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「北海道は需要のピークが冬に来る。電力不足を理由に凍死者を出すことは、知事として許されない」
8月17日、北海道の高橋はるみ知事(57)は臨時記者会見を開き、調整運転を続けていた北海道電力の泊(とまり)原子力発電所3号機の営業運転再開の容認に踏み切ったことを明らかにした。
福島第一原発の事故以来、原発の危険性に不安が高まるなか、全国初となる原発の営業運転の再開が決まったのだ。地元・泊村では、知事がゴーサインを出したことをどう受け止めているのか。ある住民は、胸の内をこう話す。
「北電さんには、これだけのことをしてもらっているのだから、とても反対なんてできない。そんなことをすれば、村から出ていけと言われてしまうさ」
全国の原発立地地域と同様、人口2000人に満たないこの村も巨額の原発マネーで潤ってきた。泊原発が運転を始めた'89年度から'09年度までの21年間で、この村に支払われた原発関連の交付金や固定資産税の総額は約546億円にも上る。この間の歳入の6割近くにあたる額である。
小さな村には豪華な役場や村営の温泉宿泊施設、一年中滑ることのできる屋内スケート場などの箱モノ施設が並ぶだけでなく、充実した生活支援が自慢だ。希望する世帯にはパソコンが無料で配布され、住宅を購入する際には最大200万円の助成もある。子育て世帯には、出産、入学のたびに祝い金を支給。さらには15歳までの医療費はタダという手厚さだ。
これだけされてしまうと原発への不安など消えてしまうのか、60代の漁師は、
「原発の運転再開よりも、特産のあわびの密漁が絶えないことのほうがずっと深刻な問題だ」などと言う始末だ。
しかし、すべての住民が知事の判断を容認しているわけではない。自称「隠れ反原発派」だという男性は、こう憤る。
「泊原発の周辺には想定されている以上の活断層があるという研究結果もあるのに、なぜ知事はもっと調査検討をしないで急いで容認を決めたのか。われわれ住民は原発マネーで手なずけているから、反対なんかしないだろうと、たかをくくっているのではないか」
営業運転の再開を容認するにあたって、道は泊村など原発周辺10km圏の4つの町や村から合意を取りつけ、地元の意思を十分に尊重したとしている。しかし、札幌市の上田文雄市長が「福島第一原発の被害範囲を鑑みれば、道は泊原発から60~70km圏内にある札幌市にも判断資料を提供し、意見を聴取すべきだった」とコメントを発表するなど、道内の市町村の間では知事の判断に不満を示す声が少なくないのだ。
道議会の与党・自民党の道議からも、もっと慎重に決めるべきだとの批判も出た今回の高橋知事の決定。なぜこうも急いだのか。道議の一人はこう解説する。
「当初、知事は泊原発が全国初の営業運転再開となるとは思っていなかったはずです。九州電力の玄海原発や関西電力の大飯原発のほうが先だと。ところが、やらせメールの発覚などで泊原発が先になると、全国の知事のうち最初に容認することで世論の反発を受けるのではないかと、相当悩んだようです。でも、それでも彼女が断固として容認の姿勢を示したのは、そのキャリアと、北電との関係がものを言ったのでしょうね」
実は、高橋知事は'03年に初当選するまでは、経済産業省(入省当時は通産省)の官僚だったのだ。
「福島第一原発の事故で原発の安全神話が揺らぎ、このまま全国で運転開始ができない状況が続けば、経産省が進めてきた原子力政策が根底から覆りかねない状況でした。いわば彼女は古巣の経産省を救った形になったわけです。『私がやらないで誰がやるの』と道庁幹部らに漏らしていたと聞きます」(前出の道議)
■禁止された「企業献金」か
