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福島原発事故の深刻性について
福島の現地では原子炉格納容器内の現状を知ることは不可能である。周知のように日本の原子炉では制御棒(100本近いと思われるが)がフランスのように上部についているのではなくて,下部にある。だからもし溶解したコリウムが格納容器の底にたまれば溶接部,接合部が損傷することになる。大きな亀裂が無いとしてもこのコリウムが次第に降下し,原子炉のさらに下に溜まる恐れがある。きっとそうなっているし,そうなるはずのものなのだ。
東電が6月14日にTV発表したビデオには原子炉が蒸気で包まれた映像があるが,これを湿度の高い気象条件によるものとしては蒸気の上昇速度が速すぎる。むしろ溶解したコリウムと汚染水が接触した結果ではないだろうか。
もうひとつ。原子炉の基礎をなす厚さ8mのコンクリートに亀裂が入ったかどうかを知るのは不可能であるが、M9の地震ならどんなものにも亀裂を生じさせうる。そうでないとしたらまさに驚くべきことだ。論理的には亀裂がはいっているはずである。すでに5cmの亀裂がはいっている原子炉の映像が公開されている。
いったん亀裂が生じれば途中でとまることは無い。コリウムが中に食い込んでいけるような亀裂が生じれば,自由地下水と太平洋の汚染が始まる。海岸一帯で漁業も出来なくなってしまう。そうなれば最悪だ。海洋汚染は魚によって伝播していくのだから。さらに恐るべきは大量のコリウムが水に接触すると大爆発する危険があることだ。その可能性も排除できない。原子炉の底が剥がれてしまうところを想像してごらん。いずれの場合にしろ日本人にとってはあまりに不幸なことだ。何でも楽天的に考えても仕方が無い。
広島や長崎の原爆では衝撃波,熱放射,放射能によって何十万人もの市民が犠牲になった訳だが,現場には核廃棄物はほとんど残らなかった。原爆の場合は廃棄物を残すのではなく,様々な放射線によって最大限の人間を殺傷するためのものだ。だから,正確には地上何百mだったか思い出せないが,とにかく地表で爆発した訳ではない。火の玉が形成されると,その直後に上昇気流が発生して廃棄物は成層圏に運び去られ、風によって拡散されてしまったのである。だから爆発の直後に広島長崎を歩き回っても、汚染されるリスクはほとんどなかった。 放射能はこのときすでに無かったのだとすら考えられる。
福島の場合は核廃棄物による全面的な環境破壊とリンクしている。プールとか格納容器の「接合」が破壊され,何トンもの毒性の強烈な破片が水に混じり込んでいる。水が蒸発するたびにこうした破片が拡散してしまうのだ.フランスが売ったMOXから出る プルトニウムのある3号機は最悪だ。チェルノブイリよりも緩慢ではあるが、より深刻な汚染が広がっていくだろう.チェルノブイリでは黒鉛が燃えている限り廃棄物は大量だったが、炉に十数トンを注水したら収まった.例えば黒鉛、から生じる強力な放射能だけが残ったのである。
現時点で福島ではチェルノブイリの 三分の一程度の放射性物質が水と大気中に放出されたという計算が成り立つ.そういうことがこれから無期限に密かに進行していくだろう。さらに事態は加速することすら考えられる.2011年の終わりには日本国土と海洋への放射性物質の拡散がチェルノブイリの汚染を凌駕したことが確認されるであろう。しかもそれでとどまる訳ではない。
どうしたらいいのか。海洋汚染については原発前の人工ポートを封鎖し,海水をポンプでくみ上げ,海岸一帯をコンクリートで固めるのだ。そうすれば放射能をある程度抑えられる。だがTEPCOとその関連企業は何もやる気がないのだろう。
大気汚染に関しては石棺による封じ込めが検討されたが,炉心は常に熱を出し続けることを忘れてはなるまい。今のところ冷却しているが、やめたらとたんに温度は上がるだろう。どのくらいの温度になるのか、誰にも分からない.4機の原子炉をコントロールするには堅材で頑丈な構造物を作らねばならないが莫大な費用がかかる.それで効果があるかと言えば,定かではない。コリウムがたとえ海水であろうと水と接触すれば、石棺の圧力はあがっていくだろう。
一つの解決は原子炉の内容物を原子爆弾の投下によって拡散させることだ.そうすればすべては宙に舞い上がり、すべては気流によって拡散されてしまうだろう。そのときは北西の風が吹いていないとこまる。中国や韓国がこの毒物のプレゼントを喜ぶはずもあるまい。
もう一つ、一般人は核分裂性物質と核廃棄物がこういう場所にどのくらいあるのか分かっていないだろうが、3号機にはプルトニウムが180キロあるし,プールには数十年分に相当する廃棄物が保管されているのだ。私にとって信じがたいのは日本人が誰も犯罪者を追求しようとはしないことだ。この悲劇のすべての責任は核関連の官僚と政府にある。日本人はそのことを本当に理解しているのだろうか。
元CNRS(国立科学研究庁)主任研究員Jean Pierre Petit(中島弘二訳)
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