させていただく。
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「週刊朝日」9月30日号:P.25より
『東電が主張する「事故原因は津波」の大ウソ』
今西憲之+週刊朝日取材班
≪前略≫
「 見方分かれる本社と現場
フクイチを海側から仰ぎ見ると、断崖絶壁の上にあることがよくわかる。原発建設の様子を記録した映像にも、岩盤を切り開いて工事を進めるシーンが映し出された。
東電はかつてホームページで、「地震による揺れが小さく、堅固な岩盤の上に直接固定して建設しています」とPRしてきた(現在は削除)。
原発敷地内のあちこちで、ガードレールに引っかかったままの車を何台も見た。紛れもなく津波による被害だ。ここまで被害は大きかったのか―。
そのとき、私の脳裏に、以前の取材話が引っかかった。大震災からーカ月も経過していなかった3月末、震災当日に原発の中で仕事をしていた作業員の話だ。その作秦員はこう話した。
「大きなプロックが次々と落ちてホコリが舞い上がり、工具などいろいろな物が落ちてきて、建屋の中は足の踏み場もなかった。停電して真っ暗だった。『電源、配管は大丈夫なのか』と協力会社の人が心配そうに見回っていた。あわてて建屋の外へ出ると、道路は波うち、アスファルトはめくれ、段差ができていた。海沿いの柵は壊れ、ガードレールは崩れ落ちていた。だれからともなく『津波が来るぞ、逃げろ』という声が上がったので、海から離れて原発敷地外に走った」
地震が起きたとき、電源は落ち、建屋内は足の踏み場もなく、建屋前の道路も亀裂が入り、段差ができていた―津波が来る前の話である。
フクイチの入り口ゲートの南側に、海側から原発を一望できる展望台がある。
しかし、そこに向かう道は、いまも車は通れない。
路面が大きく陥没しているからだ。瓦礫と化した車も引き揚げられないまま、無残な状態をさらけだしている。
傍らにいた“フクイチ水先案内人"の東電幹部X氏はこう言う。
「地震ですぐに崩れ落ちました。車に乗っていたのは、原発に出入りしている業者の方で大きなケガではなかったそうですが、あれほどまで地盤が弱いとは想像していませんでした」
原発の耐震構造は本当に十分だったのだろうか。
先々週号のルポ第1弾でも書いたが、私はX氏の案内で4号機の原子炉建屋の中に入った。X氏が突然、
「今日は放射線量が低いから、まず4号機から見てもらいましょうか」
と言い、実現したものだ。
4号機の階段を上がる途中、2、3階で、配管や電気系統が破損している状況がよくわかった。
原子炉建屋の一つの階の高さは一般的な住宅なら、2、3階分はあるだろう。
津波による海水はどこまで押し寄せたのか。質問すると、X氏はこう言った。
「建屋の2階から上の破損は津波とはほとんど関係ありません。本社は、2階から上の破損原因を、爆発とその爆風と発表していますが、当時の作業員から事情を聴くと、地震で揺れた時点で、建屋も相当ダメージを受けたということです。地震で配管のつなぎ目が緩んで、管が無残に破損したとみることもでぎます」
東電はこれまで再三にわたって、「今回の事故の原因は想定以上に大きかった津波だ」と主張してきた。だが、現場の見方は、本社の発表とは違う。
東電本社とフクイチの温度差を象徴する出来事はほかにもある。東電は9月14日、放射能汚染水の浄化装置について、当初使っていた日米仏の装置を10月に止め、8月から稼働させた東芝などによる国産装置「サリー」に変えるというのだ。
この浄化装置をめぐっては、X氏は当初から、「外国の装置は説明書も不完全で使いこなせない」と不満を口にしていた。現場の正しさを証明した一つの事例といえるだろう。
値上げするって本気ですか?
話を事故原因に戻そう。
「ここを見たら、私の言っていることがわかります」と言って、X氏が次に案内してくれたのは、6号機の原子炉建屋だった。外から見る限り、ダメージはない。建屋内でも、配管や設備は何事もなかったかのように見えた。だが、X氏はこう言ったのだった。
「6号機の上の階を細かく調べると、無傷ではなく、配管など使えないものもあります。5号機、6号機とも電気系統はなかなか復旧できず、今もエレベーターは止まったままです。上の階に資材を運ぶのは人海戦術なので、作業が予定どおりに進みません。地震のせいで原発を動かすことがで.きない状況です」
6号機が動かないということが何を意味するのか。
さらに、X氏は手にしていたデジカメから、ある映像を見せてくれた。
映っているのは、福島第二原発の原子炉建屋だという。こちらはフクイチと同
様に、地震と津波の被害を受けたが、爆発はしていない。だが、映像には、破損
した配管が映っていた。
X氏は一言った。
「ここまで見たらわかるでしょう。『事故原因は津波』と言い切るには無理があり.
ます」
東電はこれまで、原発の被害は、津波と爆発によるものとしてきた。確かに非常用電源が使えなくなったのは、津波による水没が原因だと言えるだろう。だが、地震による被害も大きかったはずだ。なぜ、ここまで東電は津波を事故原因にしたがるのか。
X氏は、
「補償に影響があるからです。補償額を抑えるには、事故原因は想定外の津波にしたい。だから、その方向に沿って写真や動画を公開し、発表を繰り返しているのです」と言って、こうも付け加えた。
「フクイチの耐震性に問題があったとなれば、他の原発の耐震強度も見直す必要が出てきます。自杜の他の原発はもちろん、他の電力会社への影響も考えると、原因は想定外の津波でないといけないわけです」
事故原因をめぐる東電の説明は、今後の原発行政を考えれば、大ウソに匹敵すると言ってもいいだろう。
東電は、来年度から3年問、15%程度の電気料金値上げを検討している。火力発電所の燃料費が増えるのが理由で、定期検査で停止中の原発が再稼働すれば、値上げをやめる方針だという。さらに、値上げをやめる2015年度には、いまカットしている社員賞与の水準を元に戻すことを検討中であると報じられた。
いま政府と東電が考えるべきことは、被災者にどう補償するのか、汚染をどう食い止めるのか、だろう。そのために、政府と東電は情報を公開し、納得できる事故原因を説明すべきだ。
そのうえで、他の原発の再稼働問題を議論しても遅くはない。」
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