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新米からセシウム 主食大丈夫か(東京新聞)
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東京新聞「こちら特報部」8月20日付 :日々坦々
新米がおいしい実りの秋はもうすぐだ。
だが、コメどころの東日本は福島原発事故により田んぼの土壌が広範囲に放射性物質で汚染され、茨城県鉾田市の早場米からは微量のセシウムが検出された。コメは主食にもかかわらず、国の暫定規制値は高いままで、肝心の産地表示もあいまいという。安心して購入できないなら今後、買い控えや混乱も起きかねない。消費者が気になる二問を調べた。 (佐藤圭、小倉貞俊)
秋の収穫が本格化する前に、静岡、千葉、茨城県などでは、早場米のセシウム濃度の検査が行われている。
国の暫定規制値である一キログラム当たり五〇〇ベクレルを超えた場合は、出荷することができずに廃棄する。福島第一原発がある福島県は「放射線量の高い地域はしっかりした態勢で厳しく検査する」(水田畑作課)と身構える。
政府も、コメの放射能汚染には神経をとがらせてきた。土壌にあるセシウムが、収穫したコメに移行する濃度は一割とされる。
このため原発事故から約一カ月後の四月八日、コメの濃度が五〇〇ベクレルを超えないようにするため土壌中のセシウム濃度が土一キログラム当たり五〇〇〇ベクレルを超える水田はなかった。
さらに秋の収穫期には、二段階で検査しようとしている。対象地域は、これまで出荷停止の作物が出た県とその周辺の十七都県。この地域の収穫量は、約四百六十万トン(二〇一〇年)と全国の五割強を占める。対象地域外でも、自主的に検査する動きも出ている。
二段階とは、土壌のセシウム濃度が一キログラム当たり一〇〇〇ベクレル以上か、放射線量が毎時〇・一マイクロシーベルトを超える市町村を対象に、収穫前の「予備検査」を実施。収穫後の「本検査」では、予備検査でコメ一キログラム当たり二〇〇ベクレルを超えた市町村を重点的に調べ、農水省は「市場に流通するお米は安全」とアピールしたい考えだ。
だが、セシウムの暫定規制値そのものが批判の的になってきた。そこで一つ目の消費者の問いかけは、「毎日食べるコメも、口にすることが少ない和牛なども同じ五〇〇ベクレルでいいのか。コメは高すぎるのでは」−。
暫定規制値は、国際放射線防護委員会(ICRP)が定める原発事故など緊急時の被ばく基準値の下限(年二〇ミリシーベルト)に基づきはじき出されている。一日の食生活で、コメなど穀類は三百グラム、肉は七十グラム摂取するなどと想定し、年五ミリシーベルトを超えないようになっている。
それぞれの食品の摂取量を考えて暫定規制値を設定しており、国は「健康には影響はない」との立場だ。しかし、この基準でいくと、コメなど穀類だけで、ICRPの平時の一般公衆被ばく限度である年間一ミリシーベルトに達してしまう。
「原子力資料情報室」(東京)スタッフの渡辺美紀子さんは「暫定規制値自体が高いのに見直されていない」と指摘して話す。「チェルノブイリ事故で旧ソ連は、主食のパンに厳しい基準を設けた。コメの五〇〇ベクレルという基準は高すぎる。きめ細かな対応が必要だ」
二つ目の問いは、「セシウムを含んだコメが、産地表示の義務付けのない『ブレンド米』として流通する恐れはないのか」というものだ。
ブレンド米とは、複数のコメを組み合わせて「甘みが足りない」「柔らかすぎる」などの単一銘柄の弱点を補う商品。味や品質の向上に加えて価格も抑えられることから主に外食産業が使用。近年では、ブランド米以上の味を求めて商品化されるケースも増えている。
日本農林規格(JAS)法では、原料が一種類だけのコメは、パッケージに「単一原料米」と表示し、産地、品種、生産年を記載することが義務付けられている。
これに対し、ブレンド米の規定は「複数原料米」と表示した上で、「国内産」もしくは輸入原産国名と、その配合割合を示すことだけ。都道府県などの産地や品種、割合の表示を奨励するが、記載については販売者の任意となっている。
消費者庁は「品質を一定に保つため、入荷したコメの状況に応じてブレンドするのが一般的。品種や割合が変わりやすく、パッケージに表示するのが難しい」と説明。つまり、どこのコメが使われているかは、消費者に分かりづらい仕組みになっている。
十九日には茨城県産の早場米から微量のセシウムが検出され、コメ農家に風評被害への不安が広がる。「関東で出るならこちらはなおさら。もし検査で規制値を下回ったとしても、そこから先が問題だ」と福島県央部の米穀業者は頭を抱える。
「セシウムが『ゼロかそれ以外か』を買う際の目安にする消費者は多いはずで、五〇〇ベクレルなんて意味はない。『売れないよりはまし』と、コメをブレンド米や加工食品に回す動きも出るだろう」
消費者庁には、多くの消費者から「市町村名まで産地を出すべきではないか」との声も寄せられている。同庁食品表示課では「たとえ表示ルールを改正するとしても、時間がかかる。コメの販売者には、なるべく詳しく産地まで表示していただければありがたい」と本音ものぞかせた。
切りもちやせんべいなど、加工食品の場合はどうか。コメの産地情報を消費者まで伝えることなどを目的とした米トレーサビリティ法では、やはりコメ同様、都道府県などの産地表示は任意となっている。
新潟県の米菓メーカーは「『原料の産地はどこ』というお客さんからの問い合わせが殺到している」と明かす。このメーカーは原料に東北地方のコメも使っており、「これまでは県名を表示するのがメリットになっていたが、逆にあだになりかねない」と方針転換も検討中だ。
専門家はどう見ているのか。コメの博士号ともいえる「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ東京都目黒区の米穀店主、西島豊造さん(48)は「セシウムを含んだコメを食べてしまうことはあり得る。産地を表示せずに黙ってまぜることは、消費者に対する卑劣なごまかし。コメ産業全体の信頼を失墜させることになる」と警鐘を鳴らす。
そして「産地表示は都道府県名を義務化し、市町村名まで積極的に記載する必要があるだろう。まずセシウムが出たことをきちんと示して、消費者に選択を委ねるべきだ。コメ産業に関わる全員が意識を共有しなければ、この危機は乗り切れない」と力を込めた。
<デスクメモ> 福島県中通りに住む知人は二つのコメを作ってきた。出荷用と自家用だ。生活の糧の前者は普通に除草剤など農薬を使うが、少量の後者は一切使わない。
少しでも安全なコメを食べたい作り手のエゴと聞き、妙に納得したものだ。だが放射能禍はささやかなエゴをも許さない。心配している顔が浮かぶ。 (呂)
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