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「帰郷に20年」「福島に中間貯蔵施設」と本音が出始めた原発事故処理の行方
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/17905
2011年09月01日(木) 伊藤 博敏「ニュースの深層」:現代ビジネス
菅直人首相の"最後っ屁"は、「帰郷に20年以上かかります」「福島県に中間貯蔵施設をお願いしたい」と、福島県民に"本当"のことを伝えることだった。
福島市内で8月27日に開かれた「福島復興再生協議会」で、政府は年間被曝線量が200ミリシーベルトと推定される地点では、帰宅可能な水準の20ミリシーベルト以下にまで下がるには、20年以上かかるとの試算結果を明らかにした。
除染すれば別だが、後述するように除染作業は容易ではなく、帰宅可能が20ミリシーベルトでも、子供が住める環境の1ミリシーベルト以下に下げるのは、想像を絶する作業が必要になる。
これまで菅首相は、「年明けには周辺住民の帰宅の判断ができる」といい、5万世帯8万人の避難民の帰郷を前提にしていた。また、事故直後、首相発言として「原発周辺には20年は住めない」と伝えた松本健一内閣官房参与に猛抗議、辞任に追い込んだ。
しかし、政権の最後に、抗議のしようもない状況のなかで、ごまかしを訂正したことになる。
情報が瞬時に伝わり、あらゆる立場の人間が情報発信人となるネット社会で、情報の操作はできない。
これまで政府は、国民の不安感をあおらず、福島県民に希望を失わせないためにと、放射性物質が拡散している事実を、「ただちに影響はない」という枝野幸男官房長官の言葉に代表されるように、"やんわり"と表現してきたが、もうやめるべきだろう。
私は本誌の5月19日付けで、「試算では費用1兆4100億円 菅政権が言えない『原発被災地の国有化』というタブー」という記事を書いた。
それは、政府が原発周辺地の買収を検討しているのに、誰も言い出せず、結果として国の責任を明確にできず、避難民に「いつか帰れる」という先行きの見えない希望を持たせることの問題を指摘するものだった。
試算の1兆4100億円は、汚染の高低は問わず、半径30キロ圏内の面積1413キロ平方メートルを、収益還元法によって1平方メートル当たり1000円で単純計算した数字である。
もちろん住居には上乗せが必要だし、生活補償は別問題。国土開発に詳しい専門家によれば、山林原野に河川や田畑が多い地区なので、1000円計算は妥当な数字ということだった。
住民に土地への愛着があり、移住で地縁血縁のつながりが、バラバラになることへの不安があるのは当然だが、目標の1ミリシーベルト以下に下げるのは容易ではない。
まず、汚染されたがれきや汚泥の処理から手をつけなければならないが、この作業を行うノウハウや技術がない。
政府の東日本大震災復興対策本部幹部が、率直にいう。
「日本には原発事故の専門家が、誰もいないんです。なぜなら原発事故を想定していなかったから。『安全神話』が、事故を想定した対策や研究を封印しました。
海外にはプラントメーカーを中心に、チェルノブイリ事故、原潜事故、廃炉などを通じた専門家がいて技術もあります。でも、彼らもフクシマほどの巨大な事故処理の経験がありません。
だから、汚染がれきの処理から始まって、広範囲の除染まで、どう体系的に進めればいいかのノウハウがないんです」
現在、国内外のメーカーにがれき処理や除染に関する提案を募集する一方で、試験的な作業を進めているところだが、早くも限界が露呈している。
「民家一軒の除染を、50人がかりで1日かけて行ったのに、目標とする1ミリシーベルトに落とすことはできませんでした。屋根、雨どい、庭の草木、家の側溝、周辺道路・・・。とてつもない作業です」(前出の政府幹部)
そして、がれきを処理、除染作業を行っても、汚染物質は残り、それを処分する場は必要である。それをどこにするのか。また、福島第一原発の1号機から4号機までを廃炉にする作業過程で出る高濃度の放射性物質を処分する場も必要である。
チェルノブイリがそうであるように、除染作業は永遠に進めなくてはならず、もしそれを、すべての人が帰郷できる1ミリシーベルトを目標に行うと、数百兆円の予算が必要だという専門家がいる。
誰が考えても、それは現実的ではなく、除染困難地区については、国が買い上げるしかなく、その範囲と金額については、早急にメドをつける必要がある。また、国有化が決まれば、そこに中間貯蔵施設という名の最終処分場を建設するのは容易だ。
だが、批判を怖れて誰もいいだせず、最後に菅首相が認めたものの、「長期間にわたって住民の居住が困難な地域が生じる可能性は否定できない」と、この段階でも条件付きの居住否定である。
野田佳彦新政権に必要なのは、どの範囲まで居住可能な地にし、どの範囲の土地を国有化、処分場をいつどこに建設するかを早急に決定、国民に伝える勇気だろう。
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