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東日本大震災:宮城の肉牛出荷停止解除 農家消えぬ不安
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110820k0000m040116000c.html
毎日新聞 2011年8月19日 23時56分
「出荷停止解除」のお墨付きは、市場や消費者の不信を払拭(ふっしょく)するか−−。肉牛の放射性セシウム汚染問題で、政府は19日、宮城県からの出荷再開を認めた。同日解除予定だった福島県は新たな汚染牛判明で乗り遅れ、栃木、岩手両県と共に早期再開を目指す。宮城の産地は政府の決定を歓迎するが、市場関係者らの中には「すんなりとはいかない」と厳しい受け止め方もある。
◆検査や牛肉離れ…課題山積
「厳しいハードルだったが、本当にうれしい」。政府に出荷停止を指示された4県の中で最も早く再開することになった宮城県の村井嘉浩知事は19日、安堵(あんど)の表情を浮かべた。県は来週の出荷再開を見込み、業界との調整を開始。一方、解除される方針が一転して延期となった福島県幹部は「また福島のマイナスイメージが広がってしまった」と苦渋の色を浮かべた。
宮城県と畜産関係者が待ち望んできた出荷停止の解除だが、これで農家の不安が解消されたわけではない。同県登米市で畜産業を営む千葉啓さん(46)は「解除といっても、これまで通りに出荷できるわけではない」と気を引き締める。牛舎のローンが20年以上残り、出荷停止中に3頭の牛が出荷の適齢期を逃した。
宮城県は出荷再開後、国が求めた検査体制より手厚い県内全域での全頭検査を予定している。しかし、1日に検査できる頭数には限りがある。さらに、県産牛の4割にあたる約1万4000頭を回してきた県外の食肉処理場が、検査の負担を抱えながらこれまで通り請け負ってくれるかどうかも未知数だ。
一方の福島県。JA全農福島畜産部の担当者は「出荷しても価格が原発事故以前に戻らないと畜産農家の生計は成り立たない。国と東京電力には風評被害の払拭に全力を尽くしてもらいたい」とクギを刺す。
同JAによると、福島産肉牛の価格は7月の出荷停止直前に原発事故前の半値以下まで下落。風評被害の影響は稲わら問題とは無関係の子牛にまで広がり、肉牛が出荷停止中の8月9、10両日にあった子牛の競りの平均落札額は今年3月の平均(44万円)より3割安い31万円だった。
消費者の牛肉離れも懸念される。東京都中央卸売市場で取引される牛肉の価格は7月半ばの急落後、現在は主流の去勢和牛A4等級で1キロ当たり1500〜1700円と平年並みの水準を回復した。しかし、食肉処理される牛の数は大きく落ち込んだままだ。東京市場では通常1日に400頭を超える牛が解体処理されるが、8月に入っても300頭に満たない日が多く、価格の回復は出荷停止による供給減が主因とみられる。
日本チェーンストア協会によると、7月上旬に福島県南相馬市から出荷された牛肉で暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されて以降、牛肉の売り上げは前年同期比で3〜4割減。同協会は「出荷停止が解除されても消費者は『はいそうですか』とはならない。いまだに新たな汚染牛が見つかっており、この状態がしばらく続くのでは」とみる。
福島県でも解除後は県内全域の全頭検査を予定している。同県相馬市の畜産農家、狩野幾雄さん(62)は「風評被害はすぐには払拭できないかもしれないが、安全な肉を出荷し続けることが信頼回復への一歩」と、今後の検査に期待を託す。【行友弥、津久井達、高橋克哉】
◆福島は冷凍保存の追跡強化へ
新たに判明した福島県産の汚染肉牛は、浪江町の計画的避難区域から出荷された4頭分。同区域は4月22日に指定され、肉牛の出荷・避難時にはスクリーニング検査が課されたが、その前に出荷されていた。4月7、19日に食肉処理され、東京都内の食肉業者が川崎市の冷凍倉庫で保管していた。
同市や厚生労働省によると、業者が今月自主検査し、最大で国の暫定規制値の2倍に当たる1キロ当たり1000ベクレルの放射性セシウムを検出。市が回収して同省が19日に検査し、最大で同997ベクレルを検出した。
出荷した畜産農家は、浪江町と隣接している葛尾村、田村市の畜舎で約4000頭を肥育していた。原発事故後に県外へ避難し、現在は廃業した。「汚染稲わらは与えていない」と説明しているという。福島からの肉牛出荷解除のためには、汚染原因の確認が急務で、国と県は畜舎の状況や与えられていた水や飼料の調査を始めた。
冷凍保存の牛肉は2年くらい保管するケースもあるといい、農水省は、4月22日以前に出荷された汚染肉が他にも見つかる可能性もあるとして追跡調査を強化する方針。
一方、福島県は解除後に備え、全頭検査する体制を整えており、「チェック機能がしっかりしていれば、今後は問題のある牛肉は市場に出ない」(鈴木義仁農林水産部長)として消費者らに理解を求めている。【浅野翔太郎、種市房子、倉岡一樹】
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