そしてもう一つ、高橋知事を動かしたと指摘されるのが、「北電との関係」だ。高橋知事の資金管理団体「萌春会(ほうしゅんかい)」の収支報告書を閲覧すると、気づくことがある。毎年、多くの北電の役員から個人献金を受け取っているのだ。例えば、高橋知事が初当選した翌年にあたる'04年には、北電の当時の会長や社長をはじめ計17人の役員から合計44万円、'05年には同じく17人の役員から44万円、'06年には16人から45万円、'07年には14人から41万円、'08年には10人から36万円、'09年には10人から33万円---といった具合だ。
特に'04年から'06年にかけては、常勤の役員の全員が知事の資金管理団体に献金していることになる。しかも、どの年も会長は献金額が10万円、社長は5万円、副社長は3万円、常務取締役は2万円と、役職に応じて献金額が同じ。さらに献金の時期も毎年、ほぼ統一されている。
こうした献金の実態について、真下紀子道議(共産党)は、
「組織的に行われており、事実上の企業献金ではないか」
と、道議会で繰り返し追及してきた。一企業が特定の政治家の資金管理団体に献金することは「政治資金規正法」によって禁止されている。高橋知事は今年6月の道議会で、北電の役員らからの献金について「それぞれの方は、個人の立場で、私の政治活動や考え方に賛同され、ご支援をいただいているものと理解しております」と答弁したが、まったく納得できない。真下道議もこう指摘する。
「道内の公益企業のなかで役員がそろって特定の政治家に献金をしているのは、北電だけです。異常な関係だと言わざるを得ません。安全協定で原発への立ち入り調査権を持つ北海道の知事が、このようなズブズブな関係を北電と持っていては、厳格な調査などできませんよ」
しかし、こうした真下道議の追及にもかかわらず、地元の新聞の扱いはベタ記事程度で、ほとんど問題視してこなかったのだという。知事と北電の関係は地元ではタブー視されてきたのだろうか。
取材を進めると、両者の蜜月を窺わせる材料が他にも出てきた。前述した知事の資金管理団体「萌春会」のトップである会長を'07年6月から務めているのは、北海道電力の前会長の南山英雄氏なのだ。「萌春会」の会長に就任した当時、なんと南山氏はまだ北電の会長に在任中(現在は顧問)でもあった。
札幌市郊外の自宅を訪ね、朝、出勤する南山氏を直撃した。
---大勢の現役役員らが献金し、あなたは資金管理団体の会長まで務めている。知事と北電の関係は近すぎないか。
「5万や10万の献金でどうにかできるわけなんかないでしょ。『萌春会』の会長になったのも、あくまでも個人の信条に基づいて知事を応援しようとしただけです。『深い関係にある』とか『癒着』だとか言うほうがおかしいよ」
南山氏は悪びれた様子もなく、あっさりとこう答えた。北電の元トップにとっては、10万円もはしたガネだというのである。原発マネーに慣れきったからなのか、たいした金銭感覚である。
北海道電力はどう答えるか。
「それぞれの個人的意志でやっていることなので、当社としましては承知しません」(総務部)
問題はまだある。高橋知事の就任後、道庁OBの天下りを北電が受け入れるようになったのだ。道議会の元事務局長など、これまでに北電やその関連会社に再就職した道庁OBは、部長級や次長級などあわせて4人に上っている。
道庁担当記者の一人はこう話す。
「知事と北電の関係はやはり異常です。知事選では、知事の陣営に人≠熄oしていると聞きます。知事にとって泊原発の運転再開は、議論は関係なくあらかじめ決めていたのではないでしょうか」
こうした知事と北電の関係について質すため、本誌は高橋知事の後援会事務所を訪ねたが、事務員は「後で返答する」と約束しながら、その後、音沙汰はなかった。北海道庁も、首長の問題について危機感ゼロでこう答えるのだった。
「政治家としての高橋はるみは、管理している範囲ではないので、お答えする立場にありません」(広報公聴課)
泊原発運転再開の裏に見えた、知事と北電の関係。世間的にはこれを「ズブズブ」と言うのだが、当事者たちの無神経ぶりは目を覆うばかりなのである。
「フライデー」2011年9月9日号より
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