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東日本大震災から3日後の3月14日に、灰色の煙を上げて吹き飛んだ福島第1原子力発電所の3号機原子炉建屋。5階以上が崩落し、今なお無残な姿をさらしている。鉄筋コンクリート(RC)造の建屋を崩落に至らしめた原因は水素爆発だとみられている。爆発に至った経緯はどのようなものだったのか、エネルギー総合工学研究所によるシミュレーション結果を基に読み解こう。
同研究所原子力工学センターの内藤正則部長は、3号機では原子炉建屋内での水素濃度が約30%に達して、火炎の伝播速度が音速を超える「爆轟(ばくごう)」という現象が生じたと分析する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の資料によると、水素の爆轟は空気中の濃度が15.5〜64.1%で発生するとされる。
爆轟は衝撃波の背後に火炎を伴う構造をしている。同研究所が水素の燃焼に伴い発生する圧力を求めたところ、建屋内の圧力は瞬間的に約60気圧に達した(建屋が損壊しないという前提で建屋内に生じる圧力を求めている)。燃焼時間はわずか0.02秒だった。「3号機の建屋は上部もRC造なので、ある程度の内圧には耐えようとしたと考えられるが、結局は『破裂』した」(内藤部長)
・3号機は「爆轟」で1号機は「爆燃」
3号機原子炉建屋では、核燃料を密封する被覆管のジルコニウムと水が原子炉内で反応。水素が発生・放出され、建屋の上部に滞留して爆発した可能性が高い。東京電力や原子力安全・保安院は3号機での水素の発生量を数百キログラムと見積もっている。
内藤部長によると、発生する水素量は温度と反応時間、反応表面積で決まる。3号機は1号機と比べて燃料集合体の数が多いために表面積が大きく、反応時間も長かったことから、水素発生量が多かったと考えられる。
3月12日に爆発した1号機原子炉建屋では、上部のオペレーションフロアで水素濃度が約15%に達していたという解析が得られている。3号機の2分の1の値だ。このため、「爆轟」ではなく「爆燃」が生じたと見られている。爆燃では、火炎の伝播速度が音速を超えない。
解析では、1号機の建屋内のピーク圧力は約5気圧だった。1号機のオペレーションフロアの壁と屋根は鉄骨にパネルを張った簡素な構造だったため、容易に破壊された。内藤部長は3号機のような「破裂」ではなく、「壁を中から徐々に強く押していったイメージ」と表現する。比較すると、3号機原子炉建屋を襲った衝撃力が、いかに大きかったかが分かる。
・直視してこなかった「衝撃荷重」
原発の事故に限らず、建物の損壊や死亡者を出す爆発事故は繰り返されてきた。東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」で2007年6月に発生した事故はその一例だ。
鉄骨(S)造一部RC造、地下1階・地上1階建ての別棟で、温泉のくみ上げで湧出した天然ガスが地下の機械室に充満して引火。建物は骨組みを残して吹き飛び、従業員3人が死亡した。「都心の住宅街に天然温泉施設」という「想定外」が法制度や建築設計の死角を突いた事故だったものの、建築界で爆発に関して議論が深まることはなかった。
爆発や物体の衝突が構造物に与える影響に詳しい伊藤忠テクノソリューションズの片山雅英・スーパーエンジニアは懸念を示す。「非常時には発生した現象を適切に評価することが重要だが、限られた研究者がボランティアのような形で解析をしているのが現状だ。国として、解析技術などを整備しておく必要がある」
原子炉建屋を吹き飛ばした爆発による「衝撃荷重」は、建築技術の空白域にある。「極めて限定された環境下で、極めてまれに発生し、極めて持続時間の短い作用」であるが故に、これまであまり研究や対策が進んでこなかった。だがいったん牙をむけば、その社会的影響ははかりしれない。日経アーキテクチュア8月10日号特集「第3の荷重『衝撃力』」では、爆発や衝突といった現象がもたらす影響などについて、詳しく報告している。
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