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【放射線 正しく怖がるために】(中) 「安心のための検査…疑問」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110807/trd11080721150019-n1.htm
2011.8.7 21:12 産経新聞
「消費の回復には全頭検査による信頼確保しかない」。宮城県登米(とめ)市で肉牛約450頭を飼育する農場で働く千葉秀之さん(35)はまるまると太った牛を前にこう訴える。
宮城県では国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された稲わらや牛肉が見つかり、同県産牛は出荷停止になった。
農林水産省は5日、汚染された稲わらを食べた疑いのある牛の肉の買い上げなど畜産農家に対する救済策を発表したが、千葉さんは「大事に育ててきた牛。早く出荷を認めてほしい」と語る。
汚染牛肉問題の発端は7月8〜9日。福島県南相馬市から東京都港区の食肉処理場に搬入された肉牛11頭から、基準値(1キロ当たり500ベクレル)の3〜6倍の放射性セシウムが出た。
原因は東京電力福島第1原発の事故で高濃度の放射性セシウムに汚染された稲わら。事故後も屋外で保管された稲わらが餌として肉牛に与えられ、牛が内部被曝(ひばく)した。国内有数の稲わらの供給地、宮城県でも汚染が見つかり、稲わらを通じて汚染牛肉が全国に広がった。
農水省によると、国の基準値(1キロ当たり300ベクレル)を超える汚染稲わらを与えられ、出荷された肉牛は14道県で3499頭。回収・検査が行われた772頭のうち基準値超は宮城や福島の56頭にとどまる。
■BSEより手間と時間
原発事故以降、自治体は国の指導のもと、農水産物のサンプル調査を行い、基準値を超えた食品が市場に出ないようにしてきた。しかし、汚染牛肉の流通発覚で消費者の和牛離れが進み、東日本産を中心に牛肉の価格は大暴落。宮城、福島、岩手、栃木の4県は出荷停止に追い込まれた。
全国の畜産農家は国の責任による全頭検査の実施を求めており、宮城や福島など約20自治体は独自に全頭検査の実施や方針を表明している。
ただ、全頭検査実施のハードルは高く、国も実効性の面から疑問視する。放射性物質を検出する精度の高いゲルマニウム半導体検出器を持つ検査機関は限られ、導入には2千万円以上と高額な費用がかかるためだ。
畜産農家からは「BSE(牛海綿状脳症)と同じように全頭検査すればいい」という声も上がっている。しかし、放射性物質の検査はBSE検査より複雑で、比較にならないほど手間と時間がかかる。
さらに、検査機関の多くは他の農水産物などの検査にも追われ、人手が足りない。東京都健康安全研究センターの牛山博文食品成分研究科長は「食肉の放射性物質の検査には1度に3人の人手がかかる。科員18人で手いっぱいだ」と話す。<
検査対象を絞ろうと、厚生労働省は7月29日、最初に簡単な機器で線量を調べる簡易検査を行い、基準値の半分(1キロ当たり250ベクレル)以上の場合のみゲルマニウム半導体検出器で精密に測ることを認めた。
だが、簡易検査の費用は1件約1万円、精密検査はその2倍程度。「だったら精密検査を」という自治体は多く、米沢牛で知られる山形県は「出荷数を通常の半数に絞ってでも全頭の精密検査を行い、消費者に安全をアピールした方がいい」という。
■基準値は対策の目安
では基準値を超えた牛肉を食べたら、人間の健康にどの程度影響するのか。
日本学術会議副会長を務める東京大の唐木英明名誉教授(食品安全)は「基準値を10倍超えた牛肉を毎日1キロずつ、63日間食べ続けると、食品に含まれる放射性セシウムの年間上限5ミリシーベルトに近づくが、そんなに多量に摂取することはあり得ない。健康への影響は心配ない」と説明する。
さらに、食の安全について「絶対の安全ではなく、実質の安全を目指すもの。基準値は行政が対策を始める目安で、安全と危険の境目ではない」と冷静な対応を呼びかける。
消費者団体「食のコミュニケーション円卓会議」の市川まりこ代表も、こう訴えた。「汚染稲わらが出回った地域では全頭検査が必要かもしれないが、ほかの地域で単に気分の安心のために行われるのならば疑問だ。税金を使って本当にやる必要があるのか、消費者も考える必要がある」
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