http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/693.html
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以下は、西原英晃・京都大学名誉教授のインタビュー記事です。
(東京新聞 8月20日朝刊 11版S 第1面 「3・11から エネルギー考 法ありき 倫理観欠く」)
氏はこの記事中で、原子力技術・利用の法規制の経緯、その中での科学者の倫理のありかたについて述べます。
そして、法規制の縛りが先行しそれに頼り切っていく中で、科学者たちは専門分野ごとに分かれ互いに連携がなく、自分の責任範囲外は他にまかせるだけで無責任になっていったと、反省します。
記事中、それに続く発言です。
↓
>「(たとえば)私は、核燃料は(全て)原子炉格納容器の中にあると考えていた。使用済み核燃料が格納容器の外にあることは福島の事故まで気づかなかった。」
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この方は、原子力技術と科学者の倫理のありかたについての研究で大きな業績のある、名高い方のようです。
良心的に研究を重ねて来られたのでしょう。決して非難されるような考え方の持ち主ではないと思います。
この東京新聞記事も、科学者として学界の現状に真摯に警鐘を鳴らそうとしたもの、といえるでしょう。
(主な履歴)
京大原子炉実験所長、原子力学会倫理委員会初代委員長、もんじゅ安全委員会委員長、京大名誉教授・・・
◇
この方も関わって、これまでどのようなことがされて来たか、見てみます。
↓
「原子力学会倫理規程」 2001年制定(2009年改訂)
http://www.aesj-ethics.org/02_/02_02_/
前文
我々日本原子力学会会員は・・・日本原子力学会倫理規程をここに制定する。
憲章本文
3.会員は、自らの専門能力の向上を図り、あわせて関係者の専門能力も向上するように努める。
(その内容の一部)
「会員は、専門家として常に自己研鑚に励み・・・日々進歩する学問・技術を学び、自身の専門能力を磨く。」
「会員は、経験から教訓を学び取る。特に原子力施設の事故や故障の経験からは、できるだけ多くのことを学び、その再発防止および類似の事故や故障の未然防止に努めるとともに、情報を共有化し、技術・知見の継承に努める。」
「会員は、常に正確な知識の獲得に努め、その知識を周囲の者に伝える。」
◇
(デーリー東北新聞社 2004/09/11掲載)
日本原子力学会倫理委員会(委員長・西原英晃京大名誉教授)は十日、六ケ所村民との意見交換会を同村文化交流プラザ・スワニーで開催。委員と核燃料サイクル反対派を含む村民が、原子力事業者、研究者の技術倫理意識や、核燃サイクル政策の今後について意見を交わした。
同委員会は原子力学会の一組織で、十七人の研究者らで構成。二○○一年に、法令順守や安全確保に努める心構えを共有するため、同学会倫理規程を制定した。原子力施設立地住民と意見交換するのは初めて。
村民からは「企業としての経済性と、安全確保の技術倫理をどう両立させるのか」「学会内だけの倫理規程で良いのか」「村に核燃施設は必要だが、安全面はやはり不安だ」「試算隠しや美浜原発事故こそ、技術者の倫理に反していた」などの質問や意見が出た。・・・
◇
第1回 「もんじゅ安全委員会」での委員長就任あいさつ (2004/07/29)
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/mj_anzeniinkai/1/1_2.html
西原委員長:
今、ご推薦を戴きました。出来る限りの事をさせていただきますので宜しくご協力お願い致します。
・・・
当たり前のことであるが、我々は科学技術を発展させて色々な物を作って世の中の役に立てるという作業が、作る方からいうとこれで全ての人たちを幸せにするということが出来ないわけです。
この間の洪水の堤防作ってもどんな洪水でも持つというものは作れないわけです。ある程度リスクはある。
原子力をやり出した時も・・・原子力を専門でやってきている良く知っている方は、これはとんでもない力を持っているんだから、これをうまく使ってやろうと思う。
うまく使うということはこれをひっくり返して言うと危険なところがある。危険を抑えながら使うというところが全ての技術ではないかと思う。
例えば原子力を推進するということだと原子力の安全を十分に見なければならない。これは二つの対立する命題のように一般には受け止められて、行政の方でもその様になっているようなのですが、同じ事の裏と表なので本来はものを作る中に安全には十分に考えて作るという事であるはず。
サイクル機構がやっている中で「もんじゅ」の事故、それは安全な原子炉を作る開発の段階で起こった事で、こういうのは十分予想されてきたこと、技術的な事になるかも知れないが私たちはそう思っています。
ですから、そこに安全というキーワードが出てくるわけですが、これについてサイクル機構では十分それに対して配慮されているわけです。
今回、更にこの安全委員会を作られて、必ずしも原子力の専門家ばかりの委員の先生方ではなく、もちろん専門の先生方も大勢入っておられますし、専門外の色々な立場で見てサイクル機構にお願いして行こうというこの作業に対して、円滑に進めて行くためにお手伝いをするという立場だと思いますので、場合によっては大変厳しい事を申し上げる事になるかもしれませんが、それぞれの立場で本来の目的である核燃料エネルギーサイクルを充実させる方向でご協力させて頂こうと思っていますのでよろしくお願いいたします。
◇
第16回 「もんじゅ安全委員会」議事録 (2010/02/26)
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/mj_anzeniinkai/16/16_1.html
西原委員長
今もお話があったように、年度内の試運転再開ということで、皆様方に本当に並々ならぬ努力を重ねてこられたわけであるが、考えてみると2月も平日は今日だけになってしまい、後1月ということである。その間に是非試運転再開を成し遂げていただくように、そして今日集まったのも、これも今もお話があったように、23日に県に申し入れられたということを含めて、また、国の安全委員会も随分回数を重ねて、今月になって、また今週の初めのほうも色々な活動があったようある。
そのようなことをご説明いただいて、また更に我々として付け加えることは、今の段階は「しっかり頑張ってやって下さい」と言うより他にないとは思うが、他に何か付け加えることがあれば申し上げる。
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◇
長々と投稿したのはただ、このような立派な方が、使用済み燃料プールを「知らなかった」ということにビックリしたからだけです。
でも、一事が万事ということもありますから。
なお、以下の事実は時期的に、西原氏とはちょくせつの関係はありません。
↓
(「もんじゅ」設置許可無効確認訴訟最高裁判決 2005/05/30)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120803622062.pdf
「そして,以上説示するところによれば,原子力安全委員会等における2次冷却材ナトリウム漏えい事故の安全審査の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があるということはできず,この安全審査に依拠してされた本件処分に違法があるということはできないから,上記違法があることを前提として本件処分に無効事由があるということはできない。」
「以上によれば,原子力安全委員会等における1次冷却材流量減少時反応度抑制機能喪失事象の安全審査の調査審議及び判断の過程に看過し難い過誤,欠落があるということはできず,この安全審査に依拠してされた本件処分に違法があるということはできないから,上記違法があることを前提として本件処分に無効事由があるということはできない。」
◇
これもちょくせつには無関係です。
↓
「学者と社会的責任 原子力学会が異例の声明」 (東京新聞 2011年8月19日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2011081902000065.html
原子力ムラの一角にある社団法人「日本原子力学会」(東京)が先月七日、福島原発事故の「事故調査・検証委員会」(委員長・畑村洋太郎東大名誉教授)に対し、個人の責任を不問にするよう求める異例の声明を出した。・・・
↓
『福島第一原子力発電所事故「事故調査・検討委員会」の調査における個人の責任追及に偏らない調査を求める声明』
2011年7月7日 プレスリリース 一般社団法人 日本原子力学会
http://www.aesj.or.jp/info/pressrelease/pr20110707.pdf
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