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1945年8月6日と9日、広島と長崎に原爆が落とされた。66年目の今年3月。大地震と津波で東京電力福島第1原発が炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発を起こした。
放出された放射性物質は広島原爆数十発分との試算がある。多くの作業員らが被ばくし、汚染は大気や海、土へと広がる。
唯一の被爆国として私たちは「ノーモア・ヒバクシャ」を誓った。だが、新たな核の被害を招いた。
事故により、放射能の恐ろしさに再び気づかされた。熱線、爆風とともに膨大な放射線を放つ核兵器はなくさなくてはならない。
あらためてそう訴えたい。
*2度目の大きな被害
「安らかに眠って下(くだ)さい 過ちは繰(くり)返しませぬから」。広島の原爆死没者慰霊碑に、そう刻まれている。
作家の村上春樹さんは6月、スペインのバルセロナでスピーチし「日本人は核に対する『ノー』を叫び続けるべきだった」と語った。
日本にとって原発事故は「2度目の大きな核の被害だが、今回は自らの手で過ちを犯し、われわれ自身の国土を損なった」。
その上で村上さんは指摘した。
日本は核への拒否感を妥協せず持ち続け、原発に代わるエネルギー開発を国として追求すべきだった。それが広島、長崎の犠牲者に対する責任の取り方となったはずだ−。
なぜ戦後、私たちにはそれができなかったのだろう。
広島、長崎で核のすさまじい破壊力を経験しながら、同じ核分裂エネルギーを使う原発は容認した。今、全国に54基もの原発がある。
村上さんは「効率という安易な基準に流された」と述べた。
不安定な原油供給などに左右されず、発電時のコストも安い。日本の高い技術ならば事故は起きない−。被爆国の国民が抱いた不安は、政府や電力会社の宣伝にかき消された。
被爆者たちも今、自責の念を抱く。なぜ原発に十分に反対できなかったのかと。
戦後、原爆症に対する国家補償や核廃絶運動に全力で取り組むのが精いっぱいだった事情がある。
自らを苦しめた核を「戦後の発展のために平和利用する」ことに期待感もあった。
日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は今年「脱原発」を運動方針に初めて掲げた。福島で開かれた原水爆禁止世界大会でも議論された。
被爆国として、原子力政策を再検証するときだろう。
*つながった連帯の絆
松井一実広島市長はきょうの平和宣言で、エネルギー政策の見直しを訴える。
長崎市の田上富久市長も9日、原発ゼロを目指すよう呼びかける。
長崎平和宣言の起草委員の一人は「被爆者から福島への連帯のメッセージだ」と話す。
連帯の絆は、つながり始めた。
福島の人たちは、今も不安の日々を過ごす。4万人以上が県外へ避難し、子供たちの転校も相次ぐ。
放射能汚染の影響を心配する福島県民が頼りにするのが、広島、長崎の専門家だ。
原発事故後、広島大と長崎大は合わせて延べ千人以上の医療チームを福島に送った。
放射線医療の専門家である広島大の神谷研二教授、長崎大の山下俊一教授は、福島県内で被ばく線量調査や講演を重ね、母親らの不安に耳を傾けている。
福島県立医大は先月、両教授を副学長に迎えた。
神谷副学長は「被爆者を二度と生まないという被爆地の思いは踏みにじられたが、広島を代表して福島県民の健康を守りたい」と話す。
原発を問い直す議論は、これから盛んになるだろう。
同時に核兵器廃絶を求める声をより大きくしたい。
*廃絶へ新たな一歩を
田上長崎市長は「福島の事故で、放射能の非人間性をより多くの人に理解してもらえるのではないか」と、人びとの想像力に期待する。
オバマ米大統領は2年前、プラハで「核のない世界を目指す」と演説し、ノーベル平和賞を受けた。
しかしその後、米国は臨界前核実験を繰り返し、失望感さえ漂う。
米国の代表は今年初めて、広島、長崎両市の平和式典に参列する。次はオバマ氏に来てほしいと被爆地は願いを託す。
北朝鮮やイランの核開発など懸念は尽きない。核の不拡散を徹底しなくてはならない。
民主党政権は原発依存脱却だけでなく、事故を核廃絶の足がかりとする気構えを示してほしい。
原発事故は取り返しがつかない。 核兵器も同じだ。
「計画的にしろ事故にしろ、いつかは使われる危険性がある。使われたなら破滅である」。世界の有識者でつくる「大量破壊兵器委員会」が5年前鳴らした警告だ。
核廃絶へ新たな一歩を踏み出したい。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/310171.html
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