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妙な「産地名」表示が急増中 「太平洋産鮮魚」って、 いったいどこで取れたのか 風評隠し? 放射能隠し?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/14791
2011年08月09日(火) 週刊現代 :現代ビジネス
都内のJRの駅に隣接した、とあるスーパー。野菜は見たところ、すべてのものに生産県名が記されている。ただし、福島県産はなし。偶然目に付いた袋入りのフキの水煮を手に取って、裏の生産地を見てみると「原料原産地名 国産」と書いてある。これでは何もわからない。その下には製造者として福島県内企業の名前が・・・。
次は精肉コーナー。福島県産の牛肉は出荷停止だから、店頭に並んでいないのは当然として、ここもほとんど「国産」表示ばかり。薩摩地鶏とか飛騨牛とかブランド肉には、堂々と産地表示があるのに。牛肉は個体識別番号があるから、いざとなれば生まれた場所はわかる。でも、鶏と豚は見当もつかない。
そして、驚いたのがお刺身のコーナー。銚子産カツオ、北海道産タコなどと並んで「太平洋産カツオたたき」と「太平洋産びん長まぐろ」って。こんなの初めて見た気がする。値引きシールを貼りに来た鮮魚コーナーの担当者に聞いた。
「太平洋産? 前からあるにはあるんだけど、あんまり見なかったなぁ。どこで取れたかはこっちもわからないのよ。カツオやマグロは太平洋の沖合を移動しながら取るから、『太平洋産です』と仲買業者が持ってきたら、それで終わり。法律で、売るほうには産地表示をきっちりするよう決まっているけど、取ってくるほうはアバウトでも許される。おかしいよね。業者だってバカじゃないから、もし福島の沖合で取ったって『福島産です』なんて言うわけない」
こちらが驚くほどの率直さで語ったこの店員、「気になるならこっちを買ってくださいよ」と、銚子産カツオを指さした。
■気仙沼初ガツオはいわき沖産
後日、別の店の精肉担当者にも聞いたら、小間切れ肉や合い挽き肉などは、複数の産地のものを混ぜ合わせることが多いので、産地は「国産」としか書けないとのこと。ところが、有名デパートを複数廻ると、こちらでは「太平洋産」はもちろん、肉の「国産」表示もほとんど見かけない。合い挽き肉でも、牛はニュージーランド、豚は鹿児島などと表示している。
原発事故以降、福島県産食品は種類を問わず不人気。そこでスーパーやデパートなどは、妙な「産地名」表示で「ごまかして売ってしまえ」派と「以前より細かく表示して買ってもらおう」派に二極化しているようだ。でも、「太平洋産」や「国産」という表示は、風評隠しや放射能隠しではないか。
もちろん、スーパーやデパートに流通している以上、福島産の食品であっても、放射線量調査を受けて基準値をクリアしている。ただし、基準値そのものに不信感をもっている消費者は多く、検査もごくわずかのサンプル検査だから、セシウム汚染牛が店頭に並ぶことにもなった。
たとえば魚。水産庁の7月20日の発表では、福島県いわき市久之浜沖で採取したアイナメから基準値の6倍となるセシウムが検出されているし、海底に棲むため放射性物質が溜まりやすいとされるヒラメやカレイからも、基準値以下ではあるもののセシウムが当然のように検出されている。
福島県漁業協同組合連合会に聞いた。
「いま現在、福島の漁港に魚は揚がっていません。船も基本的には出ておらず、例外は遠洋と巻き網だけ。遠洋のマグロ船は外国まで行くし、もともと福島県内には水揚げしません。いまがシーズンのカツオは巻き網漁業の主力ですが、こちらは他県の港で揚げられます。確かに巻き網漁船は福島県の沖合も通っていますが、カツオはかなり沖のほうで取りますから。放射能汚染の問題は、港が復旧し、近海の魚が揚がってきてからだと考えています」
とは言うものの、実際にはいわき市の小名浜港で6月21日に水揚げを予定していた初ガツオは、風評被害を懸念して銚子港に水揚げされている。また、宮城県気仙沼港に水揚げされた初ガツオは、福島県いわき市沖で取ったものだった。魚の生産地表示は、水揚げした漁港のものになるから、これらのカツオは気仙沼産として出回るか、または「太平洋産」としてすでに出回っているのである。
先の水産庁の発表によると、セシウムが検出されたカツオも当然あるものの、まだ数値は低い。だが、魚の汚染は小型魚から中型魚、そしてカツオやマグロのような大型魚へと生態濃縮が進むので、むしろこれからが心配である。
■野菜は? 肉は? 牛乳は?
野菜についても、福島の生産者側は意図せずとも風評隠しや放射能隠しが行われている形跡がある。福島県在住で、食品業界の裏側を取材しているジャーナリストの吾妻博勝氏が言う。
「放射線の基準値を下回っている野菜などはJA(農協)を通すと卸売市場に行きますが、それとは別にブローカーが直接、農家を訪問して買い付けるケースもある。ブローカーは福島県産ということで安く買い叩く。彼らは他県産のJAのマークが入った使い古しの段ボールをストックしており、そこに入れて売られたら、まずわからない」
同様に、肉でも福島県産の豚や鶏は出荷されているが、これらはもともと「国産」という表示でOKだし、福島県から県外に買い取られた場合は、買い取り先で、福島で飼育されていた期間以上経過すれば、その県を生産地とするロンダリング≠煢ツ能だ。
そもそも、肉、魚、野菜のどれをとっても、缶詰やレトルト食品に加工した時点で産地表示義務はなくなる。ちなみに、缶詰の賞味期限は3年なので、賞味期限が「2014年4月」以前のものは、震災前の材料で作られているから放射能汚染の心配はない。
最後にネット上でも話題になっている牛乳について触れておく。牛乳は「北海道産」などと謳っていない限り、複数の地域の生乳を混ぜて作られる。本誌は「明治」「森永乳業」「雪印メグミルク」の大手3社に、福島産生乳を使用しているか聞いた。その結果、いずれも県のモニタリング調査で安全性が確認されたものは使用していると回答。
一部で、明治の「おいしい牛乳」の製造所在地表示欄の表記が震災前後で変わり、震災後は所在地表示がなくなったと指摘されていることについても明治に確認した。その結果、表示を変えた事実はなく、本社工場で作る製品と関係会社で作る製品は、同じものでも表示が異なり、前者はアルファベットで製造工場が書かれ、後者には製造所在地が書かれているという回答だった。製造工場のアルファベット記号は、同社のHPでも公開されている。
要は、単に製造工場が本社か、関係会社かという違いで表示方法を変えていただけなのだが、たまたま震災前と後で2バージョンの製品を持っていた人が、ネット上で2つの製品の写真を並べたことから、あっという間に噂が広がった。これなどは、今回の原発事故を機に、産地の表示を気にする人が増えたために起きた騒動と言える。
ともあれ、はっきりしているのは、無農薬、無添加が好まれた時代から、そこに無(低)放射能という指標が加わったこと。妙な表示のものは買わずに市場から追い出すのが、消費者としてもっとも賢い選択であることは間違いない。
「週刊現代」2011年8月13日号より
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