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投稿者msehi
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2011年5月26日[http://www.woz.ch/artikel/inhalt/2011/nr21/Kultur%20/%20Wissen/20753.html:title=スイスの週刊新聞WOZ](Die Wochenzeitung)は、[http://www.youtube.com/watch?v=ScKTH-SyBDU&feature=related:title=『オンカロ10万年の危機(IntoEternity)』]を制作したデンマークのドキュメントフィルム作家ミハエル・マドセンを、余りにも美しく描いていると批判しただけでなく、プロパガンダフィルムだと断言した。
このような断言的な激しい批判は、フィンランドの最終処分場オンカロに懐疑的なドイツのメディアさえも、私の調べる限り見当たらない。
WOZの断言する理由として、フィルムで描き出された核廃棄物最終処分場オンカロの地下坑道では、水が岩盤を流れていることを挙げ、致命的であることを指摘していた。
また南西フィンランドの世界遺産で有名な古都ラウマまで25キロのオルキト島(原発3基を抱える島)の最終処分場オンカロ建設は、原発ルネサンス(現存する世界の原発を倍増)を推進するための政治的決定であると断言した。
確かにスイスは、日本では考えられないほど異常に核戦争を恐れており、国中の至るところで地下に核シェルターを備えており、そのための食料備蓄も、ドイツ人に「スイスの古い小麦のパンは不味い」と言われるほど熱心であり、核への恐れが特別であることも確かである。
しかし週刊新聞WOZの指摘が真実なら、日本及び世界にとってこれほど重大なことはなく、その信憑性の検証は重要である。
まず[http://www.youtube.com/watch?v=ScKTH-SyBDU&feature=related:title=、『オンカロ10万年の危機(IntoEternity)』フィルム]を再度見ることで検証すると、週刊新聞WOZが指摘したように、フィルムの15分35秒くらいから(5−2の3分42秒)、オンカロ地下坑道に水が飛沫を上げているだけでなく、岩盤を流れており、多量に水が存在することは明白である。
ドイツで70年代から調査されてきたゴアレーベンの最終処分場が、2000年に凍結された理由は、「ゴアレーベンのような岩塩層が地下水と接触している場所では、数百年も経ない間に高温の核廃棄物容器が岩塩層を溶かし、地下水を汚染する危険性が高い」と、多くの専門家が指摘していたからである。
事実ドイツで、最も安全であると明言されてきた2つの岩塩層の放射線廃棄物処分場は、数百年どころか僅か数十年の使用で地下水の浸入を招き、ドラム缶容器の腐食が激しいだけでなく、地下水の汚染を招いている。
一つはザクセンアンハルト州の地下500メートルの岩塩抗モアスレーベンであり、旧東ドイツの原発廃棄物処分場として70年代より使用され、統一後もドイツ唯一の最終処分場として1998年までに3万7000立法メートルの原発廃棄物を運び入れてきたが、壁が崩落し地下水が侵入していることから、2009年10月に閉鎖が決定された。(ZDF Nachrichtung 23.10.2009)
もう一つはニーダーザクセン州の岩塩層アッセ貯蔵場であり、カールスルーエ原子力研究所の1960年代から1978年までの研究目的低中レベルの核廃棄物などの12万6000のドラム缶が岩塩層地下750メートルほどに放り込まれてきた。
しかし最近地下水を一部汚染していることが問題視され、岩塩層坑道近くには毎日1万2000リットルの地下水が発生しており、10年以内に坑道が崩壊する危険性があるという専門家の指摘を受けて、環境省連邦放射線防護局(Bfs)は2010年1月にドラム缶の回収を決定した。(Bfs Pressmitteilungen 15.01.2010)
その上アッセ周辺では、2002年から2009年の白血病及び甲状腺癌の発生率が急上昇している。
そしてこのような回収移転費用には、最大数兆がかかると言われており、全て国民の税金から支出されなければならない。(ZDF Nachrichtung 04.12.2010)
フイルムでは万一の場合も、核廃棄物は最も安全であると言われるガラスの中に閉じ込め(ガラス固化体)、さらに外側が銅製の鉄製容器に封管され(オーバーバック)、その上ベントナイトという粘土緩衝材で覆われることから、致命的な事態は避けられると述べている。
しかし実際はドイツの専門家が最終処分場ゴアレーベンの凍結決定の際述べたように、鉄製容器は高温であることから(少なくとも100度以上が想定)緩衝材の変質は避けられず、水が高温の鉄製容器に接触すれば、モアスレーベンやアッセで見られたように激しく腐食し、数百年どころか数十年で、地下水の放射能汚染が始まる可能性は高いと言えよう。
そしてドイツの多くの専門家が安全な最終処分場などないと明言するなかで、原発ルネッサンスを推進する側は、世界に少なくとも1つは最終処分場を実存させなくてはならなかった。
それゆえ、『オンカロ10万年の危機(IntoEternity)』というプロパガンダフィルムを制作したと言えるだろう。
日本の最終処分場を請け負うことになった原子力発電環境整備機構(NUMO)は国の事業体であり、遅くとも2037年までに地層処分を始めることを計画している。
そしてNUMOの地層処理の説明では、以下のように書かれている。
地下にある物質は主に地下水によって運ばれますが、地下深部では地下水の動きが極めて遅いため、物質の移動が非常に遅いという特長もあります。
もう一つには、地下深部では酸素が極めて少ないため、錆びなどの化学反応が抑えられ、物質を変質させにくいという特長があります。これらの特長により、地下深部は地上に比べ、物質を長期にわたり安定して閉じ込めるのに適した場所といえます。
地層処分とは、このような「物質を閉じ込める力」を持っている地下深部の地層に、閉じ込め性をさらに確かなものとするため、以下の工学的対策を施し、高レベル放射性廃棄物を埋設し人間の生活環境から隔離する方法です。
このような説明がもし本当であれば、ドイツの地下500メートルを超えるモアスレーベンやアッセでの、僅か数十年での激しい腐食は起こらない筈であり、地下水汚染などは絶対に有り得ないことだ。
またガラス固化体、オバーバック、そして緩衝材からなる工学的対策も、既に述べたように地下水と接触する場所では、全く役に立たないと言うのがドイツの見解だった。
そうした見解にも耳を貸さず、このような希望的想定で日本の最終処分場を建設すれば、どのような悲劇が待ち受けているかは明らかだ。
しかも電力会社の責任負担は原発廃棄物のガラス固化体を国の事業体に渡すまでとされ、後は国の事業体NUMOが責任を持つと言われている。
結局悲劇が起これば、国民は健康被害を受けるだけでなく、想定できないほどの莫大な費用を支払うこととなり、なし崩し的に増税のラッシュに見舞われることは必至だ。
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