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間もなく稲刈りが本格化〜生産者、消費者ともに募る不安(東京新聞)
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東京新聞「こちら特報部」8月10日 :日々坦々
福島原発事故による野菜、茶、肉牛への汚染が問題となったが、主食のコメも間もなく稲刈りが本格化する。農林水産省は今月3日、関東、東北などの17都県の稲作について放射性セシウムの検査を指示した。仮に検査結果が「シロ」となったとしても、生産者の風評被害への不安は尽きない。一方、古米や福島から遠方の超早場米に人気が集まるなど、消費者側の懸念も募っている。(小倉貞俊、篠ケ瀬祐司)
福島県の中央部に位置する郡山市の農村地帯。九日に訪れると、真夏の日差しに照らされ、輝く青田が広がっていた。
「『おら家(が)のコメはうめえぞ』と胸を張って生きてきた。でも、今は自信を持ってそう言えないのが悔しい」
風にたなびく緑の水稲を見つめ、七代続くコメ農家の松崎俊介さん(55)はため息をついた。
両親と妻、長男夫婦ら十人暮らしの専業農家。計十ヘクタールで年間四十八トンを生産してきた。コメの放射性セシウム検査は来月上旬にも始まる。
収穫量四十五万トンと、全国四位を誇るコメどころの同県。中でも、郡山は肥えた土地柄から作付面積、収穫量とも県内一で、市内産のコシヒカリとひとめぼれの一等米を「あさか舞」と名付け、二〇〇二年にブランド化。人気を広げてきた。
同市内では四月、水田土壌から最大で一キログラム当たり三七五〇ベクレルのセシウムを検出。作付けができなくなる五〇〇〇ベクレルこそ下回ったものの、その後も農家の稲わらから高濃度のセシウムが出るなどし、「不安は拭えない。毎日、祈るように過ごしている」(松崎さん)。
規制値を下回ったとしても問題は解決しない。野菜も生産している松崎さんは「例年は百円の競り値が付く長ネギが、一昨日はたったの二円。放射性物質が不検出だったのに、だ。主食のコメなら『福島県産』というだけでどうなってしまうか」と頭を抱える。
コメを直接販売している首都圏の消費者からは「今年はいりません」とキャンセルも相次いでおり、経営の先行きにも影を落とす。三月末で会社を辞め、本格的に家業を手伝う予定だった長男(28)には「もう一、二年様子を見っぺ」と、退社を思いとどまらせた。
数年前に建て替えた家のローン、震災で倒壊した納屋の改修費−。出費もかさむ中、東京電力からの賠償金がまともに支払われるとは思っていない。ただ「一度でも稲作をやめたら、田が荒廃してしまう。売れないコメを作り続けるのはむなしいが、先祖伝来の田は守り続けなきゃ」と悲壮感をにじませた。
自身も二十ヘクタールの水田を持つJA郡山市稲作部会の佐久間俊一会長(55)は「放射性物質の検査結果は『不検出』か、限りなく低くなければ意味がない。規制値を少し下回っただけでは、消費者の購買意欲を高められず、安全性の訴えも届かない」と危機感を募らせる。
同部会は販売店などでのPRについて検討を始めた。だが、「どんなパフォーマンスなら効果があるのか。答えが見つからない」(同部会長)とお手上げの状態だ。
福島県内の稲作農家は三月の原発事故発生直後から、放射能汚染問題に翻弄(ほんろう)され続けてきた。
政府の原子力災害対策本部は四月八日、生産したコメが「暫定規制値」を超えそうなほど土壌が汚染された水田については、作付けを制限する方針を示した。対象はコメ農家約七千戸、制限面積は約一万ヘクタールに上る。
文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(会長・能見善久学習院大教授)が今月五日にまとめた「中間指針」では、作付け制限農家の損害は賠償対象に含まれた。だが、今後予想されるコメの買い控えに対する賠償については明確ではない。
今月三日には、農水省が本年産コメの検査方法を発表した。十七都県で二段階で実施され、土壌で一キログラム当たり一〇〇〇ベクレル以上の放射性セシウムか、空間放射線量が毎時〇・一五マイクロシーベルト以上が検出された市町村で予備検査。さらに収穫の四〜十日前に玄米を調べ、暫定規制値(一キログラム当たり五〇〇ベクレル)を超えた地域のコメは出荷停止とする。
農水省は「JAを通って出荷されるコメは全体の半分程度だ。しかもいったん出回ると、一年中流通する。リスクの高い地域を絞り込み、地域で止めるしかない。考えられる限りの、実行可能な検査態勢だ」(消費流通課)と説明する。
全国米穀販売事業共済協同組合(東京)も「作付け制限がある上、作られたコメは予備検査、本検査を経る。市場に出るコメについては安心してほしい」(石原一郎常務理事)と訴える。
ちなみに千葉県多古町で栽培された収穫前の早場米「ふさおとめ」のサンプル検査では九日、「放射性物質は不検出」との結果が発表された。
それでも、消費者は安全性についての不安をぬぐい切れないようだ。
新潟県産コシヒカリが主力商品のネット通販会社「米選(まいせん)」(新潟県上越市)には、このところ「昨年の倍以上の注文が入っている」(担当者)。現在扱っているのは原発事故前の一〇年産米。「お客さんの中には、何年産のコメか確かめる人もいる」(同)という。
大手スーパー、イトーヨーカ堂でも「店頭は品薄になっていない」(広報センター)ものの、一〇年産米の売れ行きは「昨年同時期と比べ一〜二割増えた」(同)。
こうした動きに業者は敏感だ。超早場米の宮崎県産コシヒカリの買い付けには「今年は県外からも含めて、例年の三倍ほどの買い付け業者がやってきた」(同県内の卸会社担当者)という。
価格は昨年の超早場米に比べ二割ほど高く、卸会社から小売店への販売価格は五キロ二千百八十円ほど。「原発事故で古米(一〇年産)に人気が集まり、品不足になっていた。放射能の影響が不透明なこともあり、多少高くても本県産のコメに人気が集まった」(同)
買い占めこそ避けられているが、今後の市場動向は予断を許さない。
消費量が落ちているとはいえ、コメはいまも日本人の主食だ。今後、コメとどう付き合っていったらいいのだろうか。
NPO法人「日本消費者連盟」(東京)の富山洋子代表は「コメの検査結果の徹底した情報公開が不可欠だ」と語る。
「流通させる際、規制値以下だから安全だ、とするのではなく、『不検出』以外は放射性物質が何ベクレルだったか、値を明示すべきだ。そうすれば、私のような大人は規制値を“がまん量”と理解して食べる。一方、子どもたちには汚染された食品を食べさせずに済む」
<デスクメモ> コメではまた賠償が問題となり、増税で穴埋めされそうだ。東電への会社更生法適用はうっちゃられ、原子力ムラにある再処理積立金の二兆数千万円も手付かずなまま。大損害を招いている米国債を売る気配もない。それで増税とは。英国では暴動発生。日本では六日、反原発デモで三人が逮捕された。(牧)
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